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198/2001

アビス様の人との接し方相談

「では問題です。人間がアビス様の所にやってきました。どう挨拶しますか?」

「挨拶ぅ?……よく来たな!死ぬか?」

「はい、ストップ。どうして殺したがるんですか……」

 アビス様の「こんにちわ!死ね!」はマジでシャレにならない。せめて挨拶くらいは右ストレートじゃなくてジャブ程度にして欲しい


「では、どうすれば良いのだ?人間はいつか死ぬ。死とは終わり。つまり最後の報酬ではないのか?」

「あぁ……そういう考え方なんですね?」

 死ぬのがゴールであり、それが人生最後に貰える報酬だと


「我は死を知らない。死を知るというのは素晴らしい事じゃ無いのか?」

「それは死なないというかとても長ーく生きるアビス様みたいな存在にとって死は報酬かもしれません。でも人間は100年生きればかなり生きてる方だと思いますけど……」

「一瞬だな?」

 100年を一瞬って言ってる時点で相当だよ……


「それをアビス様は20年も生きていない僕をアビス様の手で殺すって言ってるんです。生きるはずだった残りの寿命分を奪おうとしてるんですよ?それが報酬だと思いますか?」

「う、うむ……そう言われると……」

 お、理解してくれてるぞ?


「この世界にもそういう考え方があるか分からないですけど、僕の所だと輪廻転生って考え方があるんです。死んでもまた魂が生まれ変わって新しい命で現世に戻ってくる……だから死が終わりじゃ無くて新しい始まりで……あれ?旅人は基本これか。まぁ、アビス様の基準と人間の基準が違うからアビス様基準の挨拶程度で殺そうとするのはやめた方が良いって事です」

「ほう?なるほどそういう事か。それならば安易に殺すと言うなという貴様の言い分も分かる」

「分かってくれますか?良かったぁ……」

 ここを越えられないとアビス様を変える事は出来ないだろう。だからその言いたい事を理解してもらえたのは大きな進歩だ


「ではどう挨拶すれば良いのだ?」

「うーん……そうだなぁ?」

 このアビスに来てしまったとしてどういう風に挨拶されるか……


「我の空間に何の用だ?とか?ここは只人の来る場所では無いぞ。とかどうです?威厳がある感じに聞こえません?」

「ほう?中々良いかもしれんな?次があれば使ってみるとしよう」

 マイルドになってくれるなら何でも良い。これで「こんにちわ!死ね!」になる事は回避出来たな?


「それじゃあさっきの蛇の件でも何が悪いか分かりますか?」

「さっきの話を聞いていたから分かるぞ?蛇を出し過ぎた事だろう?」

「それも正解ですけどいきなり見えない蛇を出した事ですね。マジで死んだと思いました」

「我も殺ったと思ったが……いや、すまなかったな?あれは良くないんだろう?」

「はい、殺されちゃったらその相手の事を知る事も出来ませんよ?せっかく外の世界からやってきたのにお話とか聞かないで殺しちゃうのはもったいないと思いません?」

「……そう言われるとそうだな?」

 えぇ……気付いてなかったの?


「殺してしまったら確かに話は聞けんな?我としたことがうっかりしていた」

 ずっと一人だとそう言う事に気が付かなくなってしまうんだろうか?


「自分がやってた事がいかに非効率でつまらない事だったか分かりますか?」

「……まるで我がバカだったと言いたいのか?」

 やっぱりこういう直ぐに頭に血が上ってしまう相手は怖いなぁ?でもここでビビっちゃうと相手の方が合っていると思わせてしまう。顔に出さない事が相手の為だ


「いままで知らなかっただけならこれから直せば良いだけですよ。この深淵その物であるアビス様ならそんな事今すぐにでも出来ますよね?」

「……まぁ、その口車に乗ってやろう。我に出来ない事ではないからな」

 カッコいいねぇ?まぁ会話してる内容は人との接し方なんだけど……もっと上手い接し方も沢山あるだろうけど僕が思いついてアビス様でも実行出来そうなのはこれだろう。ファーストコンタクトさえ良ければそれ以降は知らない。その人次第だ


「あのアビス様?ちょっと頼みたい事があるんですけど」

「ん?なんだ?申してみろ」

 挨拶の件で一段落した事だし、ちょっと別件で頼み事をしてみよう


「さっきの蛇、もっと弱い状態で出せますか?」

「何をするつもりだ?」

「視えない敵との戦闘を練習したいなって」

 姿が全く見えない敵との戦闘なんてそうそう出来る物じゃ無い。相手の出す音、気配、匂いなんかもヒントになるかもしれない。ともかく目を使わない戦闘をもっと経験したい


「ほう?良いだろう?貴様が死なない程度の強さで出せば良いのか?」

「はい、パワーダウンして3体から訓練させてくれますか?」

 死なない程度にパワーダウンしているなら3体からやるのが丁度良いかもしれない


「よかろう。貴様の訓練に付き合ってやろう!」

 ボトボトボトッと3体分落ちる音が聞こえる。音が若干軽かったからサイズも小さくなってるんだろう。パワーダウンはちゃんとしてくれているみたいだ


「「「シャァァ!」」」

 こんな所でこんな戦闘訓練が出来るとは思わなかった。アビス様に感謝しつつ、僕自身の為にもしっかり訓練しよう!



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― 新着の感想 ―
[良い点] ちゃっかり楽しんでる!?
[一言] 行き当たりばったりでの強化以外に努力での戦力強化にも余念がないハチの姿勢に好感。
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