勝利を運ぶ花粉
「な、何だコイツ……まぁ良い。早速準備しよう」
決闘を始める為、お互いにスタート地点に向かう事になる。まぁ、僕らの方が遠いから時間は掛かるんだけどね?
「さて、良いかな。私が今回の見届け人だ。決まりに従い顔は隠させてもらう。この時計の針が1周した所で、決闘開始となる。互いに準備せよ」
何かパピヨンマスクみたいな物を付けた人が横から話しかけて来た。これは多分賄賂とかをさせない為の奴なのかも知れないけど、形骸化してる習慣みたいな物かな?髭とかで多分分かる人にはこの中の人は普通に分かると思う
「まぁ、人はどうでも良いとして、あの時計だと、3分が良い所か?」
準備時間を見る為の特別な時計なんだろうけど、装飾とか見るにアレも大分お金かけてるんだろうなぁ?
「それじゃあ準備しますか」
移動時間を考えると、僕らに残されている準備時間は実質2分有るか無いか。その状況で相手に気付かれない様に色々しないといけないのは大変だなぁ?
「【イリュジオ】」
移動しながら幻影を出すけど、僕と動きをシンクロさせて見た目は1人の状態にする。その状態のまま使用人さんとすれ違いざまにバニシングクロークを装備して、幻影はそのまま歩かせる。こうして、幻影と入れ替わり、森羅の巫覡装に着替えて、舞いをする
「では、時間だ。決闘開始!」
それと同時にシンフォニアを笛の形にして舞いながら笛を吹き、魔糸玉の糸を消す
「「「「ぬおっ!?」」」」
開始と同時に沼やらバラが出て来て移動が出来なくなった所にハイパー杉花粉を出す小さな杉の木が周囲を黄色く染める程の花粉を放出する
「「うわぁ……」」
ガスマスクを着けた2人が対岸の火事でも見ている様な感じで黄色くなった空間を見ていた
「「「ぶぇっくしょい!」」」
「「あ゛ぁ゛ぁ゛~鼻水がぁ……」」
「「「涙止まんねぇ!」」」
「う、動けねぇ!」
「あ、頭痛ぇ……」
【森羅の舞】は植物に対してのバフになっているみたいで、シンフォニアで飛ばせるらしく、こういう使い方も出来るみたいだ
「じゃ、行きますね」
これだけ育てば充分だろうし、執事服に戻して相手に向かってダッシュする。仮面のお陰で花粉は一応大丈夫だろう
「うぉぉぉ!守れ!ボクを守れぇ!」
どうやらメイドさんはさっきの僕とのやり取りで距離を取れと言われたのか、あの貴族の近くには居ない。一応、ハンカチとかで、口元を抑えてくしゃみとかはしてないみたいだけど、目は充血してるし、僕を視認した所で動けないだろう
「貴族の決闘では命を取っても良いんでしたっけ?」
「ヒィ!?」
貴族の首を後ろからチョークスリーパーの形になる様に絞める
「はい、皆さんご注目~。皆さんが武器を降ろさないと貴方達の雇い主の首が胴体とお別れしまーす。タダ働きしたくないなら武器を捨てて下さい」
「「「……」」」
正直花粉で見えてるかどうかちょっと分かりにくいけど、まぁ、耳は聞こえているだろう
「あ、こちらとしては、見届け人の人の所まで花粉を広げて、状況を分からなくした所で、皆さんを鏖殺しても構いませんが……どうしましょう?」
「ぶ、武器を、降ろせ……」
「おや、では敗北を認めると?」
「み、認める!だから殺さないで……」
呆気ないなぁ?まぁ、どうせ人を揃えた程度で準備出来たと思ってる方が悪い。横の扉から人が出て来るとかももう伝えてあるから、どうせ合図か何か送って強襲してもらうつもりだったんだろうけど、使用人の人が魔法でその扉を氷漬けにして開かない様にしてるし、ほぼ勝ち確ですねぇ?
「ま、まだ……」
おぉ、この状況でその動きが出来るメイドさんは凄いな?自分達の貴族が人質に取られてるなら相手の貴族を人質に取ろうと、一気に奥様の方に走り抜け、攻撃しようとした。
「騙して悪いが、これも決闘なのでな」
「うわぁぁぁぁ!」
奥様が炎と風と雷の複合魔法?みたいな物でメイドさんを攻撃。そして、メイドさんはその場に倒れた。ポリゴンになってないから、まだ息はあるな。後で治療しよう
「で、まだやるか?」
「しょ、勝負あり!」
決闘時間としては1分も無いだろう。準備しろと言われた時間の方が長かった
「ま、こんな所ですね」
「君は本当に……やってのけてくれたな」
「あ、見届け人さん。勿論この結果。ひっくり返したらどうなるか分かりますよね?あなたの足元にもあの、杉の木の種があります。そして、私は雇われなので、この件が終われば、奥様ともさようならなので、奥様に報復したとしても、何の意味もございません。その後の行動は慎重になさると良いかと」
「も、勿論だ……私が持ちかけられたのも多少の目こぼしであって、それに応じるつもりも無かった……勝敗自体を変える等、そもそもが不可能だ」
とりあえずこれで奥様の勝ちは確定って事で、相手の家はこれで取り潰しみたいになるのかな?まぁ、その先の事は正直どうでも良いや
「なるほど、それでしたら安心です。では、決闘も終わりましたので、私はこれにて失礼致します」
事前に準備出来る所での戦闘ってこんなに簡単なんだなぁ?




