孤児院への提案
「孤児院の自立?」
「今の所、孤児院はメイドさんの支援ありきの経営状態になる位ヤバいですよね?」
「それは……まぁ」
孤児院は立派な施設だけど、経営状況とも言えないかなりヤバい状況であるのは変わりない
「なら、孤児院自体で何かしらの販売とかをして、自分達の糧を自分達で稼ぐ。とかどうです?」
そもそもの収入が多分今の状況だと何も無いみたいな状況だと思う。だから、孤児院の子共達に自分達で稼ぐ術を覚えてもらう。それなら孤児院は自分達の力で経営し続ける事が可能になるんじゃないかな?
「それは……だが、孤児院の子供は学校には行けていない。自分達で何かを稼ぐというのはあまりにもハードルが高い気が……」
「だから、さっき言ったじゃないですか。支援の方向を変えるって。直接孤児院に食料とか金銭を与えるのではなく、稼ぎ方を教える。あるいは、この家であの孤児院を買って、子供達に教育をしつつ、労働力とする」
まぁ、言い方は良くないかもしれない。子供を労働力と見なすのは酷と言えば酷だけど、例えば、商人のお手伝いとして、最初は店の品出しとかをして、学習が進んだら、その日の売り上げの計算とか、そういった事が出来れば絶対将来役には立つと思う
「まぁ、これに関しては無理に推し進めなくて良いですよ。明らかにリスクは高いですし、批判を貰うかもしれません。それに僕はずっとここに居れる訳では無いので、責任も取れません。あくまで、今の形からの脱却をした方が良いと思ったので、そういう提案をしました」
「なるほどな。子供達の未来を考えて、子供の内から働かせる。確かに、それによってコネを作る事も可能になるかもしれんな……」
孤児院って何歳まで居れるのか知らないけど、孤児院を出た後どう生きていくのかは分からない。それなら子供の内から孤児院を出た後の事を考えた立ち回りが出来る様にしてあげるのが良いんじゃないだろうか?
「僕は孤児院に居る間だけじゃなく、その後の生活を考えた提案なので、納得出来るかどうかはメイドさん次第ですかね?」
正直、この提案を通すなら、孤児院と繋がっているメイドさんに仲介というか、説明をしてもらった方が孤児院サイドとしても、受け入れ易いと思う
「まぁ、絶対無いとは思いますが、これであのシスターさん達が金に目が眩んで子供達を金稼ぎの道具みたいな扱いをし出したらその時はシスターを何とかしなきゃいけなくなったりするんで、この計画を進めるならある程度の覚悟はしてからしてくださいね?」
本当に怖いのは、この計画が軌道に乗って、孤児院にお金が貯まってシスター達が子供達の為ではなく、自分達の為にお金を使い出すとかしちゃうと良くないから、そこは割とシスターさんに掛かってる
「ふむ、ならば孤児院で何か商品を作るのはどうだろう?自分達で売る物を作り、自分達で売る。それならば暴走する事はかなり少なくなるんじゃないか?」
「確かに、それなら良いかもしれません。食べ物とかなら売りやすいでしょうし、余っても、自分達で食べられますね」
いやぁ、まぁ正直その提案をずっと待ってたよね。こういうのって他の人に提案された物を受け入れるより、自分達で決めた物の方が納得感もあって真剣に取り組んでくれると思う。これだって主体で動くのは支援する貴族と、孤児院の話だからね
「その辺の話を孤児院の人達に受け入れてもらうには、やっぱりメイドさんに話して貰うのが一番なのは変わりないとは思います。なので、その辺の交渉は任せましたよ?」
「ま、任された……」
よし、僕から出来る支援はこの位かな?
「では、こちらの要件は済んだので、そろそろ帰ります。上手く発展する事を祈ってますよ」
「あぁ。あぁそうだ。あれから貴族の決闘が起きそうになると、決まって私の所にあの使用人は何処で雇ったんだと聞かれるから、この街で動く時は気を付けた方が良いかも知れないぞ」
まぁ、そうなるよねぇ……でもご安心めされよ
「それなら問題ありません。そもそも金では僕は動きませんし、街に寄る事もそんなに無いです。見つかったとしても、僕に勝たないと使用人として働かないとか言っておいてください。あの時は気まぐれで参加しただけだと」
奥様の所で使用人として有名になったなら、奥様から何とか紹介してもらえないかとか頼みに来る人も多いなら、その条件でまず全員追い返せるだろう
「分かった。これから来る者達にはそう言っておこう」
「ありがとうございます。では」
さぁ、毒の解析やら魔法の本の事やら色々と検証とかしたい事だらけなんだ。はよ空島に帰って調べないと!
「という訳で、ようこそお越しいただきましたドクター」
「ええ、先ほどの話に聞いた毒物。それに大変興味があります。是非とも解析の協力をさせて下さい」
一応、技術協力として、毒物を入手したからドクターにメッセージを飛ばしたら秒で返事を貰えた。ドクターとしても、この毒物は興味あるんだろう
「それじゃあ、早速」
「解析して行きましょう!」
毒薬解体ショーの始まりだ
 




