仲介
「にしても、どうしてその様な姿で?」
「空島の社に行ったら誰も居なかったから、あそこのゲートを通ってこっちに来てみようと思った時に、せっかくならお忍びで行ってみるかなって思って……」
「そうでしたか。最近は米の需要が増えたらしく、こちらも結構忙しくて……」
「そうだったんですね。資料纏めと言うと、何処に幾らでどの位米を売ったとか、そういうデータですか?」
「はい。この情報を纏めておかないと、米が足りなくなったり、はたまた作り過ぎてしまうので、次回分の予測などを立てたりする為にもこの情報は必要不可欠なんです」
なるほどなぁ……それは確かに大変な作業だ。でも、予測は人が立てる方が良いかもしれないけど、既に出てる売り上げとかを纏めるのは、飯綱さん達じゃなくても出来る……よな?
「えーっと、米の売買の情報は紙か何かで?」
「あ、ウチで使っているこの用紙でどの程度の米を幾らで売ったと纏めてあります。その方が後々楽ですから」
領収書的なシステムは既にあるんだ。じゃあ、この紙からデータを取れればかなり楽になるのでは?
「飯綱さん。後でウカタマと聞いて欲しいお願いが有るんだけど、その前にこの状況を何とか出来るかちょっと相談して来るね!」
「えっ、ハチ様?」
ゲートで空島に戻り、その足でオートマトン島に向かう
「てな訳で、ヘックスさん。紙から数値のデータを取り込んで、纏める機械って作れそう?」
「ほうほう。それはまた面白そうな案件じゃないか。その依頼。承ろう!」
ゲームの中で電卓……というかパソコンを作るみたいな事になって来たなぁ?
「こういう形の紙で、この辺に売った米の量で、この辺に売値が書かれていて……」
「これから数値を認識して、情報を纏める……それなら、纏めた情報を紙に出来た方が更に良いか……」
「纏めるなら月とか年で纏められると良いかもしれません」
「こういう物を大量に書くのであれば、どういう装置が良いか……」
「あ、それなら、こういう装置が有って……」
ヘックスさんと技術的会議を重ねて、1つのマシンが完成した
「これでどうだ?」
「とりあえずお試しで作ったランダムな数値が書かれた紙を入れてみましょう」
御稲の国で見て来た領収書的な紙の数値とかが書かれた紙を機械に入れる。すると、そのデータを機械が認識し、書き出していく
「おっ、これは成功じゃないですか?」
「あぁ、上手く行っていると思うぞ!元の紙はただスキャンしているだけだから何処かに無くなる事は無い。だから心配なら後で自分達で書き出しておく事も出来るだろう」
機械に入れると言っても、スキャンする所に入れるだけ。開いていない本でもスキャン出来る能力があるから紙を重ねて突っ込んでも大丈夫。なんだか現実よりも凄いプリンターっぽい物になったかも?
「早速使って貰って改良点とか無いか聞いてきます!」
「あぁ、確かに更に改良して業務を効率化してやろう!」
業務の効率化。御稲の国にちょっとだけハイテク技術を導入してみよう
「ただいまー。飯綱さん。これ少し試してみて欲しいんだけど……」
「これは?」
どういう物か、そして使い方とかも説明して実際にやってもらう
「何ですかこれは!?これは革命ですよ!仕事が!仕事がドンドン終わっていく!」
紙を纏めて突っ込む。そしてデータを纏める。なんか違った紙が混じってたら、それは一旦計算せずに間違った物かどうかを確認してくれるから、あの領収書の紙さえ間違っていなければドンドンデータを纏めてくれる
「あ、異常値……って事はこれは0を1つ書き忘れてますかね?」
「異常値まで分かる!ハチ様!ありがとうございます!これで、これで皆の時間が作れます!」
普通に取引での異常値ってヤバい気がするんだけど……うーん、それに関してはまぁ、そっちの問題ではあるから下手に突っ込まない方が良いか
「これで、月幾ら米が売れたかを纏めて……」
「至れり尽くせり!」
「後なんか欲しい機能とかあれば、言ってくれれば追加出来たら追加してみたいと思ってます」
「因みにこのデータは紙として取り出す事は……」
「出来ますよ?」
「……っ!」
静かにガッツポーズをする飯綱さん。そんなに?
「こんな感じで」
「うおっ、書体が一緒で見やすい……」
文字情報として数字は既にこの機械に入っているから、書き出す時はほぼ判子で数字を書き出す様な物で、書体のブレもほぼ無い。だから見やすいはずだ
「書類業務の進むスピードが段違いッ!疲労も圧倒的に少ないッ!仕事に革命がッ!」
何か一々ポーズを取って感謝してる。飯綱さん、仕事が楽になるとはっちゃけちゃうのかな?
「んお~?おっ、ハチじゃ~ん?どした~?」
「あ、実は……」
「ウカタマ様!ハチ様に無礼ですよ!こんな仕事の効率化をして頂いたのに!」
飯綱さんそんなに効率化してもらった事が嬉しかったのか。まぁ、それは僕というよりはヘックスさんの成果だから、そこはしっかり伝えておこう
「飯綱さん。それを形にしてくれたのはヘックスさん何で、今度会ったらヘックスさんにお礼を言ってください。僕は只の仲介をしただけですから」
ま、その仲介手数料として色々と相談するんだけどね?




