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1951/2014

緑の馬

「何故だ……何故その状態で体が動かせる……確かに今は動かせないハズ……」

 本来なら動かせないハズの体を動かしているのだから死神さんも不思議に思っているのだろう。うーん、もしかしてシナプスの遮断とかそういう感じなのかな?脳からの命令を遮断してしまえば体は動かせないだろうし、脊髄でブロックしてしまえば、脊髄反射みたいな反応も起こせなくなるだろう。その状態で動けないって言うのは普通に納得が出来る。でも、今の僕は体を内部からではなく、外部から動かしているから、神経的な繋がりを絶たれても、動く事が出来る。割と滅茶苦茶な事を言ってるけど、これはリハビリ過程で体はどう動くのかとかをオーブさんと勉強したからある程度は分かるぞ


「ほう……ハチめ。自分の体を操り人形の様に、自分自身で操っているというのか。これなら理論上は脳さえあれば如何様にも出来る……体を捨てる可能性すらあるのう?」

 流石にそんなのは嫌だなぁ……脳だけで生きるみたいなのはちょっと……キッショいなぁ?


「む……」

 体の感覚が徐々に戻って来た。よしよし、キチンと動かせるぞ。結構効果時間は短いけど……まぁ戦闘中に体の一部でも回復不能の使用不可状態なんてなればとんでもない不利を背負う事になる。それを考えれば効果時間が短くても納得だな


「復帰も早いな……ふぅむ」

 何やら死神さんが考えているみたいだが、僕もこっちの修行はどうしようか?何か終わらせるきっかけでも無いと、流石に終われないというか、何というか……


「うむ、この位で良いだろう。今度は水ではなく槍でも降らせるか……」

「おー、ハチ君が耐えられなくなったらミンチになりそう!」

「バリア無しで挑ませるか?」

「ちょっと待て。それでは流石に死んでしまうのではないか?」

 少し賑やかになった深淵の覗き穴の向こうでわちゃわちゃ喋りながら水が止まり、そして穴も消えて行った。どうしよう。次の修行はマジで死ぬかも知れない……


「おや、終わったのかのう?」

「ええ、協力してくれた方々が今日はこの辺で良いだろうという事で、終了ですね」

「そうか。ならば……」

 この流れはもしかして……


「また仕事を手伝ってもらっても良いかのう?」

「ですよねぇ~。勿論です」

 まぁ、死神さん達は常に仕事に追われてるし、それも仕方ないよねぇ。僕も一応は死神さん達の仕事を手伝う義務みたいな物もあるし


「で、今回は何を?」

「今回は冥界で軽く幽霊達の為のイベントを開く事になったのだが、幽霊向けとは言いつつも、実際に生きている者から見ておかしな所や直した方が良い所などあれば教えて欲しい。所謂アドバイザーという奴じゃな。あくまでも主催は我々じゃから、外からの意見が欲しいんじゃよ」

 なるほどね。確かに、それは大事かもしれない。一応、個人開催のイベントをやったという経歴はあるから、多少ならアドバイザーとしての役割は果たせるかも


「分かりました。それで、どんなイベントを開催する予定で?」

「一応、考えているのは、幽霊達が地上の様子を見に行ける日という物だな。現世に残して来た者達をより間近で見られる日という物だ。勿論、行ける者はこちらでしっかり選んだ模範的で優秀な者達のみだが……」

 まぁ、元死刑囚とかが幽霊の状態で地上を見に行く可能性とか大丈夫かなと思っていたけど、そこは死神さん達が選んだ地上に行っても大丈夫そうな人で纏められてるのか。それならまだ何とかなるかも


「なんだかお盆みたいだなぁ……」

 もう季節的には終わってるけど、雰囲気としてはそういう感じじゃないかなぁ?


「お盆?」

「あぁ、えっと、僕らの所でもご先祖様が子孫の所に帰って来る日みたいな感じでそういった日があるんです。だからお墓参りとかしたりするんですけど……」

 そういえば、この世界的にはお盆ってないのか。ふぅむ……


「興味があるな。少し聞かせてくれないか?」

「え、えぇ。えっと、何か特徴的なの……あ、ご先祖様が現世に来る時にはキュウリで作った馬とナスで作った牛を用意するんです。キュウリの馬で早く来て、ナスの牛でゆっくり帰ってねって感じで……」

 お盆で一番特徴的と言ったら精霊馬だろう。初めて見た時は何だコレって凄く不思議だった


「キュウリ?ナス?何故だ?」

「確か、お盆は夏頃で収穫出来るからキュウリとナスを使った……とかだったかな」

 正直そこまで詳しい事は分からないからこの辺はフワッとさせておこう


「なるほど、実りの感謝の念も含まれていそうじゃのう?」

「多分そうだと思います」

「ふむ……実りへの感謝と先祖との交流か。素晴らしい考えじゃのう。これは使えそうじゃな。キュウリの馬とナスの牛じゃな!分かった!」

 あれ、これちょっと変な方向に話が進んでないか?これもしかして……




「これでどうだ?」

「あぁ……多分良いと思います!」

 等身大の緑色の馬。冥界で育ったのか分からないけど、僕より大きいキュウリが切られて馬の形になった。このキュウリで出来た馬に幽霊達を乗せて地上に行くのかな……多分僕の想像してるお盆と違うだろうけど、まぁ面白そうだしアドバイザーとしてはこれは許可すべきだろう



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― 新着の感想 ―
お盆の文化が魔改造されそう、、、
削り出したことでキュウリ臭が凄いしそう
キュウリの馬(削り出し)かー… 端材どうすんだろ。
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