メルヘンな起こし方?
「またとんでもない事をするつもりなんだろうが……まぁ何とかなるだろう」
果たしてそれは信用されてるというか、何というか……
「まずは巨人族の親子2人の小型化です」
「あぁ、分かった」
これって、ライフリーパー討伐というか、制圧?それにこの2人の力を使わなかったからお願いが通りやすくなったとかもあるのかな?この2人の協力があれば、それこそもっと早くに終わった可能性もあるだろうけど、僕は僕の出来る事を全力でやったと思うし、これで良かったと思う。お願いも聴いて貰えるしね?
「お待たせしましたー。握りつぶしたりはしてないよね?」
「うん、してないよー」
「で、まだ起きてない?」
「うん」
精霊王様の所に行く直前に預けた人もまだ目覚めていないらしい。トーラちゃんから受け取って、パッと見た感じ、冷や汗でびちゃびちゃになってると思うけど、あれでもまだ起きてはいないらしい
「この2人か」
「はい。お願い出来ますか?」
「うむ」
短く返事をしたと思ったら、二人の周りに光の玉の様な精霊がクルクル回り、光の粉を2人に振りかける。すると……
「わぁ!」
「すごい……」
2人共体が小さくなり、無事に人やエルフと同等のサイズになった
「これで入国出来ますね」
「わーい!」
「おっとっと」
トーラちゃんが僕に向かって走り、飛び掛かって来た。人も持っているので、とりあえず背中側を向けておんぶの形で受け止める
「ずっと、ずっとこういう事してみたかったんだー!」
「そっかぁ……」
まぁ、巨人族には巨人族の悩みとかがあるのかもしれない。巨人族で纏まって国を作るというよりは、個別に好きに生きる種族っぽくも感じるし、現状詳しくは聞いてないし、聞くつもりも無いけど、トーラちゃんの父親に相当する人は見えない。母からの愛情を受けて育つとしても、やっぱり他の友達とか、そういうのが欲しいお年頃なのかもしれない。もしかして、こういう気持ちが強すぎてサイズの違う人間やダークエルフを掴んで潰そうとしてしまうって結果になっていたのかも……
「お母さんもやっておきます?」
「いえ、ふふふ。トーラのそんな笑顔。久しぶりに見たわ……」
これでお母さんの方にも抱き着かれたらそれはそれで困る所だったから助かった
「精霊との相性が良ければ元のサイズと人のサイズは簡単に変えられる。そして見た所、憑いた精霊達とは相性が良いようだ」
「おぉ、それは良かった。という事は2人ともエルフの国に凄く入りやすくなりましたね?」
「ありがとうございます!こんな事までして頂いてなんてお礼をしたら良いか……あっ、そうだ」
そこで、巨人族のお母さんが僕に近寄って来る
「ん?」
「貴方に巨人族として感謝と力を。右手を出してください」
「あ、はい」
言われたとおりに右手を出す。まだ目覚めない人は一旦真淵で持っておけば良いだろう
「え?」
「これで、貴方には新しい力を与える事が出来ます」
何か右手の親指を甘噛みしてきた。え?これで何か力が貰えるの?これ本来のサイズ感だと、右手食い千切られてもおかしくなかったのでは……
『称号 巨人の友人 を入手しました』
『巨人の友人 巨人との友誼を結ぶ事で入手 駆逐し……たらダメですよ? 全ステータス5%アップ(上限50%)』
「あ、私もー!」
トーラちゃんも僕の右手の親指を甘噛みしてきた。え?これってもしかして、友誼を2回結んだから今全ステータス10%アップしたって事?
『特殊クエスト 森が急患 をクリアしました』
「ま、まぁお友達が増える事は悪い事では無いか。2人とも友達になってくれてありがとうございます」
とりあえず交友関係が広がったのと、ステータスアップの称号が貰えたのが今回のクエストの報酬って事みたいだな
「うむ、で、さっきから気になっていたが、その女は何だ?」
「僕もよく分かってないんですよね。ライフリーパーに最初に取り込まれてたというか、コアになってた人っぽいんですけど何か起きてるっぽいけど寝たふりをしてる感じで、起こそうとしても全然起きないんですよ」
仕方が無いので、またその辺の手頃なサイズの石を今度は真淵パワーで両断する。すると、やっぱり冷や汗をかくけど、起きないなぁ?
「うぅむ……ハチのこの脅しで起きぬか。であれば、そうだな……単純に大きな音で起こすか?」
「流石に鼓膜を破る様なのは止めて下さいよ?」
「後は、物凄い速度で揺さぶるか……」
「内臓シェイクはちょっと困るなぁ……」
「どうしてもダメだったら、もういっその事体に雷魔法を叩き込めば一発で起きるだろうな」
「それ本当に起きれるんですかね?永眠しません?」
「いっそのこと、今言った奴を全部同時にすればどんな奴でも起きるのではないか?」
「そうですね。やってみるしかありませんか……」
残念ながら冷や汗でびちゃびちゃになってて、小刻みに震えてて、それでいてもう寝顔が恐怖の色だけど、起きないならやるしかないよなぁ……
「あ、ねーねー。これってあの絵本にあったお話みたいな物じゃないの?王子様のキスで起きるーって奴」
「あぁ、巨人姫のお話ね」
何だか現実にもある絵本の話はやっぱりこっちでも、それも巨人族の中でもあるんだなぁ……
「まぁ、それはおいておいて、キス程度の接触で起きるなら、やっぱり全身超振動と雷によるショックがあれば起きるのでは?」
「そうだな。よし、準備しよう!」
そうして、精霊王様と僕でどんな眠り姫でも一発で起こすぞマシーンを作った




