知と暴
「分かりました。成功すれば壊れないで強化。失敗したらその能力を移植して、新しい物を作るって事ですよね?」
「そう。思い入れのある物でギャンブルする事になるけど、どう?」
「ハチさんの技術をもっと見たいので、よろしくお願いします!」
そう言われちゃうと僕も退くに退けないな?
「分かった。どっちにしても良い物は絶対に作る」
しっかりとイメージを固めて、壊さないで能力だけを引き抜くイメージで……
「「「……」」」
トーマ君の装備から、【ミラクルポケット】の能力だけを慎重に抜く。もう限界も限界なジェンガを引き抜いてるイメージだ。少しでもズレたら崩壊する……その緊張感が2人にも伝わったのか、2人共固唾を吞んで見守ってくれた
「ふぅ……」
半分位までは来てると思う。焦っちゃダメだ。あと少しだからとここで一気に抜こうとしたら、多分装備が壊れる。ゆっくりじわじわ抜く事で装備自体に勘違いさせる位ゆっくりだ
「で、出来た……」
「「おぉぉぉ……」」
多分、この作業自体はもっとスムーズに出来るのかも知れない。そういう能力が本にはあるんだろうけど、慎重に作業をする事で、壊れにくくする事も出来るんじゃないかな?
「それじゃあ、一旦これを記録して……そうだな。この装備を強化するなら、服の素材も色々変えて、錬金がしやすい様に動きやすさと、失敗しても大丈夫な様に防御力も上げる形の強化と、トーマ君の戦闘スタイルを強化する方向の細工もしておこう」
ミスリル糸だったり、魔物の皮素材だったりを使用して、トーマ君が動きやすく高い防御力も得られる様に持っている素材も色々と使う。トーマ君は自分の思い出の品を僕の実験の為に使わせてくれたんだからこっちもそれ相応の物を作らないと不義理だろう。持ってる物は惜しみなく使うつもりだけど、流石に相性が良くない物は使わないぞ。Nマター君の事だ
「錬金するなら変な悪影響とかあったら良くないからね」
「ん?」
「いや、何でもないよ。こっちの話。そして、特殊能力だけど、確かこの辺に……あったあった」
例のリビングアーマー達から得た特殊能力の中に拡張インベントリとかその辺の能力もあった。だからこの辺りの能力と【ミラクルポケット】を合体させる
「うん、良い能力だ。ついでに残ってる能力も強化するか!」
能力を追加したり、複合したりして、トーマ君の装備を更新していく
「後は、こういうのも意匠としては良いよね」
トーマ君の装備の背中部分に錬金術の魔法陣を描きこんだりして、大量のポケットと追加で試験管とかもさせるホルダー的な物も増やし、完成した
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ワイルドプライド
レアリティ PM
MP +120
全ステータス +60
耐久値 270%
特殊能力 ポケットアトリエ(大量のアイテムを収納が可能で、錬金釜を出さずに錬金を行える)自動修復(時間経過で耐久値が回復する)スピリットオブワイルド(自身の種族特性と召喚獣や従魔の身体的特徴等を一時的に強化と憑依が可能になる)アルケミストプライド(錬金術で作ったアイテムの性能が向上する)知性と暴力。それは使い分ける事で困難を乗り越える力となる
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「こんな感じかな……」
「えっ!?なんですかコレ!?」
「とりあえず装備してみてよ」
そう言いながら完成したロングコートをトーマ君に渡す
「す、凄い……錬金釜を仕舞ったまま錬金が出来る……それにしっかり性能も品質も高い……」
「僕としてはソッチじゃなくて、もう一つの方の能力を試して欲しいかな」
「そ、そういえば!えっとこれは……へっ?」
多分発動したんだろうけど、トーマ君は犬か狼かは分からなかったけど、全体的に目に見えるオーラを纏っており、手には爪が、尻尾は大きく、足も地面に爪が喰い込んで一歩踏み出したら凄い加速しそうだ
「一応、トーマ君て多分獣人でゲーム始めたでしょう?だからその獣人の特性みたいなのがその今纏ってるオーラ。敵に突っ込むならそういった能力向上スキル系もあった方が良いでしょ?あとは、トーマ君の仲間の能力を自身に憑依させて使える様にしたりが出来ると思う。そこは実際試してみて調査だね」
これでドラゴンの能力を憑依させて飛べたり、テイルスマッシュ的な攻撃の強化がされたりすると近接戦ではかなり強くなるだろうし、妖狐の能力を憑依させたら魔法攻撃も強くなりそうだな?
「これで2人はこれまで以上にもっと色々出来るんじゃないかな?」
「ヒャッハー!感謝してもしきれねぇぜ!」
「ありがとうございます!魔物素材でしたね!絶対にいっぱい集めます!」
助かるぅ。やっぱり人との繋がりってあった方が良いな。流石に誤魔化し効かないかなぁと思っていたドロップの低下も他の人に頼る事で何とか誤魔化せる
「なぁ、2人でそこらのボス相手に試してみようぜ?」
「はい!」
「僕は少しやる事があるから見学には行けないけど、結果は後で知らせてね?」
他の人を強くするという事はその人達と戦うとなったら苦戦を強いられるだろうけど、その人達が僕の助けにもなるんだから強化しない手は無い。むしろ、相手がそれだけ強くなったなら、僕も強くならないとね?
「これは、一旦次のボスに挑んでみるか?」




