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1955/2011

微妙な関係

「お前は既に知っているだろうが、私は別の聖女と交流がある。やはり、そちらと比べると、お前はまだまだ聖女とは呼べないな。誰にでも自分の正義を振りかざせば良い……そう考えている時点で真の聖女になるというのは不可能だろう」

 まぁ、元聖女のメリアさんを越えようとしてるならそれこそ、大教会で聖女をするとかまず初手で間違ってると言っても良い。廃れかけた地にも自ら向かって、人間や魔物等区別せずに癒して、相手の話を聞く。そして何より押し付けない。ここまで出来ればメリアさんに何とか並べると言える位だ。大病院で腕を組んでふんぞり返って大金を貰う医者と、地方の医者の少ない地域を回って少ない給料ですらその患者さん達の為に使う医者……とまでは言わないけど、まぁ、この位の差があるって突きつけた方が良いか


「私だって努力は!」

「あぁ、そうだろうさ。努力はしているだろう。だが、その程度の努力じゃあの人に比べたら微々たる物ってだけだ。今の聖女(お前)は技術はあるかもしれないが、ここで大金を払う客を選んで治療して教会に寄付させようって奴らの家畜でしかない。護衛も無しで自分の死も恐れずに限界集落などを回って治療をしていたメリアとは環境が違うだろうさ」

 勿論努力をしているという事は否定はしない。勉強を一日に3時間する。これは立派な努力だ。でも、一日に勉強を10時間してる人も居るってだけだ


「まぁ、これ以上は止そう。お互いにウマが合わないのに無理やり合わせようとしたら互いに傷つくだけだ。勿論、君の技術や志を全てを否定している訳でも無いし、思想も勝手にしたら良い。だが、押し付けた物は大抵拒否されるという事だけは覚えておいた方が今後の為になるだろう。この死神様考案の催しの告知は任せた。後はどの位広めるのかは君に任せるとしよう」

「可能な限り広めてくれると助かるのう?」

 流石にクドクドと説教が長くなり過ぎたかな?あんまり長い説教は逆に頭に入ってこないからこの位で辞めておかないと説教としての効果も無くなるだろう


「貴方は……どうしてそこまで私を否定するのかだけ聞かせて貰えませんか?」

 何で否定するか。かぁ……


「君個人を否定する部分で言えば他人が踏み込まれたくない所に踏み込んで来て余計なお世話をしようとしている所だろうな。だが、大部分で君の事を嫌っている一番の理由は大教会に所属しているからだろうか。今の私にはメリアの功績を利用して、聖女としての地位を高めたいだけに見える。だからこそ、私は今後現れるだろう他の聖女も皆一律で嫌いな状態からのスタートだ」

 お節介が悪いとは言わない。ただ、踏み込むべきではない所は理解すべきだ


「それは……いえ、確かにそうかもしれません。聖女は大教会にとって自分達の地位を高めるのに重要な存在だと言えます。メリア様はそういった枠組みから外れた存在だからこそ、その方と共鳴した貴方にとっては私が異物と言われるのは納得です……」

「ほう。話を理解しているじゃないか。お前の事が少し好きになったぞ?」

「ええっ!?」

 ボンっと音が鳴る様に顔が赤くなる聖女さん。デカいマイナスから、中程度のマイナスになった位の皮肉っぽく言ったつもりだったんだけどな……まぁ良いか


「冥界の魂が現世の子孫達との交流をする機会だ。だからこそ、しっかりと告知して欲しい。私は君の知名度を利用する。君が自分を証明したいのであれば、この功績自体はくれてやるさ」

「交換条件という事ですか?」

「あぁ、私は死神様からの依頼を達成したい。その為に知名度のある君に協力してもらう代わりにそれで得る信仰だろうが何だろうがは好きにしたら良い。私のお陰で会える機会を作りましたとか何とかな?」

 僕としては成功すれば死神さんから感謝してもらえるからそれで良いや。アドバイザーとして一応やれる事はやったという事で


「あの、貴方ってひょっとして凄く優しいのですか?」

「他人からの評価は気にした事が無いから知らん」

 他の人がどう思おうと、自分のやりたい事をやってるだけだし


「そうですか……分かりました。私も貴方の事がほんの少しだけ分かって来た気がしました」

「そうか。では役目は果たした。これで失礼する」

「あ、こちらから出てください。こっちなら聖騎士達も分からないはずです」

 窓を開けてドアとは逆方向から出ろと指示された。まぁソッチから出て良いならそっちから出るか


「では、後の事は頼んだぞ」

「はい。分かりました」

 何か分からないけど現聖女さんと少し仲良くなったかもしれない。それじゃあ失礼しよう


「全くハチも人が悪いのう?もう少し直接言ってやった方が良かったんじゃないかのう?」

「直接言っちゃったら面白くないじゃないですか」

「それで拗れるんじゃないかのう……」

「まぁ、大教会と拗れても僕にとってはそこまで問題ないですから」

 大教会と拗れるとなったらまぁ敵対状態になるって事だと思うけど、まぁ空島の教会に関してはほぼ大教会所属とは言えないだろうし、敵対しても問題無いだろう



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― 新着の感想 ―
死神さんがハチ君のスタンドみたいになってるのを想像してしまった。質問ですけど、聖女さんは死神さんの事視えていますか?それと、声は聞こえていますか?
聖女がチョロい・・・、聖チョ(ロ)?
大教会と敵対しても空島に行く手段が無いから防御は完璧! いくら地上で大教会が騒いでも大空からの高みの見物ですねw
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