ゲームだから
「分かった。ムジナの穴ってお店を見つけたら絶対に入ってみるから。まぁ……その街を見つけられるかどうかはまだ分からないけど……」
このゲームだと基本的にはレベルを上げて、ボスを倒して、その先にある街というか国に行く事が可能になる訳だけど、買い物とかもしないから街のお店とかをあんまりしっかり見ていないから、もしかしたら、既に見た事があるのかも知れないし、まだ見た事が無いかも知れない。それに、きっとあの口ぶりだと、まだ解放されてない街な気がするんだよなぁ……
「きっとハチさんなら見つけられるよん」
「アンタの技術をもっと学びたいんだから、絶対来なさいよ!」
「あ、そういえば、そのペンダントってずっと僕の事を見れるの?」
ちょっと気になったし、そこを聞いてみよう
「ずっとって程でも無いわ。装備もされてないからたまに見えるってだけ」
「あぁ、じゃあ技術を学ぶって事なら僕の全部はまだ見ていないと?」
「そうね。たまに何かを作ってるのが見えるけど、それが最終的にどうなるのかまで見られなかったりするわ……」
うわぁ、それ困るなぁ……普通に気になる奴じゃん
「なるほどねぇ……信楽さん。一回僕らの島に遊びに来ない?」
「大変気になるですん。でも島となると、行くのが難しいですん?」
「結構見かけるけど、何処か分からなかったあの場所ね?」
だからペンダントからの視界って多分ザックリ僕の周辺が見えるかどうかってラインなのかな?だからあんまり空島については知らなさそうだ
「それじゃあ、ちょっとだけここ借りますね?」
手早くシジルを描き、あの人を召喚しよう
「えっ!?そのシジルは!」
「あ、ご紹介します。上位悪魔のセーレさんです」
「んで、今回はどんな要件で呼び出したんだ?」
もう特に何も言う事が無いって感じだなぁ……
「この2人を空島にご招待しようかと思って……新作料理があるけどどう?」
「しゃーねぇなぁ……おら、こっち来い。すぐに行くぞ」
2人を僕らの近くに集めて、セーレさんが指を鳴らす。すると、周りの景色がガラッと変わり、空島の城の中に移動していた
「ほい、完了っと」
「ありがとうセーレさん。はいこれ。新作のおはぎ」
「へぇ?ん!んめぇ!?なんだコレ!?」
これは魔除けの効果はまるで期待出来なさそうですね……
「という訳で、ようこそ。一応現状は我が城って扱いの所です」
「「はぇ~……」」
さて、とりあえず連れて来たは良いけど、何を見せようか?
「って、いやいや!ここってアンタの大事な秘密とかいっぱいある所じゃ無いの!?技術の匂いがプンプンするわ!」
何だろう。デビィさん口では「そんなのダメじゃない」と言いつつ、めっちゃキョロキョロして目が楽しそうと物語っているなぁ……
「普通にここからも色々仕入れられるならしたいねん……うぅむ……」
こっちはこっちで今回はセーレさんに連れて来てもらっただけだからお店をどう持って来ようかとか悩んでるのかな?
「まぁ、まだ城の中ですから、せっかくなら外も見ましょう」
「「ほわぁ……」」
扉を開ければ色々と発展した空島が見渡せる。いやぁ本当に発展したなぁ……
「それで、デビィさんは技術力を更に上げたいって事なら色々見て吸収出来そうな技術は吸収してみて下さい。信楽さんは何か交渉したい物とかあったら交渉してみると良いかもしれませんね?相手がキチンと対応してくれるかどうかは信楽さん次第です」
他プレイヤーとの交流も兼ねて、2人と一緒に行動しよう
「アンタ……何でこんな自分に益なんて殆ど無い事を……」
「え?だって面白そうじゃないですか。僕は別にお金を稼ぎたい訳じゃ無くて、新しい繋がりを大事にしたいなって思ってこういう行動をしているだけですし?」
お金に囚われないという事で、かなり楽しい事をする為に動くというのがしやすくなっている気がする。この辺は本当にモノさんに感謝だなぁ……
「お金で動かない人というのはとても厄介ですん。そして、そういった人との繋がりというのもお金で買えないですん。でも、そういった人が世界を動かす力を持っていたりするんですん……」
何だかしみじみとした感じで言う信楽さん。なんかそういう繋がりが過去にあったのかな?
「まぁ、金で動かない奴が厄介なのは分かってるわ。金銀財宝で釣れない相手はそっち方面の欲を突けないし……」
悪魔的視点でもやっぱりお金で動かない相手って言うのは面倒なのか
「僕は『楽しい』を優先するんで、そういった事を提示されると弱いですねぇ」
現実だったら安定志向は全然悪い事じゃない。失敗したらまさに人生ゲームオーバーの可能性も大いにある。でも、ゲームの中だったら、リスクとリターンを大きくした方が楽しい。楽しい事は自身が危険になる事もいっぱいだろう。でも、だからこそ、そのハイリスクとハイリターンを求めて楽しめるんだ
「アンタの事越えてやるわ。だからこの島にある技術を見せて!」
「コイントスの勝ち負けで、お互いに情報を掛けた勝負をしません?」
おぉ……早速僕をうずうずさせる提案をしてくるじゃないか
「良いね。乗った!」
やっぱりゲームは楽しまないとね?




