料理人の一撃
『聞いた話によるとこの辺りで見かけたらしいわ』
「そろそろ出て来る可能性があるか。だとしたら、戦闘準備を進めましょう」
問題はネレイドが近くにあっても襲ってきてくれるか。そこにかかっている気がする。ネレイドの近くじゃないと、流石にホフマンさんのフェプシック操作範囲が足りなく操作不能になってしまう。勿論、当たってしまえば後は魔力による推進力でぶち抜くだけだから多少操作出来なくても問題無いけど……
「相手がネレイドにビビったらこの作戦自体不発に終わっちゃうよな……」
「報。問題ないと思われます。ハチ艦長に製作して頂いた装甲は魔力供給が充分であれば、ある程度のステルス性を有しています。このステルス性能であれば、スルー、もしくは襲って来るかと」
なるほど、ステルス性能のお陰で生物に見つかった場合こっちの実力を誤認させる事が出来ると。だからたまに襲って来る生物が居た訳だな?
「そっか。それなら問題無く戦えそうだな。ホフマンさん。マグロの餌って何でしょう?」
「マグロの餌は基本的にはマグロの種類によって変わるが、エビとか小魚……アジとかだった気がするぜ」
「エビや小魚……それってカニを食べる奴も居ますかね?」
「確か甲殻類を喰う奴も居たとは思うが……」
「なるほど……なら行けるかも」
僕が餌役……行ける気がしてきた!
「それじゃあ、行ってきます!」
「気を付けろよ!」
「ハチ君、頑張ってくれ!」
「応援してます!」
「いざという時は仕方ありませんが、こちらから攻撃して仕留める準備も進めておきます……」
「ネレイドに被害があっても即修理しますので!」
心強い仲間の言葉を胸に、海に出る。今回はネレッサーは使わない。真淵を用いて回転で進む
「距離的にはこんなもんかな。目撃情報があったって事はこの辺を回遊している可能性が高い……そこに餌っぽいのが現れれば……【キャンサー】」
僕を包む様に現れる大きめのカニ。魔法的な光る輪郭だからか、海の中だと結構見やすいんじゃないだろうか?
『報。急速に接近する影あり』
「……来たか。ホフマンさん頼むぞ」
ネレイドさんからの通信でこちらに急速で接近して来る存在が居ると報告が来た。このカニを見た瞬間に接近して来る存在……おぉ、僕のオーラ感知にも引っ掛かったぞ?
「僕の魔法なら、マグロ相手に負けないだろ?」
ぐんぐん接近して来るマグロ……これはデカい……普通の船よりデカいんじゃないかこれ?
「うおっ!?ぐっ……」
マグロが凄まじい速度の突進でぶつかって来たと思ったら、すぐさま方向を変えて回転してから咥えに来た。なるほど、最初の突進で相手を粉砕、もしくは気絶させて、その後のもう一突進の時に喰いに来るって感じか
「だが、ウチの【キャンサー】を甘く見てもらっては困るな?こっちは宇宙からの帰還にも耐えてるんだよ!」
【キャンサー】を噛み砕こうとしたみたいだが、その足と鋏でマグロの口に咥えられているものの、噛み砕けてはいない。この分なら【キャンサー】の効果時間は持ちそうだな
『報。HANDグレネード搭載キャリアーミサイル、及びハープーンミサイル到達。アダマンタイトニードルミサイル。発射されます』
ネレイドさんからの報告。そしてハープーンミサイルの操作権が譲渡された。さぁ、ここからはもうお前との勝負は終わりだ。ここから先は僕自身との勝負だ
「報。HANDグレネード命中。相手の動きが止まっています。今です」
「任せな!絶対にどタマぶち抜いてやるぜ!」
ハチが命がけでマグロをその場に釘付けにして、HANDグレネードによる拘束。そしてそこに到達するアダマンタイト製の細身の死神が巨大なマグロドンの脳を破壊。そのまま背骨までも貫通して行った
「今の一撃で終わった……のか?」
「いや、まだだ。むしろここからが始まりだ。が……」
「「「「え?」」」」
皆が驚く中、更に驚いていたのはホフマンだった
「映像が届いていたからより見えていたが……アイツ……俺を信じて先にあの防御を解除して既に解体を始めてやがる……」
「おっ、来た来た!よーし、それじゃあ……解体開始!」
1秒でも早く。その気持ちでほぼ着弾と同時に動き出し、ハープーンミサイルを操ってエラに撃ち込む。よし、さっきの一撃で死んだみたいだし、フェプシック操作も問題無く出来るな!エラを取って、内臓も出して……この辺は一応インベントリに仕舞っておこうか。もしかすると何かしら薬とかで必要みたいな事があるかも知れないし、無かったら無かったで後で捨てちゃえば良い
「流石にこのサイズはちょっと雑な所も出ちゃうかも知れないけど……一旦許して欲しいね」
マグロは死体だから泡沫バッグに仕舞えるし、丁度良い。これで皆の所に帰ろう
「ふぅ、いやぁ、ナイススナイプですホフマンさん!」
「おいおい!こいつはとんでもない偉業だぜ!?俺が……料理人の俺がボスを一撃で倒せるなんてよぉ……今まで、何度も攻撃しなきゃなんなかったから、肉の質が下がる事ばっかり気にしてたのに……ぜってぇ今回のマグロで美味い飯皆に喰わせてやっからな!」
何かホフマンさんはホフマンさんで難しい悩みがあるみたいだなぁ?




