装備更新の為に
「やぁ、ハチ君……ん?その恰好はドクターの真似かな?」
「オー!キタネ?技術の発展には犠牲は付き物ー。ってな感じで、どうします?何かを1から作るか、強化するか、選べます」
白衣と、大きくて反射のせいで最早僕の目が見えないだろう丸い伊達メガネ……風にした無形の仮面。ステレオタイプって言われたらその通りだけど、これ程分かりやすい博士って感じも無いだろう
「なるほど?それで博士?そのどちらかを選ぶ事によってどう変わるんだい?」
「……まぁぶっちゃけちゃうと、多分そんなに変わらないかも知れないです。失敗したら無くなる。成功したら強くなる。それだけなんで。まぁ、思い入れのある装備を無くしたくないなら1から作る。思い入れのある装備をまだ使っていきたいなら強化。でも、両方共同じ位に壊れる可能性があるって感じですかね」
実質どっちを選んでも、僕は全力でやるからどちらでも良いと言えば良いかな?
「ハチ君としては、どっちが全力を出せる?」
それはちょっと難しい質問だな……
「失敗してもまた素材を集めれば良いという点では1から作った方が、色々と自由に試せるから能力の限界は突き詰めやすい。でも、絶対に失敗したくないって気持ちで挑めるから、成功率って面での全力なら多分強化の方が高いですかね」
正直どちらでも能力自体は完成品としてそんなに変わらないとは思う。大事なのはどれだけソレを作るのに気持ちを込められるか。それで成功に対してのモチベーション的にも結構変わる気がする
「そうか……なら……これは強化する事は可能かな?」
「これは、おぉ!懐かしいですね」
ハスバさんが僕に提示したのは四王剣フォー・オブ・ア・カインド。これを強化しろと。なるほどなぁ
「コイツはずっと私を支えてくれた1本だ。もし、強化出来るのであればして欲しいが、可能か?」
「可能か不可能かで言えば、可能だと思います。うーん……それならいっその事、そのスクール水着も強化しますか?」
「えっ?」
「1から作る場合はじっくり時間を掛けますが、強化の場合は一度戦闘する必要があるんで。あぁそうだ。強化に関してなんですけど、耐久値が破壊不可のアイテムも強化出来るんですけど、それをする時は耐久値の対策はするつもりですが、耐久値が出来てしまうので、そこはどうしようもないですね」
これは先に言っておかないとね
「なるほど……1から作るは当然ながらハチ君の自由な発想で物が出来るけど、強化の場合は耐久値が無い武器や防具も強化可能になるのか……つまりはレアリティが高くて、強化出来なかった武装も……」
「レアリティが下がる?事にはなるかもしれませんが、強化は可能です」
レアリティがプレイヤーメイドになるだろうから、レアリティが上がったか下がったかはその人によるとしか言えないな
「なら、四王剣の方は強化したい。失敗したとしても、それもまた思い出だ」
場合によっては序盤に出て来たレジェンダリーアイテムよりも、後半に出て来たアンコモンなアイテムの方が強いなんて事が起きても不思議ではない。それこそ成長装備とかでもないと、武器がついて行けないなんて事が起きるかもしれない。というか、既に何処かしこで起きてそうだなぁ……
「分かりました。じゃあ、先にどういう強化にするか考えますか」
「お、おう……」
まぁ、ハスバさんにはこのやり方は初めて見せるしなぁ……
「一応、軽く纏めたらこんな感じが良いですかね?」
「これは……果たして扱い切れるんだろうか?」
「それは知らないですね!僕は僕の発想で出来る事を考えたんで!」
「いや、素晴らしい。そうでなくては!」
とりあえずある程度どうするかの形は決めた。これはまた大分形も変わったぜぇ?
「スクール水着は……あんまり気乗りしないですが、ハスバさんをハスバさんたらしめている部分だと思いますので、せっかくだしそっちもやりましょう。スクール水着が良いんですよね?」
「あぁ!競泳水着だと少し変態度が落ちる気がしてな」
別に落ちても良いと思うけどなぁ……
「となると、今のハスバさんの実力というか、戦闘スタイルも知りたいので、手合わせお願いします」
「了解した」
決闘システムを起動して、ハスバさんと決闘をする。ハスバさんがやりたい事とか、出来そうな事をこれで理解して、ハスバさん向けの専用装備を作る。そうする事で、ハスバさんへの恩返しもちょこちょこしていこう
「じゃ、行きますよ?」
「あぁ!」
ハスバさんが構えたのは苦無と大剣状態のフォー・オブ・ア・カインド。この状態のハスバさんの攻撃の魅力というか、利点は瞬時に遅くて重い一撃と、軽くて速い連撃への移行が可能な所。相手の行動を見てから、痛烈な一撃を叩きこんだり、動きそうなら軽くて速い連撃で動きを固めたり。そして何よりあの苦無も中々に厄介ではある。重い一撃と軽い連撃。そこに急な中距離攻撃も飛ばせるし、武装が大剣だと見てまだ遅い攻撃が来ると思っている時に苦無による不意打ちも出来る。正直言って、これの対処だって結構キツイよ?




