ロマンの装備
「まさか、貴方から施しを受けるとはね」
「まぁ、そう取られても仕方ないですが、僕はこの実験の結果次第で今後の戦闘に新しい可能性を開けるかも知れないんで、それを確かめる為にも丁度良い相手が欲しかったんですよ。城の修繕は口止め料も入ってると思ってくれたら」
「なるほどね……」
まぁ、施しかと言われると実質そうだけど、僕の中では明確にギブとテイクは存在している
「どうですか?装備のイメージは出来ましたか?」
「一応は出来ましたの。これで良いかしら?」
「はいはいはい。やっぱり戦えるお姫様を目指す方向ですね?」
なるほどね。こういう感じか……これは確かに装備が無くても仕方ないな
「そうですの!戦えるお姫様。それが私の目標なんですの!」
「ただ、この感じだと、完全に武装した姫騎士的な感じではなく、ドレスで戦いたいんですね?」
「そうですの!ドレスと銃……その組み合わせが素晴らしいんですの!」
ドレスと銃(魔法銃)の組み合わせ……戦闘用のドレスとなるとそりゃあ高そうだし、魔法銃だって、魔力があれば撃ち放題とか考えると普通の銃より高そうな気がする。しかもレイカさんはライフルタイプ……それもマスケット銃的な物をご所望とあらば……そりゃあ装備更新とか難しいよなぁ……
「銃はマスケット銃で無ければダメですか?弾倉を装填するタイプの銃とかは……」
「それは私の感性とは合いませんの」
現代的な銃はあまり好みじゃないか……なら
「なるほど……ならこういうタイプは?」
一応、銃を撃ちあうゲームもやった事はあるから、5発1纏めのクリップによる装填が可能な歩兵用ライフルを紹介してみる
「あら、これは……」
「こういうタイプなら多分魔石を弾頭にして撃つ事とかも可能かなって……」
「おめぇ、意外と良い趣味してるんですの」
おっ、何かヒットしたみたいだ
「じゃあこういう木製ストックのボルトアクションタイプとか?」
「かーっ!ロマンがあって良いですの!やっぱり単発!単発射撃の銃こそ至高ですの!」
なるほど、そういうのが好きなんだ
「いや、ロマンを追求するならやっぱりレバーアクションか?中折式の銃もカッコいいよな……銃剣も付けた方が近接の時に頼りになるかも?」
「良いですわ!良いですわ!最高ですわ!」
あ、そういう系がお気に召しますか
「うぅむ……いや、待てよ?それなら……」
僕の中で考えたイメージ図を書き上げていく。これでどうだ?
「どうせなら全部やりたい。でもこれを1本に纏めるなら……」
今の僕の発想だと、こんな感じだろうか?
「銃を前後にセパレート出来る様にして、前方は省エネの小口径、威力の大口径、近接も可能な剣タイプに交換出来て、後方は精度を高めるボルトアクション方式と魔力弾向けのレバーアクション方式。後は実弾向けのリボルバー的なダブルアクション方式!実弾はショットガンの様にチューブマガジンで装填可能!こんなんでどうでしょう!」
流石に中折れ式はちょっと耐久度が怖いので採用は見送ったけど、前後2つに分割するって部分は中折れ式っぽいって事で……
「ななな、なんですの!このあったま悪くて素晴らしい設計は!こんな最高な設計が有るんですの!?」
「流石にこれを作るとなるとかなり資材が足りないな……ここは色々足すとして、次は防具の方だな」
ドレスだろう?だったらあまりにももこもこだと動き難さに繋がっちゃうけど、余りにもシュッとしたドレスだと多分イメージに合わないって事だよな
「あまりシュッとしてないドレスが良いですよね?」
「そうですの!少しふんわりしてる位が丁度良いですの!」
おっ、さっきまで思い詰めてたって感じだけど、今はかなり要望を言えてる。やっぱり楽しい気分の方が良いよね
「となると……こんな感じですかね?」
某亀によく攫われる系な姫様風のドレスを提示してみる
「そう!正にこんな感じですの!」
ほうほう、ならこれを主体に色々と考えてみるか
「イメージとしては……こんな物かなぁ?」
「すっげぇですわ……これが本当になるなら最高ですわ」
一応、書いてみたイメージを纏めたデザインを見せてみるともうちょっと興奮してる位だ
「色はどうしましょう?」
「白と黒の2色で頼みますの」
「となると、こんなイメージでしょうか?」
「そうですのそうですの!こんな装備が出来たらカッコいいですの!」
あれ、可愛い系じゃないんだ?
「可愛い系が良いのでは?」
「可愛い系が良いですの。でもカッコいい系も良いですの!」
あぁ、分かる。どっちか選べじゃなくて、どっちもが良いよね
「まぁ、レイカさん自体が可愛いからドレスは多少カッコいい位でも良いか。よし!イメージ集中!」
「へぅ……」
僕がやろうとしている事をキチンとやるなら間違いなくイメージ力が恐ろしい程必要になるだろう。しかも戦闘中に装備のイメージを考えるとなると、マジで攻撃を受けかねない。でも、僕がやりたい事をやるならその位出来なきゃダメだろう
「よし、纏まった。という訳で、レイカさん。決闘システムではなく、今この場で僕と戦って下さい。壁に穴が開いたりしたら、それはこちらで修復しますので、その辺は心配しなくて大丈夫です」
「貴方を信じてやれって事ですのね?本気で戦えば良いんですの?」
「はい。実戦形式でやらないと僕がやってみたい事は出来ません。あと、その装備達がもし無くなってしまったら、レイカさんには色々修復出来るまで、空島の方で色々とご優待させてもらいますよ」
「そう。それは面白そうですの!」
そうして、レイカさんとの戦闘が始まった




