説得
「ってな感じで色んな人が見てる前で演奏して欲しいんだけど……」
「「むむむ、無理です!」」
あっちゃー、やっぱりこの感じから危惧はしてたんだよなぁ……何となく何処か自信なさそうだったから楽器の問題は何とかなっても、気持ちの問題で立てないは全然ありそうだと思ってた。さぁ、困ったぞ?
「そっかぁ……こんな良い楽器を皆に知ってもらうチャンスだと思ったんだけどな……」
「それは……」
「そうなんですけど……」
さて、どう背中を押すべきかなぁ……
「貴方達は何故六胡線を弾いているんです?私達に何故聞かせてくれたんです?」
「「え?」」
おっと、飯綱さんが話始めた。これは邪魔しない様に見ておこう
「私たちに六胡線の良さを聞いて欲しくて演奏したのではないんですか?」
「「それは……」」
まぁ、楽器を練習する人は聞いて欲しくて演奏をするとは僕も思う
「色んな人に聴いて貰えるチャンスです。六胡線を通じた仲間を得られるチャンスとも言えるでしょう」
「「仲間……」」
僕も知らなかった六胡線を沢山の人前で演奏する事で、私もやってみたい!僕もやってみたい!と六胡線をしたい人が増えるかもしれない。そうなると、六胡線で繋がった仲間が出来る。六胡線の話が出来る。これって結構嬉しい物だと思うんだよな……
「あ、一旦横から失礼。その六胡線ってもう2人のレベルなら見なくても演奏出来る?」
「「それは、出来ます」」
「じゃあ、仮面とか被って演奏するのはどう?」
動画サイトとかでも、顔を隠して演奏する人は良く見る。あんな感じで、自分達の顔は出さずに演奏の腕だけで有名になる。それはかなりカッコいい事だと思う
「そうですね。貴方達は顔を隠して演奏の腕だけで沢山の人を魅了する事が出来れば、それは物凄い自信になるのでは?」
恥ずかしいなら顔を隠して演奏するというのは全然良いと思う。それによってむしろ可愛いとか綺麗とか顔で売らない事で演奏の腕のみというよりシビアな環境で披露する事になるだろうけど、この2人ならそれでも全く問題無いハズだ
「「なるほど……」」
「そうですね……えぇっと、こんな感じとか?」
仮面を変形させて、狐面にする。やっぱりこれでしょう?
「これで、こんな感じに……」
まぁ、僕の場合は視界制限とか無いからいつもと同じ感じで出来るので、シンフォニアでギターを軽く弾く
「「「おぉー!」」」
何か飯綱さんも一緒になって喜んでるな……
「これなら、顔を出さないから誰がやってるかも分からないでしょう?それで、自分達の演奏を相手に聴かせる事が出来て、尚且つ六胡線の事を広める事も出来ると思うよ。えーっと、僕も出来るのかな?」
そもそも知らなかった六胡線をシンフォニアで真似する事は出来るかな?
「ほうほう。行けるんだ。じゃあ早速……」
ガイドに合わせて六胡線を弾いてみる。うむうむ。緩やかな曲から激しい曲までしっかり対応出来る良い楽器じゃないか。表と裏で別の顔が有るのも良い!
「「凄い……私達も!」」
ニコさんとミコさんとのセッション。表と裏を使い分けで一気に音の幅が広がる。あ、待てよ?
「行けるか……?」
「「えっ!?」」
弦を抑える手と弓やバチを持つ手。本来ならその2つしかないから表と裏を使い分けなければならないが、真淵によって疑似的に腕を2つ増やす事で両面同時に演奏する。わぁ、ガイドも認識するのが大変だ
「ふぅ……すっごい難しいなこれは……」
今までの戦闘で使うのと違って、リズムを作ろうとして、裏拍子とかも使おうとしたら、大忙しだ。これもまた楽しみながら出来る修行になりそうだな?
「今、どうやって……」
「同時に……?」
「あぁ、まぁスキル……みたいな物ですかね?第二の腕みたいな」
説明としてはこんな物で良いかな?
「「凄い……」」
「普通に話していますが、腕が増えても脳が増えた訳では無いので、処理する能力は変わらないと思うのですが……」
「いや、まぁ何とかなるでしょ……?」
ある意味これに関しては慣れだと思うけどなぁ?
「普通はそれを何とか出来る物では無い気が……」
「でも実際出来てるし……」
これに関しては本当に慣れとしか言えないよな……実際に使える様になって使ってみないと分からないだろうし……
「「「えぇ……」」」
そんな反応されても、実際使えてるし……
「で、どうでしょう?これは単純に僕が勝手にやってる事ではありますが、2人で演奏してみるって言うのは少し位前向きに検討してもらえたり出来ます?」
「あれに比べたら……」
「人前で演奏するのは出来そう……」
あ、なんか僕の演奏がきっかけになってくれたっぽい。まぁ、やってくれるなら嬉しいね
「それじゃあ、ちょっと2人ともついて来てくれるかな?せっかくだし、一回会場も見に行こう」
いきなり本番に行かせるのは流石に可哀想だし、まずは会場を見せてからかな
「「はい!」」
「私も同行して良いでしょうか?」
「勿論ですよ。それじゃあ皆で行きましょうか」
さぁ、ライブドームに行ってみよう!




