シミュレーション
「ふむ……確かにそのやり方なら誤差をかなり小さく出来るかも知れない。やってみよう。という訳で艦に乗せるインターフェースとシミュレーション装置も作るから少し待っていてくれ」
僕が思いついたのは、脳に負荷がかかるとはいえ、僕でも操作が出来ると言うのであれば、武装関連の操作を一度僕がやってみる事。攻撃の精度は低いかも知れないけど、防御だけなら自信がある。だから指示をだしてラグや誤差が出ると言う事なら、シミュレーションで僕と同じ様な戦い方をする様にインプットしておけば、その差も少なくなるんじゃないかと思って提案してみた
「という訳で、この子が艦のインターフェースとなる。そうだな。ハチ。名はどうする?この子と艦は同じ名を付けるにしても、まだ艦に名が無かっただろう?」
そう言われたらそうだ。まだ艦に名を付けてなかった。うーん……どうしよう?潜水艦と言えば深海生物のオウムガイであるノーチラスってつけたくなるけど……それは、なんかなぁ……?いっその事海の神様とかの名前を付けちゃうのはアリか?多分だけど、この世界に居る海の神様とかきっとポセイドンだろうし、そこを外せば多分大丈夫だと思うんだけど……だとしたら……いや、確かギリシャ神話で海の女神を総称した言い方があったな?だからそれを使えば何の問題も無いだろう
「そうだなぁ。僕が知っている言葉として海の女神の総称として言われているネレイドって言葉がある。そして、それは確か、星の名前でもあったかな」
まぁ、星と言っても確か海王星の衛星の名前だったかな?なんかクイズ番組で見た知識だけど
「だから君は、ネレイドは僕らの希望の星であり、海では守り神として僕らの航海を守って欲しい。そして戦いが起こった時には勝利の女神としてその力を振るって欲しい……どうかな?」
「インターフェース個体名称ネレイド。潜水空母ネレイド。登録完了しました。情報共有……完了。戦闘シミュレーションにて戦闘方法の習得が最初の任務ですね」
「そうだね。多分ネレイドの体の動かし方はネレイドが一番知っているだろうから、操縦は基本ネレイド任せになる。戦闘時になったら乗組員が火器の操作をする事になるだろうけど、大規模な救助作業とかで、人員が不足してネレイドが単騎でも戦闘しなければならない時とかに備えて習得して欲しい。後は単純に覚えておけば補助もしやすいからね」
全て任せるのが正しいのかもしれないけど、そうではなく、分業出来るなら分業した方がネレイド自身は相手の攻撃が当たらない様に動く事に集中出来るだろうし、火器管制は射撃に集中出来る。全ての処理が出来るにしても、分散した方がより効率的だろう。パソコンのCPUとかも中身では考える部分を分散して並列で処理するから昔に比べたら処理速度が上がったとも言えるだろうし
「了」
お、そういう風に答えるのか。となると、否定形なら『否』で疑問だった『疑』とかで始まるのかな?
「よし、シミュレーション装置オッケー。ネレイドもオッケー。僕も準備オッケー。一応いつでも始められるよ」
「よし、では始めるとしよう。ハチ。一応シミュレーションだから負荷はまだ軽い方だが、無理はするなよ?一応操縦出来る様にしているだけで本来は人間向け仕様にはしていないからな」
「分かりました!」
つまり、これは精神負荷高めの修行って事ですな?
「うっ……おぉ……なるほど。体の感覚がまるで違う。これはまずコツを掴むのが大変そうだな……」
当然ながら、潜水空母は人ではない。だから僕の神経を潜水空母に繋げる様な状態だと、体が動かせない。というか動かし方が分からない。だから、僕にネレイド自体を動かすにはもっともっとシミュレーションしないと無理だろう。だが、多分だけどあの機能を無理を言ってぶち込んでもらったお陰でいざという時は動かせる気はする
「ただ、武装の……シールドはかなり簡単に動かせるな。これはやっぱり日頃の成果か」
フェプシックでネレイド自体も動かせるだろうけど、今はシールドモジュールを飛ばす方に集中しよう。というか、やっぱりそうだ。体が動かせないというより、体を借りているとか、お邪魔させてもらってる感じ?だから僕の体を動かそうとする意思とネレイドの意思がぶつかって動かせないのかもしれない。今の僕はネレイドに武装の使用のみを許可されているだろうから、艦体を動かそうとする意思をブロックされてるのだろう。そうと分かれば、意識を集中させるべきポイントは絞れる
「準備はよろしいですか?」
「もう少し待ってね。武装の確認をもう少しさせて」
操るべき場所は結構多い。だからこそ、しっかりと確認しなくては。シミュレーションだから、グリッド空間の中で敵を示す赤い点から攻撃が来たり、逆にそっちを攻撃したりという練習場所になっている。実戦とは違うだろうけど、装置を動かすだったり、攻撃や防御をする為だったらこれで充分とも言える。早速始めてみよう