貴族の決闘へ
「こっちの準備は終わりました。相手も多分すぐに仕掛けて来ると思うので、一旦失礼しますね」
おっ、ウィンドウに『この場から移動すると、3日後に決闘が開始されます。よろしいですか?』って表記が出て来た。つまり、1日動ける訳だ
「泊って行っても良いぞ?」
「いえ、リスク分散の為にも、一度帰ります。念の為に決闘当日までは僕の存在は知られない方が良いと思うので」
直前まで相手の人数が分からない方が相手のプランとかも潰しやすくなる。それに、ここは一旦戻って、クオンとかを万が一の為に連れて来た方が対処能力も上がるし。何なら幽霊のレイさんに協力してもらって、弓で足止めとかしてもらうとかもアリかもしれない。まぁ、ヤミィさんでも過剰戦力だとは思うけど……
「インベントリに入れるクオンに、僕に憑りつけるレイさんとヤミィさん。一応似たような感じで悪魔のゼーレさんと……反逆の悪魔になったモニクもその能力自体はまだ使えるのかな?それに、分身体に乗っ取り許可を出せば、深淵の皆も一応来る事は出来るだろうから、アビス様、ニャラ様、クタルファ様……それに凶具の皆も出ようと思えば出れるだろうから、モノ、レジー、ストリ、イドラ、ラータ、グリーサ……パンドラークもあるから、ゲヘちゃんだったり、ウカタマ、白武に黒武……わぁ、いっぱいだぁ……」
改めて考えると、僕1人にしか見えなくてもこれだけの戦力を隠し持てる。それに加えて僕自身も増える事が出来る。これは物凄い安心感にも繋がるし、それだけ、戦闘の幅も増える。僕だけの戦い方と、仲間との連携。それに、仲間だけでの戦闘。組み合わせだってとんでもない量になるし、敵の殲滅だったり、捕獲だったり、相手をどうしたいかによっても使い分け出来るのが非常に助かる
「さて、どうしようか?これは」
どうしよう。多分家が消えるとか、好きでもない相手と結婚させられるとか、大事な話なんだろうけど、そんな事よりも、今僕は自分達にどれくらいの可能性があるのかという事の方に気持ちが盛り上がってる
「おっと、まだ勝ってないんだからあんまり気持ちを別の所に持って行き過ぎるのは良くないな。今回の目的は敵を倒す必要は無いから、相手を生きたまま何とか捕縛とか出来ると良いんだよな……」
もし、あの作戦が失敗した場合はその次が起きる。だからその時にも備えられる様にもしそうなったら誰が必要なのか、何の技術が必要なのか、どういう立ち回りが良いのか等を考えておかないと。勿論、考え通りに行かない場合もあり得るが、それでも、幾つか考えておけば、その考えていたやり方が出来る場合もあるかも知れない。言い方はおかしいけど、『ここゼミでやったとこだ!』みたいな?
「そう考えると相手の無力化能力で行くとレイさんがトップクラスかも……」
レイさんは相手の精神に対して攻撃になって物理ダメージは無かったはず。それなら、相手を殺さず制圧するのはレイさんに協力してもらうのが一番良いかもしれない。一度空島に戻ったら相談するか
「という事で、万が一の時は呼ぶかも知れない。それでも良いかな?」
「構わない。殺さずに無力化しよう」
サブプランはこれでオッケーっと。どうしよう?大問題になるだろうけど、全部滅茶苦茶にするプランも考えておくか?いや、止めておこう。勢い余って誰か踏みつぶしたりしそうだし。流石にドラゴンを2人決闘にご招待するのはね……
「よし、一旦これで準備は良いかな。という訳で、今日はここで止めておこう」
ログアウトして、明日は決闘だ!
「さて、まぁメインプランでほぼ決まるとは思うけどね?そうだ。念の為にこれも……」
一応、2人の為にコレは作って置こう
「よし、それじゃあ行きますか!」
いざ、奥様のお宅へ!
「という訳で、これをどうぞ」
「こんな物が必要になるのか……」
「確かに、弱い人は弱いと思うが……」
「まぁ、色々な伝手を使って超品種改良?改悪?した物を使うので、喰らうと地獄を見るかもしれませんが、それでも、自分は平気だって言うのなら、着けなくても良いですよ」
「戦闘が始まったら着ければ良いんだな?」
「そうです」
一応、2人用にガスマスクを作って来た。これが無いと、多分あそこに設置してきたスギ花粉で大変な事になるだろうから……
「準備はして来たんだな。では、行こう」
「「はい」」
念には念をと思い、車椅子も用意して奥様がまだ不調という事にしておく。馬車を使って移動して相手の所に辿り着いたとしても、これで油断を誘えるだろう
「決闘前に相手と話す事は出来るでしょうか?」
「その時間はあると思うわ。何か最後に仕掛けるならそれが最後のタイミングね」
「じゃ、最後に仕掛けさせてもらいます。さ、着いたみたいですし、奥様を降ろしますよ」
「は、はい……」
2人で奥様を馬車から降ろして車椅子に乗せる
「おや、来たみたいだねぇ?それじゃあ早速始めようか」
「その前に1つ。よろしいですか?」
「使用人風情がしゃしゃり出るな!」
「いえ、貴方ではなく……其方のメイドの方にです」
一旦、貴族の人を無視して、メイドの方に近寄る
「あの、孤児院。良い所ですねぇ?ルメちゃんでしたか?彼女も賢くて皆のお姉さんの様な存在でしたね?」
「っ!?」
僕の一言でメイドさんの表情が強張る。今すぐにも斬りかかりそうだな?
「まぁ、これからも問題なくシスターや子供達皆で助け合っていけると良いですね?」
「……っ!」
勝手に喋るなとか言われてるんだろうなぁ……僕に食って掛かりたいんだろうけど、動けないって感じだ
「では」
そこで、奥様の所に戻る
「あぁ、私、今回限りの雇われ使用人ですので。そちらも即席使用人が大量に居るでしょう?多少の失礼はお見逃し頂きたい」
いやぁ、即席の使用人に礼儀とか言われてもねぇ?
 




