超ショートカット
「待ってくれ。これは流石に何か褒美をやらねば失礼になってしまう。何が良い?」
「僕は今何かに困ってる訳では無いので、その内何か協力して欲しい時とかあったら協力してくれればそれで良いですよ。まぁ、直近ならあのメイドさんを雇ってあげて欲しい位ですかね?あえて勘違いさせる様な言動をしたので、僕に対してはかなり悪感情を持ってるかもしれませんが、勝負でしたので。あ、【レスト】」
あのメイドさんは孤児院を守りたいだけだったかもしれないから、僕としては彼女はこれからもキチンと賃金を貰える環境に居て欲しい。さっきの奥様の一撃でギリギリの状態だっただろうから、これで、回復しておかないと
「本当に何も要らないのか?」
「地位も名誉もお金も要りませんね。なので、多分何か欲しい物があったとしても、用意出来ないかなって……」
一応、やんわりと何も要らないと言ってみる
「それは……困ったな。そうだ。君、戦闘以外に何かやっている事はあるかい?」
「戦闘以外ですか?まぁ、色々してますよ」
まぁ、技術開発だとか、島の発展だとか……
「君、【付呪】とかに興味は無いか?」
「む?」
それは少し興味あるなぁ?
「【付呪】は、やっていますね」
「そうか。なら、これを受け取ってくれ」
『求める力。付呪 を入手』
『求める力。付呪 レアリティ レジェンダリー 付呪に対する様々な事が書かれているが、まだ先がありそうだ。 使用すると、【付呪】を使用する際に、能力にボーナスが掛かる』
渡されたのは少し古めかしい本だった。ただ、その本は表紙から伸びた鎖によって厳重に封印された感じで肝心の中は読めない様な状態になっている。でも、これを使用したら【付呪】にボーナスが掛かるのか。いや、これ絶対罠でしょ?これこの段階で使用するのは絶対に勿体無いと思う
「これは?」
「私の曽祖父が纏めたとされている本だ。私の曽祖父は付呪師として名を挙げたらしい。が、母方の血筋が濃くて子供には魔法の才が優秀な子が増えて、いつしか魔法の名家となった。今では付呪をしっかり扱える者が居ない。で、あれば、その意志を継げない子孫よりも、意志を継げる者へ託した方が曾祖父も喜ぶだろう。これは私の命を救ってくれた事への感謝でもある。ありがとう」
なるほどなぁ。確かに、そういう事ならこの本の所有権を貰えるというのであれば貰いたいな
「分かりました。曾祖父様の御意志を継げる様に努力致します」
「いつか、また会いましょう。名乗るのはその時にしましょうか」
「あぁ、今度は是非名前を聞かせてくれ」
「「では」」
僕は貴族様の敷地から出ていく。2人は残って、その後の話合いとかをするんだろう
『貴族の決闘 をクリアしました』
「あ、魔力霧散症の毒の事忘れてた……まぁ、また会った時で良いか」
正直今はその毒よりも気になる物を入手しちゃったからね
「貴族の決闘のクリア報酬がコレだとして、間違いなく、これはその先があるよなぁ?」
この本は今使って良い物では無い気がする。アイテムとして使用してしまったら、多分本は消えるだろうから、まだ使用せずに、このロックを解除出来る物を……
「開けなきゃ……開けなきゃ……」
「あ、これ……」
本を閉じる鎖が集まっている部分は何か窪みの様な物が有る気がする
「これって……本来はちりじりになった鍵のパーツを集めてこの貴族クエストをクリアして、初めて完成するって奴だった?」
だとしたら、これはかなり近道をした気がする。まぁ、そんな訳無いと思うけど……サイズ的には同じ位だし、もしかしたらハマるかなぁ……なーんて……
「開ける!」
丸い鍵が表紙の窪みにカチッとハマり、鎖が消えて行った。マジか……これで合ってたって事は確実にボク何らかのクエストラインを破壊したな?
「いや、嬉しいけども……」
本来はまた何処かに行って、欠片を集めて……このサイズ感だし、多分3つ位に分かれてたんだろうけど、それをリペアリキッドで修復して通っちゃった!
『秘術・付呪大全 を入手しました』
『秘術・付呪大全 レアリティ ユニーク 付呪能力を完全に記録し、何度でも使用する事が出来る。付呪を行う時、武器や防具が壊れるのが、確定から確率になる』
あ、これヤバい奴だ
「ボーナスは確かに良いとは思ったけど……こっちに比べたら霞むかな」
能力の上限としては、確かに封印された本を使った方が上昇したかもしれない。でも、こっちは記録した付呪能力を何度でも使用出来るし、しかも確定破壊だった物が確率で破壊になるって事は物が無くならない場合があるって事だ。つまり、それが武器だったら、また溶かして作り直した時に能力が付いてたら、もう一度何か得られるかもしれない……語彙力が足りてないけど……これヤバいぞ?
「多分、この本を使ってる状態というか、手に持ってる状態だとそういう事が起きるって事なら、武器の確定破壊と確率破壊を使い分ける事も出来るんだろうか?」
付呪能力の記録は本に記していく形で保存されるだろうから、これまた色々出来そうだ
「まさか、あの鍵みたいなのもこんなアッサリ取れちゃうとは思ってないだろうなぁ……」
大分ショートカットした気はするなぁ……




