前か下か
「うっひょー!寒いねぇ!」
当然の事ながら、吹雪いてる状態のシクサームの周りの雪原を耐寒装備も無しに行ったらすぐに凍ってしまうだろう。だから【アダプタン】かシロクマコスチュームでの行動をするべきだけど、まぁ、一旦【アダプタン】で良いだろう
「さて、それじゃあ行くかぁ!」
本来なら絶対にやってはいけないだろう。行く先を棒倒しで決める方法も新しい出会いとかの可能性も考えて積極的に使っていく。何か僕を呼んでいる者が居ればそれはそれで新しい出会いだし、意外と名所っぽい所に辿りつけるかもしれない。さぁ、今の僕は冒険心で燃料満タンだ!
「いやぁ、これは正直どうするか迷うな……」
今僕の目の前には超巨大なクレバスが道を遮る様にある。やり様によってはクレバスの反対側に行く事も可能だろうけど、この超巨大クレバスの下も気になる……
「向こう側を探索するか、それともクレバスの底を探索するか……」
引き返すという判断は元から無いにせよ、この判断は結構大事な判断だ。まず何の装備も持たない者がここまで来ても、一番最初に考えるのは引き返す事だろう。それで次に装備を用意したとしたら……どっちに進みたいか。となると、自分が雪山に住む住人だとしたら……新しい資源とかを発見出来る可能性があるクレバスの向こう側だろうか?仮に、向こう側にも何か、というか誰か居たら、このクレバスを越える事を考えるかもしれない。なら決まりだな
「よし!それじゃあクレバスの底に行ってみよう!」
ある意味雪山でサバイバルという事を考えたら一番行ってはならない場所だろう。何と言っても食料を確保出来る環境では無い。普通のサバイバルであれば、食料確保が出来る地上がベスト。だからこそ、このクレバスは渡るのが常道とも言える。でも、今の僕はラータのお陰で空腹度が0になる事は無い。最悪食事が無くても何とかなる。これはサバイバルに置いてとてつもないアドバンテージだから行かない理由が無い。補給が出来ない危険と隣合わせの場所を探索出来るのも今の僕の強みでもあるんだし、これは探索しないなんて勿体無い
「本来ならロープで慎重にとかいう所なんだろうけど……」
普通にクレバスの側面を歩いて底に向かっていく。いやはや、【ゲッコー】のお陰でこういう時に命綱とか無くても良いの助かるぅ!
「にしてもこのクレバスもかなり深いなぁ……それに長いし……」
左右を見れば、物凄い長さのクレバスだと改めて思う。もしかしてこれ、昔の人か神がここを剣か何かでバッサリ切った時の余波だったりするのかなぁ?ゲーム的に過去の偉人とか神の痕跡的な物がそのまま大自然に呑まれていった表現として、クレバスは剣豪同士の争いの余波がこの地に沢山の痕として残ったみたいな話とかあったらそれはそれでロマンがあるし……
「まぁ、だとしたら、ここで戦ったのは間違いなく巨人同士だろうな」
巨人の武神が武器を持って争ったならこのクレバスも納得の大きさだ
「段々暗くなって来たなぁ……でも、寒さは若干和らいできたかも」
クレバスの氷によって寒い事は寒いだろうけど、吹雪的な風による寒さはもうない
「あ、あんまり考えて無かったけど、もしここに硫化水素的な毒素が溜まってたら一発アウトか。うーむ、確かにそれは考えてなかったな」
そうは言っても勿論足は止めない。そう考えるだけで、このクレバスの底に何かあるかもしれないという好奇心で足が止まらない
「おっ?氷の色合いが変わった?これはもしかして昔の氷かな?」
今までは薄青い色の氷だったけど、少し色合いが変わって青が濃いめの氷に変わって来た。海洋深層水的なこの辺の氷でかき氷とか作ったらちょっと美味しくなるとかあるかなぁ?
「ま、でもまだ底に着いてないし、まだまだ行けるな」
氷の色合いは変わったけど、まだ底には着いてないからこんな所で引き返す訳にもいかない
「大分深いけど、ここまで来ると氷も黒く見えるなぁ……」
氷の色が黒くなってきたけど、流石にここまで来ると中々不気味な雰囲気も出て来るねぇ?
「おっ、底っぽい……けど、これは……」
ところどころ黒い氷の中に光の粒っぽい物があり、少し幻想的な光景だけど、明らかに何か異質な所に来てしまった感がある。いやぁ、これは何かヤバいモンスターが出て来るんじゃないか?
「これは通路……かな?」
クレバスの底。そこはどうやら通路の様にも見える。何と言っても、クレバスの底が氷の床としてキチンと平らなのだから、これは何かしらの通路とみるべきだろう。ただ、若干下り道っぽいから、この下り道の先まで行こうじゃないか
「それじゃあ行きますかぁ!」
緩い下り道。氷。先が気になる。そんな状況で滑らないなんて勿体無い!
「ヒャッホー!」
ソリ競技のうつ伏せで進むスケルトンの要領でその氷の下り道を滑走していく。いやぁ、何か壁の光の粒も足元の方が多いし、多分こっちの方が色々と良く見えるだろう。にしても早いねぇ!




