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190/2001

時間の掛かった仲直り

「あんたってホントにお人好しね?多分だけど渡した物と報酬が全然釣り合ってないわよ?」

「別に良いよ。例え釣り合ってなかったとしても相手がちゃんと僕が欲しいって言った物を用意してくれてるんだから僕にとっては釣り合ってるし、良いの」

 損得勘定だけで考えると僕が損してるかもしれないらしいが、僕は満足してるからオッケーだ


「いつか悪い人に利用されそうね……」

「まぁまだ悪い人に会ってないっていうのもあるけどそもそも人と会わないからなぁ……」

 色んな人と会えばその内悪い人とも関わる事もあるだろう。でも、僕そもそも人間よりも人間じゃない存在と関わってる数が多いから悪い人って存在が珍しい。村の皆も良い人ばかりだし……


「僕だって人を利用するけどね?」

 先義後利って言葉がある。道義を優先して利益を後回しにするって意味だけど僕的には今すぐ何かお返しします!って言われても特に思いつかないから今度困った時助けてくれるかな?って気持ちで先義後利な事をやっているって言えば良いのかな?


「ふーん?まぁそれで良いなら私も良いんだけどさ?」

「エアラさんだって今僕を利用してるでしょ?」

「……私は良い奴だから良いの」

 それ悪い奴の言う言葉では?


「ほら、さっさと泉でワープしなさい」

「はいよー」

 なんか誤魔化されたけど異議は無いから泉で村に戻る。コソコソと移動するのも大分慣れてしまったな……もっと堂々と街を歩ける様になりたい




「「ただいまー」」

「「「おかえりー」」」

 村に帰るとワリアさん、ドナークさん、ヘックスさんとピュアルの4人が居た


「何してるの?」

「歓迎会の準備だ!」「他にも色々準備してる最中だぞ?」「ハチも手伝ってくれて良いんだぞ?」「…………!」

 ワリアさんが沢山の鍋を混ぜ混ぜして、残りの皆が食材を運んだりしている。何かスープでも作ってるのかな?


「良い匂いがする!」

 フードから出て鍋の匂いを嗅ぎに行くエアラさん。確かにちゃんと嗅ぐと甘めの匂いが鍋から漂ってくる


「これは……コーンスープ?」

 僕も気になって鍋を1つ見てみると黄色の粒が入りのスープがあった


「歓迎会としてせっかくなら村の野菜を使ったスープでもどうかと思ってな?それなら甘い物が好きって聞いてるそこのエアラさんも満足してくれるかと思ってな?」

「なるほど……確かに美味しそうだ。それによくこんなに同時にスープを作れるね?」

 見ただけでも4つ5つは鍋がある。中身が全部違うし、これを同時に料理してるんだからワリアさんすげぇ


「そりゃ経験値の差って奴よ!ハチだってその内同時に色々調理とか出来るさ」

「出来るかなぁ?」

 3つくらいなら何とか出来るかもしれないけどそれは現実での話だ。電子レンジとかIHヒーターとかあるから何とかなるだろうけどこっちの世界だと料理人としてはまだまだだ。ワリアさん以外にも色んな人にこっちだけの手法とか色々教わってみたい


「おぉ、帰って来たか」

「ハチさん、この村素晴らしいですね?」

 アトラさんがやってきた。その傍にはカブト武士状態のソイルさんも居た


「あ、アトラ様……」

「ん?どうした?」

 おっと、どうやらアトラ様とエアラさんがお話するみたいだ。口の前に人差し指を立てて他の皆に『静かに』の合図を出す


「あの……あの時はごめんなさい」

「おぉ!?マジか?エアラが謝っとる!?」

 アトラさんが本気で驚いてる……


「封印はやり過ぎだと思うけどあれは私だって悪かったって思ってるのよ!?なんでそんな驚くのよ!?」

「いや、だってお前……謝るとか絶対出来ないと思っとった……」

「ぷふっ」

「ちょっとハチ!今笑ったわね!」

 やべっ、バレた


「わ、笑ってないよ?」

「声震えてるじゃない!」

 くそぅ、隠しきれなかった……


「まぁ仲直りは出来たんじゃない?」

「それは……そうね。ハチのお陰よ」

「んー、なんか背中がむず痒い……」

「どういう事よそれ!?」

 エアラさんの真面目な感謝の言葉は何かむず痒い。キャラに合ってないんだろう


「エアラ、ちょっと良いか?」

「何?」

 ソイルさんがエアラさんを呼び寄せる。あっちはあっちで話があるんだろう。僕も手持無沙汰になったし、ワリアさんのお手伝いしようかな?


「ワリアさん手伝いますか?」

「いや、問題無い。色々やって疲れてるだろ?骨休みしとけ」

 でた!ワリアさんの骨ジョークだ!


「まぁ骨折り損にはなってないので休ませてもらいます」

 決まった……たまにワリアさん骨ジョーク的な物をぶっこんでくるからいつか言われた時に返しを言える様に用意しておいた。どうだ?


「お?おう……ゆっくり休んどけ?」

 この反応……もしかしてぶっこんでくる訳じゃなくて素だったのか……うぉぉぉ恥ずかしい!


 逃げる様に泉から走って行く。何処でも良い、恥ずかしいから適当に……

「あ、ハチ様ー」

「野菜が足りませんでしたか?」

「必要なら取りますが?」


 適当に走ってたら畑にやってきたみたいだ。色んな物が植えられてるし、ゴブリン達が世話をしている


「いや、別にそういうつもりで来た訳じゃ無いんだ。あ、この花を育ててもらう事って出来るかな?」

「「「お任せください!」」」

 気持ちを切り替えて花畑で取ってきた3つの花をゴブリン達に渡す。これを増やせばエアラさんもこの村で花の蜜を取る事が出来るだろう



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― 新着の感想 ―
[良い点] 殆どストレスなく読める点。 お陰さまでサクッと読めすぎて睡眠不足になりましたさw [一言] いい人しかいない。 いや、ヒトじゃない人もいいヤツばっかりだ…
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