商人と商人と破壊者
「これで温度管理も湿度の調整もある程度出来ます。キノコ栽培用の暗室製造にも使用させて頂きます」
「よろしく。どのくらいあれば行けそう?」
「暗室の製造でしたらこのコアからデータを回収次第すぐに機材を作成して取り付ける事でキノコ栽培用暗室は製作可能です。時間で言えば半日もあれば可能です」
ウチのオートマトンさん達が優秀過ぎる
「分かった。それじゃあそっちは任せるね。鍋が出来たらお知らせを貰えるかな?」
「了解しました」
これで鍋を任せられるな……これで一旦一安心というか、休憩出来るかな
「たまには空島でゆったり……しようと思ったんだけどなぁ?」
メッセージが来た。このメッセージは……白玉さんか
『ハチ君。空島に来たんだけど、ここヤバいわね?この間のお礼というか、色々と物を持って来たんだけど、見て行かない?』
「ほう?一応、商人としてこのゲームを遊んでる白玉善罪さんが空島に来てるのであれば……せっかくなら会わせてみるか」
どうせなら海賊イベントの時に考えていたあの人に会わせてみよう
「さて、白玉さんは何処かな?」
「ほほぉ?貴方もここに来たようですねぇ?」
「おやおや、チェルシー。先輩面はよしてくれよ?私もハチ君に認められたんだ。すぐにここでも商売を……」
「ふふーん?その程度で?私はもうここに活動拠点もありますし?それにあのハチさんが作った温泉での優先権とも言える権利だって持ってるんですよ?」
「くっ……」
何か張り合ってるなぁ?チェルシーさんと白玉さんて意外と相性悪いのかな?いや、喧嘩って感じでも無いから、普通に仲が良いのかも?
「白玉さん」
「おっ!ハチ君!連絡を受けて来てくれたのかい?」
一応、喧嘩ではないだろうけど、割って入るか
「えぇ、まぁそうですけど……」
「どうだ!チェルシー。お前はたまにハチ君にウザがらみして連絡をたまにブロックされたりするんだって?」
「うぐっ!?それは……」
「あぁ、あったなぁ……」
しみじみと、思い出す様に言う。だってチェルシーさんをブロックした過去があるのは本当だし……
「あの時は申し訳ありませんでしたぁ!」
深々と土下座するチェルシーさん。別にもうそれは良いんだけどね?
「チェルシーさんの件については別にどうでも良いんですけど、今日は白玉さんに会わせても良いかなって人を連れて来てるんで、城まで来てくれれば会わせられます」
「なんと!?本当によろしいんですか!?」
「え、ズルい!」
まぁ、ズルいとか言われても、白玉さんはあのイベントで頑張ってくれたからねぇ?
「ふっ、これはハチさんがイベントの時に頑張った私に対する報酬の様な物だ。だからチェルシーは関係ないんだ」
「ぐっ……あの時は仕事のせいで参加出来なかったのが……くぅ!」
可哀想だけど、それも仕方ない事なんでね?
「じゃあ、白玉さんは城までどうぞ」
「ふっ……」
「むきぃ~!」
何か格付け完了と言いたげな白玉さんだなぁ
「おぉ!来ましたのねん!」
「信楽さん。ごめんね急に呼んだりして」
「いえいえん、お得意様んのハチさんですからん。これは何かあるなと思って……ん?そちらの方んは?」
「あぁ、そうそう。信楽さんに紹介しようと思って。こちら白玉善罪さん。商人をやってるんだけど、僕としても認められる商人さんだから、もしかしたら信楽さんとも取引出来そうな相手じゃないかなって思って……どうかな?信楽さん的に認められるかどうか、テストしてあげられない?」
正直上手く行くかどうかは分からない。信楽さんもこんな事の為に呼んだのかと呆れてしまうかもしれないけど、ここの商人同士の繋がりが出来れば、より幅広いアイテムを集められるかもしれない。そう考えたらこの2人は会わせるべきだと思ったんだ
「ほうほう?本来ならん商売敵……と言いたいん所ですがん。お互いに違いがあればそれは提携だったりん委託だったりん、出来るですん。そう考えると……粗悪な商品を手に入れたらどうしますん?安くさっさと売っちゃいますん?それとももう会わないだろう相手に高く売りつけますん?」
「商人として答えるなら、利益第一に動くべきでしょう。ですが、私なら、その商品は売りません」
おぉ、何か商売人同士の熱い戦いでも始まるのかな?ちょっと黙ってよ
「ほう?それは何故なのねん?」
「粗悪な品を掴む。その時点で商人としては良くありません。もし掴んでしまったのなら、それを新たな商品を作る為の踏み台にします」
おー、前提条件から突っ込んで行ったー!
「別に面接をしようって訳じゃないのん。君の本心を知りたいのん」
「今までの私なら、儲けの為にその粗悪品をどうにか売っていたかもしれません。でも、ハチさんに会っちゃったら、そもそも粗悪品って考えが吹っ飛んじゃうんですよ。どんな物も使い方次第で新たな使い道が生まれる。そう考えると、粗悪品ではなく、新しい売り物を作る為の材料になる可能性もあれば、イメージを得る為の起爆剤にもなり得ます。でも、それで生まれる物の中には特定の人しか使えずに他の人にとっては粗悪品と取られるかもしれない。だからこそ、色んな人との繋がりを作ってそれを粗悪品から立派な商品にする事が商人として大事だと思ってます」
あれ、これもしかして僕のせいで白玉さんの売り方が変わったとかそんな話じゃないよね?
「うーん、それを言われると困るのねん……何せその価値観はウチも同じだからなのん。これは同士として見るしかないねん!」
グッとお互いに握手している。これは……とりあえず話は纏まったって事で良いのかな?




