リビングアーマー
「前にハチさんから借りたりしたマントと相性が良いなとも思いまして、その時からコッチ方面に戦闘では舵を切ってますね」
なるほど、悪くは無いんじゃないかな?マントで姿を隠して、背後から攻撃で大ダメージって戦闘スタイルを確立しているのなら、それは別に良いと思う。そもそもがパーティでダメージディーラーとして戦うのであれば、条件付きだけど大ダメージを与える事が出来るというのは普通に強い。しかもその条件もタンクが居ればほぼ確定で発動するとなれば、かなり優秀だろう
「うーん……そうなると、隠密自体は出来るのなら、立ち周りを強化出来た方が良いかな?」
多分、今の話を聞いていると、ただ強い武器を用意するのは違うと思う。その立ち回りを強化出来る方が今後に活かせるかもしれない
「チェルシーさんって戦闘では何に重点を置いてます?敵に大ダメージを与えたいとか、味方をサポートしたいとか……」
「あー……それだと、生存ですかね?」
「ほう?」
それはちょっと意外かも
「戦闘で長く生き残る事で相手の行動をより長い時間見れますし、ウロチョロ出来れば味方の立て直し時間も稼げます。あと、戦闘とは関係無いですが、結構情報収集の為に危険な所とかにも行くんで、生存する事で新しい情報とか入手出来る様に頑張ってます」
確かに、生き残る事で情報を沢山集める……情報屋として何も間違ってないな。となると、僕が提案出来るのはブーツかなぁ?
「チェルシーさん、今ブーツって何か特殊な能力とか付いてます?」
「ブーツですか?えっと、足音軽減程度ですかね?」
「オッケーです。それじゃあブーツを作りますかね。まぁ、今はリビングアーマーが出て来るまでお願いしますね」
方向性は決まったから、後は僕の用事を済ませよう。さぁ、リビングアーマー出て来ておくれ~
「あっ!出ましたよ!」
「おぉ、アレがリビングアーマー……剣と盾装備だ」
まずは普通にリビングアーマーとやり合ってみよう。相手の可動域とかその辺がどうなるかもチェックだ
「ほうほう、完全に人と同じって訳では無いんだな。ただし鎧の可動域次第って所か」
一応、背後を取ろうとすると、首が独立して回転し、ぼくの方を顔は向いてるけど、体は向いていない状態とかになった。これはタイマンだと中々に厄介ではあるな。あの感じだと多分手首とかも自由に回転してもおかしくないから相手は人型だけど、人だと思わない方が良いな
「でも、このくらいなら全然対処は出来るな」
ボスという訳でも無く、ただ関節の可動域が人より凄いだけって感じ。これなら全然脅威ではない。という訳で、まずは実験第一弾
「【ディザーム】」
相手の剣と盾を奪取。そして
「【付呪】」
剣と盾が攻撃力アップと防御力アップの特殊能力のストックに変わった。戦闘中はこれが出来るけど、戦闘が終わると元に戻る……
「さ、一旦逃げますよ!」
「えっ!?」
戦闘を終わらせるのに一番手っ取り早い逃走。これで能力がどうなるかだ
「おっ、特殊能力のストックは減ってないな?いや、これは悪さ出来そうだけど、バランス崩れそうだし、止めておこう。多分修正されると思うし」
これがまかり通ると僕は無限に特殊能力をストック出来てしまう。多分今後修正されてあの時は使えてたのに!ってなるよりは最初からこの手は使わないでおいた方が良いだろう。まぁ、修正されないのなら使うけど
「じゃあ、次やってみますか」
さっき逃走したリビングアーマーの所に戻り、今度はあるアイテムを使う
「これで、君がどう強くなるかで今後の使う相手とかも決まるしね」
リビングアーマーに向かって強欲の片鱗を飛ばす。さぁ、これでどういった変化を起こす?
「ほほう……これはまた中々凄い変化だな……ごつくなると思ったんだけど、逆にシュッとするのか」
「ちょちょ、ハチさん!?今の一体何なんです!?」
強欲の片鱗をリビングアーマーに対して投げたらリビングアーマーがベコンベコンと音を立てて変形した。なんだかヤバそうなオーラも纏ってるし、これは確実に強くなってるな
「あぁ、ちょっと新しいアイテムを使ってみただけですよ」
「いや、何すかそれ……」
説明しろと言われても困るから一旦ここはスルーしよう
「さて、どう変化する?」
さっきのリビングアーマーとの違いを確認する為にもまた戦闘開始だ
「ぬおっ!?やるじゃん!」
剣と盾を持っていたが、腕に装備していた盾を僕に対して投げつけて来た。それを躱したら、両手で構えた剣による素早い斬り払い。さっきの受け身っぽいスタイルに比べてかなり攻撃的になったな
「そんじゃあもう一回【ディザーム】」
斬り払いをバク転で躱して、起き上がる最中に剣を奪う。そして新しくなったその剣を【付呪】で分解する
「おっ!思った通り!やっぱり強化されてるんだな!センキュー!」
キッチリ強化された事を確認出来たので、真淵で拘束。そしてドロップキックでリビングアーマーの胴体を蹴り飛ばす
「まぁ、これで胴体が飛ばされる様じゃまだダメだね。でもしっかり検証出来たし、ありがとうね!」
強化リビングアーマーを倒し、今回はナイフを突き立てる。グリーサが素材を全て持って行ったのか、最終的に僕の手元には破片1つも残らなかった




