修繕完了
「それじゃあ早速来てもらっても良いかな。検証する為にもここは良い感じだと思うから」
『了解しました。それではそちらに今からお送りします。3分程お待ちください』
「オッケー待ってるね。という事で、城の修繕はもう少ししたら始めるんで、少々お待ちください」
「分かりましたの。なら待ち時間で色々とお話を聞かせて欲しいですの!」
まぁ、暇つぶしって感じなら別に良いか
「それで、何を聞きたいです?大体3分くらいでここに修繕部隊が来ると思いますが」
「へっ!?3分?部隊?それってどういう……」
「何か聞きたい事があるなら今聞かないと修繕が始まっちゃいますよ?」
3分は結構短いぞ?そこそこの質問をするなら1つか2つで時間が来る
「え、えっと、そうですわね……貴方がどうしてそこまでしてくれるのかが気になりますわ。自分の為といってもどう考えてもこれは貰い過ぎな気がしますの」
「まぁ、確かにあげ過ぎかなぁとは思ってます。でも……あ、これは僕の考えですよ?僕が思う想定だと、あのイベントの時がレイカさんにとってのピークになっちゃってるんじゃないかなって。このゲームでの多分最大火力はあの時のレイカさんの一撃だと思います。ただ、最大火力と言う物は人を縛る。あれだけの一撃が出せたのに今はショボい攻撃しか出せない。と今までと同じ物じゃ満足できなくなる。ある意味麻薬の様な物です。でも、勘違いしないで欲しい。このゲームは最大火力を出すだけのゲームじゃない。色んな物を作る事も出来るし、色んなやり取りも出来る。戦闘以外でも楽しめる物も沢山ある。確かに肌に合わないとかもあるかもしれませんが、折角始めたゲームなんだから皆途中で辞めずに最後まで遊んで欲しいんです」
僕はこのゲームに救われた。だからこのゲームは出来る限り長く続いて欲しくて自分の手の届く範囲でなんだか辞めそうな雰囲気を出している人が居るのならそれを引き留める位はした方が良いだろう
「私に辞めて欲しくなくて引き留めてるって事ですの?」
「あ、勿論それを盾にし出したら僕は遠慮なく見捨てますよ?悩んでいるって事はまだこのゲームを続けたいから悩んでいるって事ですよね?」
クレクレになったらそれはもう斬り捨てるしかない。でも、続けたくても苦しんでいるのなら、そこは多少なりとも余裕がある人が救いの手を差し伸べるべきだと思う
「そうだったんですのね。その……私、たまに出る口調のせいであんまりお友達が居ませんの。それで、この城の事とかで少し悩んでても相談出来なくて……」
「じゃ、丁度良かったですね。来ましたよ?」
「「「お待たせしました」」」
オートマトンさん達が何やら水鉄砲的な物やら塗装用のローラー的な物を持って来た。何だ……これからナワバリ争いでもするのか?
「この城の修繕で問題ありませんか?」
「そうだね。一旦内装の修繕から始めたいんだけど、行けそう?」
「今回用意した修繕用のリペアリキッド量的に、内装分は何とかなると思われますが、外装までは正直足りないですね」
「オッケー。じゃあ内装だけやっちゃおう。外面よりも内面が大事ってね」
見た目がボロい城だとしても、内側が綺麗ならここを拠点にして帰って来るという楽しみというか、安心感も得られるだろうし
「了解しました。そちらがこの城の主様でしょうか?」
「え、えぇ……そうですの」
「では修繕の許可を頂けるでしょうか?」
「わ、分かりましたわ。許可します」
「では開始させて頂きます」
そう言ってオートマトンさん達が壊れた部分に向かって水鉄砲を撃ったり、ローラーをかけたりしていく。すると、その液体が当たった部分がぐにょぐにょと動きだし、お互いにくっ付いてそこに穴等開いていなかったかの様に完璧に修繕されていった
「ほうほう。これは良いな。外壁とかも穴が開いてもこの液体をぶっかければ塞げそうだし、いやぁ、凄い物を作ってくれたな」
「本当にとんでもねぇですわ……」
そうして、5分程オートマトンさん達が色んな箇所にリペアリキッドを塗って城の内部の修繕が終わる
「では、任務完了という事で帰還します」
「うん、お疲れ様。帰ったらしっかり休んでね」
いやぁ、やる事やったらすぐ帰る……仕事人って感じだ。カッコいい!
「という訳で、城の修繕もこれでオッケーっと。それじゃあ僕も帰りますかね」
「ちょっと待つんですの!」
やる事は終わったから僕も帰ろうとしたら呼び止められた
「あの……少し付き合って欲しいんですの」
「何処にでしょうか?」
この場合の付き合うは付き添いの方だって言うのはもう分かってるからね。ここゼミでやったとこだ!みたいな感覚だ
「ダンジョンですの!」
「おっ、早速新装備の確認って事ですね?」
「そうですの!どうせなら一緒に行くですの!」
まぁ、僕も作った者としてキチンと機能するかは確認したいし、これはついて行くのはありだな
「分かりました。それではついて行きましょう。色々と検証もしたいでしょうし」
新しい装備にワクワクするのに性別とか関係ないもんな。それに、あの装備の能力を引き出す為にもここは支援しようじゃないの