共感出来るネクロマンサー
「ここじゃ」
「な、何ですかコレ?」
そこにあったのは金属と窓の付いた軽自動車位のサイズ感の球体。その中に液体らしき物と一緒に1人の霊体が膝を抱えて真ん中に浮いていた
「ここは……所謂地獄とはまた違った罰を与える所じゃな。ネクロマンサーは良くも悪くも死者との相性は良いからのう……どうしてもその道で死んだ者は隔離しなければならないのじゃ」
ネクロマンサーが死んだとして、その魂が地獄の方に行ったら確かに、その力で反抗とかして来たら大変だし、他に関与出来ない様に隔離するのは合理的かもしれない
「ネクロマンサーとして死んだ者は良き者も悪しき者もこうして管理される。ネクロマンサーとしての力が無くなるまでな……」
「つまり、この機械は魂の洗濯的な能力とか全て削ぎ落す為の物なんですか?」
この巨大な球体は魂の洗濯と言えば聞こえは良いけど、実際はそれまで積み重ねて来た物を全て奪い取る機械なのかも……
「あぁ、だが、こやつはネクロマンサーとして魂と能力が適合し過ぎたせいで、魂からネクロマンサーの力がそぎ落とせず、こやつの魂を消さぬ様にネクロマンサーの力を落とそうとしているが、それが出来ずにずっとここに閉じ込められたままじゃ。一応会話する事は可能じゃ」
面会可能な独房みたいな物かな……
「話を聞きたいんですけど、あの人の名前は?」
「奴の名はリグレッタ。ハチならば何か出来るか?」
死神さんも多分ここから解放してあげたい位このリグレッタさんは別に悪い行いはしてないんだろうなぁ……
「何が出来るか……それは分かりませんが、とりあえず話は聞きたいので、ここは一旦僕とリグレッタさんだけで話させてください」
「よかろう。外で待っておるぞ」
「ありがとうございます」
死神さんが外に出て行き、リグレッタさんが入っている球体の窓の部分に向かう
「突然すみません。リグレッタさん……で合ってますか?」
「あら、初めて見る顔ね?私に何か用?」
特にビックリとかそういう感じではなく、若干演技っぽく反応するリグレッタさん。多分、さっきの死神さんとの会話はこの中にも聞こえていたんだろうな
「どうも、ちょっと死神さんからネクロマンサーの中でも一目置く人の話を聞いてお話を伺いたいと思いまして……多分聞こえていたかもしれませんが、僕の名前はハチと言います」
まずは対話してもらえないと僕としてはどうしようもないし、まずは相手に敬意を示さなくては
「私の様な罪人に何を聞こうと言うの?」
「そうなんですか?あの……差し支えなければどの様な罪を背負ったのかお聞かせ願えないでしょうか?」
先に僕の事を話せと言われたら話すつもりだし、聞くなと言われたら聞かない。まずは僕に心を開いてもらわないとどうしようもない
「死者を復活させてお金儲け。皆良く働いてくれたわ。ふふふ……」
「あー、全然隠せてないですよ?貴方絶対悪い人じゃないですね?」
「な、何よ!?私は悪い事をして今こうして閉じ込められてるのよ?」
いや、だってねぇ?
「多分普通にもっと悪いネクロマンサーと会った事ありますけど、復活させた死者に対して良く働いてくれたとか言いませんもん」
「うっ……」
多分ガチで悪い人とかだったら「アレは良い金稼ぎの道具だったぜ」とか、そもそも人扱いもしないだろうし……
「悪ぶって人を遠ざけようとしている気がしますが、そんな事されたら余計に気になっちゃいますよ」
「アンタもどうやら変わり者の様ね……仕方ないわね。この感じ……どうせ聞くまで居なくならないつもりでしょ?」
「おぉ!この短時間で僕の事良く分かりますね!」
凄い。もう見抜かれてる
「はぁ……私は代々ネクロマンサーの家系で生まれた者だったけど、私が1人娘で、私が結婚とかしなかったから私が死んだ事で途絶えた家よ。と言っても、私もあの家が好きじゃなかったから家出した身だから実は私の知らない所で弟か妹が居て繋がってるかもしれないけど」
うわぁ、これ絶対本人は途絶えたと思ってるけど、実は普通にまだ繋がってそうだなぁ……
「何で家出したんです?」
「親のやり方が気に食わなかったから。私のやり方でネクロマンサーとしての在り方を変えたかったから?」
「おぉ!それは凄い!職としての在り方を変えようってするのは凄いですよ!」
「そ、そう?」
新しい事への挑戦……チャレンジャーとかパイオニアとか色々言い方はあるだろうけど、最初の一歩を踏み出そうとする人は応援したい
「それで、具体的にどんな事をしてたんです?」
「力を借りる死者達の負担を減らして、心残りとかがあったらそれを解消するから私にも力を貸して欲しいって感じで力を借りて、お金を稼いで、そのお金を孤児院とかに寄付する形でネクロマンサーの在り方を変えようとしたんだけど……やっぱり私1人だけじゃ何も変わらなかったわ。その結果として、今の私はこのザマよ」
何だろう。絶対この人僕と波長が合う気がする。死者に対して上から目線じゃないからかな?難しい事に挑戦する姿勢?その辺が凄く共感出来る
「何とか出来ないかな……いや、何とか出来るか?」
さっき出て行ってもらったけど、早速死神さんを呼び戻さないと




