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新風

「ここが……演奏をする為だけの場所ですか」

「「凄い……」」

「どうかな?今演奏してるかな……」

 ドームに入ってみないと今ライブをやってるかどうか分からないし、まずは入ってみよう


「空に飛び出せー!明日の為にー♪」

 わぁ……海底で見たあの時に比べたら全然違うなぁ……デスボイスではなく凄い綺麗な歌声だ


「おぉ、お客さんも結構入ってるなぁ……」

「「お、多くないですか?」」

「まぁ、多いだろうけど、今となっては敵に囲まれるよりはこの程度は緊張もしないかな。だって敵対心じゃなくて、応援してくれたりするんだよ?そう考えたら心強くない?」

 殺してやるって殺意を向けられるより、応援してくれるとなったら緊張感は全然違うと思う


「戦場での鍛えられた感覚ですね……」

「凄い考えだけど……」

「確かに戦うと考えたら、演奏は全然……」

 いや、まぁ本当に音楽のプロだったらこういう場所は戦場だって認識なのかも知れないけど……


「あ、ハチさん!」

 あれ?エフィーレさん?まぁ、良いや。知り合いだし


「どうもどうも。ちょっと今日はライブを見に来たっていうか、新しい参加者候補をね?ちょっとその辺の話もしたいから……」

 一応、このライブドームを作る時に事務室というか、控室みたいな所もキッチリ作ったから、裏で話も出来る。だから参加交渉と行きましょうか




「それで、もしかしてエギアさんとエフィーレさんはここのスタッフみたいな事をしてるんですか?」

「えぇ、まぁそんな所です。ここで色々お手伝いをしながらも他にも色々勉強してますね。海底都市にはない技術やら知識が沢山ありますから……」

 まぁ、環境自体が違うからそりゃあ、知らない知識は沢山あるだろう。で、この2人がここで学びながら働いているのなら丁度良いな


「一応、人魚以外にもここでライブして欲しいなって思って、参加者を連れて来たんだけど、この2人に六胡線っていう楽器を演奏する機会を与えて欲しいんだ」

 僕がそういうと、2人共スッと六胡線を取り出した


「なるほど。新しい参加者ですか!これは嬉しいですね!」

「因みに歌ったりはしない。楽器だけの演奏だ」

 所謂インストゥルメンタル。2人だけのインストバンドと言った所かな?


「歌無し!?」

「まぁ、驚くだろうけど、これだって立派な音楽の形態だからね。歌が無くても相手の心を惹き付ける事は出来る」

 2人の演奏は間違いなく歌は無くても問題無い。むしろ、歌を入れようとしたら音量の調節が非常に難しいと思う。歌と楽器が喧嘩してしまうだろうから、これに関しては一緒にしない方が良いだろう。オーケストラに混ぜるならオペラだろうけど、そこにアイドルのポップな歌が合わせ難いみたいな……どっちが悪いではなく、単純に相性の問題だ


「ちょっと軽く演奏してあげて?」

「「はい!」」

 軽く六胡線を演奏する2人。両面しっかり使って音の多様性を見せつける


「凄い……これは確かに歌ではなく、これ単品で聴くべきというのは分かります」

「それで、どうかな?この2人に演奏する機会を貰いたいんだけど」

「分かりました。何時頃なら演奏出来そうですか?」

「「……今からでも行けます!」」

「今から行けるんですね。分かりました。すぐに調整してきます」

 何か覚悟を決める感じで二人が今から行けると言い出した


「なら、これを使うと良いです」

 飯綱さんが袖から2つの狐面を取り出し、ニコさんとミコさんに渡した。二人共それを受け取り、やる気を更に出す


「「絶対に成功させます」」

「うーん、それはちょっと違うかな?」

「「え?」」

 正直そのメンタルでは行って欲しくないな


「絶対に成功させるじゃない。そんなのはただのプレッシャーになって面白くない。2人には楽しんで演奏して来て欲しい。失敗しても良い。無理に話そうとしなくても良い。自分達が演奏したい曲を演奏したらお辞儀をして戻るでも良い。ただ楽しんで演奏して欲しいんだ」

 大舞台。失敗できないと窮屈になるよりも自然体で楽しんでいる演奏の方が絶対良い演奏になる。プレッシャーなんて本来感じる必要は無いんだ。皆が新しい物と触れるその瞬間はお互いに楽しくないとね?


「「はい!」」

「準備出来ました!ウチは飛び込み歓迎ですからね!こういうの割とすぐ対応出来ちゃうんです!」

 飛び込み歓迎なライブドーム……あまり良くないだろうけど、今はこれで良い。ここの知名度が上がってドンドン参加者が増えてきたら、その時に変えれば良い


「じゃ、2人共。頑張ってとは言わないよ。楽しんで来て!」

「「はい!」」

「観客席で見させてもらいましょう。貴方達の特別を見せろとは居ません。普段通りの楽しそうな演奏を見せて下さい」

「「お任せください!」」

 飯綱さんも僕に合わせて普段通りで良いと言ってくれる。まぁ、失敗を恐れないでやった方が結果的にダイナミックになってより良く聞こえるとかあるしね?




「おっ!新しい人……ってあれ人魚じゃない!?」

「あ、街で見た事ある。狐?の人達だ」

「人魚以外の参加者だ!どんな音楽だろう……」

 人魚達のライブドームに新風を吹かせようじゃないか



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>敵に囲まれるよりはこの程度は緊張もしない 戦場メンタルと比較するもんじゃないでしょ……
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