農業に改革?
「よし、とりあえずお試しで作ってみるか」
死神さんを冥界に帰して、空島に戻って来た。色々話してたら食べたくなったし、一回作ってみよう
「なになに?何作ってるの?」
「今作ってるのはおはぎって食べ物ですね。あぁ、ぼたもちとも言われますかね」
「どういう食べ物なんじゃい?」
「ご飯をあんこで包んだ甘い食べ物です」
「あんこでご飯を?」
「はい、だから箸とか、もしくは素手で食べる事をお勧めします。狐状態だと手にあんこがくっ付いて大変な事になりますよ?」
当然の如くキッチンにやって来たモルガ師匠、ウカタマ、そして付き添いと見える飯綱さんだ
「ちょっと死神さんの手伝いをしてたらこれを思い出す事がありまして、せっかくなら作ろうかなって」
「なんだか気になるわね?」
「お菓子かしら~?凄く気になるわ~」
「あれからの報告も兼ねて来てみたが……これまた美味しそうな匂いがするね?」
追加のニコラ師匠にフラーメル師匠、リリウムさんも追加で参戦だ。まぁ、おはぎが良いか悪いか皆に判断してもらうのもアリか
「リッキューさんから貰ったお茶とか良いかな。後は……しょっぱい物……」
うぅむ……ここはちょっと悪魔的にポテチでも行くか
「はい、どうぞ。良かったら味の感想を聞かせて」
おはぎは結構単体で食べるにはくどいって人も結構居るだろう。なんせあんこをたっぷり使ってるし、だからこそのお茶や口の中が甘いで埋め尽くされた時に食べるうすしお味のポテチが余計に美味しく感じるんだ。まぁ漬物とかでも良かったんだけどね?
「あまあま!あんこあんま~」
「こりゃあ良いや旨し旨し……」
「お供え物みたいな事を料理中に言っていたと思いますが、これは……お供え物でも食べたくなりますね」
「へぇ、中々美味しいじゃない。ん?こ、これは!?このポテチと交互に食べると甘いとしょっぱいの連撃から逃れられな~い!」
「ニコ、ほっぺにあんこが付いてるわよ。にしても、本当に美味しいわ。これなら1食はコレと言われても納得のサイズ感でもあるわね」
「凄いボリュームだね。でも、これはちょっと甘過ぎるかも……あ、このお茶との相性が抜群だ!なるほど、これなら余裕で食べられそう」
概ね好評だけど、やっぱり甘過ぎという感想も出て来たか。まぁそこは仕方ないね。食べ過ぎたら普通に胸やけしそうな物だし
「食べやすくするならサイズ感とかあんこの量の調整とか、甘味の調整だけど……あんまりやり過ぎるとそれはおはぎかって話になっちゃうしなぁ……」
正直食べやすさとかで言うならお寿司形式のシャリの上にあんこを乗せるみたいなのがサイズ的にも小さくて食べやすいし、甘さも調節出来て、手も汚れにくいとは言える。でもそれをおはぎやぼたもちと僕が言いたくない。それはおはぎやぼたもちに対する冒涜とも言えるだろう
「こういうのは普通は内側にあんこを入れる物だと思っていたが、こうする事であんこの方を大量に使う事も出来るんだなぁ……」
ウカタマもなんか感心している様に言っている。普通にお饅頭みたいに中に入れた方が食べやすいんだろうけど、このスタイルがおはぎだしなぁ……僕が歪めて良い理由にはならない
「これなら小豆の売り先も増やせそうな気がしますね?」
「それはそうかもしれんが……そもそも生産は行けるか?米の方でも割と手一杯だった様な気が……」
御稲の国で結構お米を作ってるだろうから、そこから更に小豆もとなると、手が足りなくなるのかな?
「うーん……そうなると、作ってみるか?コンバイン」
お米の方で手がいっぱいで作れないとなるなら、そっちに割く人員を減らせばいい。つまり、成長に関してはウカタマ任せに出来るけど、収穫は出来ないのであれば、収穫を何とかする。その為のコンバインを作ってみるというのはどうだろう?
「コンバ……なんて?」
「コンバイン。お米の収穫機。普通なら凄いデカい機械を作らなきゃいけないんだろうけど、ここなら魔法があるから、その辺で簡易化したり、小型化したり出来る気がするんだ。そうすれば、お米の収穫する為の人を減らせるからその分小豆の方に人を回せたりしない?」
「やりましょう。これは我々としても見逃せません。何よりハチ様が提案してくれているんです」
飯綱さんが僕の背後に立って、肩に手を乗せて来た。まぁ、国家の生産性が上がるというのなら、そりゃあ色々調整する飯綱さんにとってはありがたい話になるか
「それで!コンバイン?とはどのような物なのですか!?」
一応、テレビで見た機構的な物だと……稲を刈る、脱穀する、穀粒とゴミとかを分別するの3工程だったかな?
「刈取、脱穀、選別の3工程を1つの機械で出来るのがコンバインなんですけど、これはあまりにも再現するには複雑な機構なので、魔法で簡易化するなら3工程を別の装置にしてしまう方が良いでしょう」
「ですがその3工程なら既に我々がやっています。それでは効率化にはならないのでは……」
「それは、その3工程を行うのに複数人使っていませんか?」
「それは……」
「機械というのは、それがあれば1人でもその3工程をこなせるという事です。これなら人員の削減にも、その人の負担も減らせるのではありませんか?」
機械による負担の軽減は既に飯綱さんも経験済みだろうし、そこは理解出来るだろう




