ダンシングシャゴース
「ショーコさんどうだった?人間の世話係ってあんな感じで色々とやるんだけど、深淵の世話係とは全然違う?」
「全然違った。人間の世話係はやる事いっぱいで、覚えられるか不安だった」
深淵の世話係の方が簡単なのか。まぁ、あっちにテーブルマナーがー、とか何とか言う存在が居ないだろうし、そもそも食事をするのかっていう所もあるから、そもそもマナーという縛りが無いのかもしれない。そう考えると深淵は深淵で楽そうだな……
「どうするショーコさん。もう深淵に帰る?それとももう少しだけ街を見たりする?」
「もう少し、街を見たい」
「オッケー。それじゃあ一緒に街を見ようか」
ショーコさんを連れて、サーディライの街を見て回るとしよう
「さっきは急いでいたけど、今日は何か祭りをしてるのかな?」
そういえばさっきはかなり急いでいたから、周りを見てなかった。オーラを併用して人とぶつからない様に位の気持ちでしか見てない
「おぉ、今日は踊りのお祭りかな?」
リオのカーニバル……ではなく、2人1組で踊りを踊るスタイルみたいだ。社交ダンスとかの方がノリとしては近いかな?
「踊り?」
「音楽とかに合わせて体を動かす……まぁ、見ての通りかな」
今日に合わせてか、演奏隊みたいなのも居る。だからその演奏に合わせて、皆が躍ってる
「うーんそうだな。社交ダンスチックだし、多分行けるか。ショーコさんついでだし踊ってみる?」
「うん、やってみたい」
シャゴース君の人生経験としてこういうのもあって良いだろう
「右手を掴んで、左手は僕の腰に、右に1歩左に1歩、右、右……」
軽くレッスンをして祭りの踊ってる人達の中に入って行く。大事なのは多少崩れても良いから音楽に合わせる事だろう。どうせ素人同士の踊り何だから楽しまないとね
「はい、そこでターン。良いねぇ。ちゃんと音楽に合わせて踊れてるよ」
「これ、結構楽しいかも……」
趣味が踊りのシャゴース……良いんじゃないか?中々可愛い存在だと思うぞ
「ハチも、流石」
「僕はまぁ、多少は踊れるからね」
【舞術】のお陰で踊りに補正が入ってるからだけど、まぁ全く踊れないという訳でもない。あくまで補正であって、実際に踊らないと補正も掛けられないし
「おっ、音楽が変わった。となったら踊りも変えようか。次はこんな感じで……」
「こんな感じ?」
「そうそう!覚えが早くて助かるよ」
ゆったりした曲調からちょっと激しめの曲に変わったので、それに合わせて踊りも変える。それをショーコさんに教えたらすぐに模倣出来たので、教える側としても助かった
「まぁ、オリジナルダンスだけど、多分大丈夫でしょ……」
周りを見たら、男女ペア、女性ペア、男性ペア、何なら召喚獣らしき存在とのペアも居た。そしてその全てが音楽に合わせて、各々ダンスを踊っている。たまに同じ様なモーションはあれど、基本は全員違うダンスだ。だから僕らも適当に踊っても良いはずだ
「楽しい……」
「楽しいを見つけられて良かったよ」
今後もし何かショーコさん……いや、シャゴース君に何か頼む事があったらダンスを報酬にして頼んだり出来ないかな?流石に無理か
「よし、そろそろ帰ろうか。時間も良い時間だしね」
「分かった。今日は色々楽しかった」
「そっかそっか。それじゃあ空島に帰ろう」
結構な時間ダンスをしたし、割と注目も集まってた気がした。普通にシャゴース君に教えたダンスが即出来るからダンスとしての完成度もこれまた高いし、僕らはメイドと執事の恰好でダンスをしてたから余計に注目を集めたと言っても良い。ここは撤退するに限る
「ふぅ、これで一安心っと」
やっぱり空島に帰ってきたら一安心出来るなぁ……
「それじゃあ、戻ります」
「うん、皆のお世話も頑張ってね」
「分かった。頑張る」
シャゴース君がそういうと、地面に深淵の穴が開き、シャゴース君はその穴に落ちて行った。アビス様もシャゴース君を待ってたのかな?
「さてと、それじゃあ次は……」
「おう、ハチ!ちょっと良いか?」
「あれ、ホフマンさん!お久しぶりです」
「おう、久しぶりだな。実はちょっと困った事になってな……」
「ほう、困った事ですか」
ホフマンさんの困りごとか。何だろう?
「コイツを見て欲しい」
「わぁ、これはまた随分と使い込まれたフライパンですね?」
ホフマンさんに見せて貰ったのは年季の入った取っ手部分が折れて壊れてしまったフライパンだった
「あぁ、こいつぁ、クエスト報酬で貰ったんだが、これって修理は出来そうか?」
「え、この状態で貰ったんですか?」
「あぁ、そうだ。この折れた状態で渡されたんだ。しかも、俺がいつも使ってたフライパンが消えちまったんだよ」
となると、自身の装備してる物とこれを交換っていう形の報酬か?だとしたら、ホフマンさんが可哀想だな
「一応、予備のフライパンもあるっちゃあるが……」
「どうしましょう?その元々のホフマンさんが持ってたフライパンを取り戻しに行くか、コイツを修復してみるか……」
「一応、その状態でもレアリティはレジェンダリーらしい。だからソイツを修理出来るならしてみてくれないか?こういうのはまずハチに見せようと思って、他の鍛冶屋にはまだ見せてないんだ」
そういう事ならやってやろうじゃないか!




