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1932/2011

黄金の制御

「ハチ君ハチ君。いったい君は何処からこんなのを連れて来たんだい……元居た所に返してきなさい」

 なんだろう。捨て猫とか拾ってきて家じゃ飼えないって言われてる様な感じだ。ワープゲートでモルガ師匠の所に来たけど、まさかそんな事を言われるとは……


「そっかぁ、じゃあモルガ師匠もこのくつろぎ空間から元居たあの家の方に返してこないと……」

「まったまった。単なる冗談じゃないか?な?だからその両手をわしわしするのを止めないか?」

 お部屋の掃除でもしようかと思ったけど、追い出されるって思ったのか、急に正座しだしたモルガ師匠。本当にこの人面白いよなぁ……


「とりあえずこの人はミルダスさん。どうやら魔力が暴走しているっぽい気がするんで、魔力操作を何とか出来れば能力の抑制が出来るんじゃないかと思うんですが……もしくは魔力が暴走しているなら魔力そのものを一旦霧散させてしまうのも手かなって」

 ミルダスさんが魔力暴走みたいな状態で触れる物全てを金にしてしまうのであれば、その暴走する魔力自体を無くしてしまえば一時的な対処にはなると思う。その間に座学をしてしまえば、魔力制御とかもしやすくなるんじゃないかな?


「え?え?魔力を霧散?まさか魔力霧散症にでもする気?そんな物何処に……」

「ちょっと前に貴族の決闘に巻き込まれた時に何か使ってた毒を回収出来たんで、それを使えないかなって。一応、この毒を新たに作って【違法改造】する事で効果時間と能力を調整する事は出来ますが……」

 一応、ドクターと作った薬をモルガ師匠に見せる


「いやいや……魔法使い殺し、魔女殺しと言われる毒を持っているのもヤバいのに能力調整が出来るって……」

 確かにこれを使われた相手が魔法使いやら魔女と呼ばれる相手なら無力化されるだろうし、魔法使い殺しって言われるのも分かる


「まぁ、深く考えなければ確かに相手を殺す為の毒でしょうけど、今苦しんでいるミルダスさんにとってはこれは薬になると思ってます」

 誰かにとっての毒は誰かにとっての薬になる。そんな気はするんだ。強すぎる薬は毒になるし、弱い毒は薬になったりもする


「ミルダスさんが自分の事を制御出来れば、もう苦しまなくて良くなるでしょうし、そのミルダスさんの能力を自由に使えればミルダスさん自体も嬉しいでしょう?」

「それはそうだが……どうして君は……」

 どうして。か……そうだ。ここはちょっとミルダスさんもこの話を受けやすい様に誘導してみるか


「どうして?僕らはミルダスさんのダンジョンをクリアしたけど、お金は僕には報酬にならないんで、ミルダスさんにはお金以外の報酬を……」

「ふふふふ、あぁ言ってるけど、単に困ってる人を見捨てられないだけなんだよ。よしよし、ハチ君!さっき言ってた魔力霧散の薬を彼に使ってくれ。その効果時間の隙に魔力操作を叩きこんであげよう」

 なんだかんだ言ってもモルガ師匠だって、困ってる人を見捨てられないからこうして僕の話を受けているんだろう。案外僕らは似た者同士なのかもしれない




「おりゃおりゃ!」

「ぐおぉぉおぉ!?」

 ミルダスさんが魔力霧散の毒を服用して魔力が枯渇した隙にモルガ師匠がミルダスさんの体に魔力を流し込む。魔力回路を押し広げるとかそういう感じなのかな?


「こ、これは……本当に合っているのか!?」

「……多分」

 正直これに関しては僕もよく分かっていない。それが合っているのかどうかはこの場ではモルガ師匠しか分からない




「ふぅ!やっとやっと終わった~。体の中まで一部変化してたのには困ったよ~」

「体が……軽い!?」

 1時間以上掛かったのか、10分も掛かっていなかったのか分からないくらいミルダスさんは体に魔力を流されて色々してたみたいだけど……どうやらミルダスさんの体は魔力制御を覚えたって事で良いのかな?


「お、おぉぉ……」

 掌から金貨が湧き出る様に発生させたりしている。おぉ、金貨が空中を浮いたりしてるぞ?


「ハチ君。君のお陰だ」

 そういってミルダスさんが右手を差しだして来た。これはつまりそういう事だろう?


「いえいえ、これはミルダスさん自身の力ですよ」

 その差し出された右手を僕も右手で掴む。ミルダスさんと握手をする


「僕が金に変わる事は無いみたいですね。改めておめでとうございます」

 ミルダスさんは自分の意思で触れる物を金にするか、否かを操れる様になったみたいだ


「ありがとう。君達のお陰だ……そうだ。君は確かあの時硬貨を投げて戦っていたね?」

「あぁ、モノさんですね」

 そう言うと、モノさんが僕の横に現れた


「なるほど……改めて見てもあの硬貨がこんな姿に……確か君達はお金は要らないという話だったね?」

「ハチに、お金は要らない」

 わぁ、バチバチだ……モノさん明確にミルダスさんと敵対しそうだなぁ……


「いや、そういう事であれば、この力は君に授けるべきかもしれないな」

「ん?」

 ミルダスさんがモノさんに近付く。モノさんも警戒するけど、ミルダスさんがグッと右手を拳にしてから開くと、金色の光のオーブが1つ現れた


「これを受け取ってくれ。この力で君は更にハチ君の力となれるだろう」

「……もらっておく」

 どうやら今回のダンジョンは強化アイテムではなく、モノさんを強化する事が出来たみたいだ



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― 新着の感想 ―
なんか更にヤバくなる未来しか見えないんですけど、、、
明鏡止水モードモノさん!?
ゴールドなモノさん爆誕!
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