コンバート
「さて、ここは一旦聞きに行くか」
とりあえず現状で僕が欲しい情報は多分持ってると思うんだよなぁ……
「よし、それじゃあここで少し待ってて?」
「はい!」
強欲とは思えない程素直だなぁ……
「どうもオーブさんお久しぶりです」
「おやおや、今回はいったい何をお求めで?」
「今日は少し気になって聞きたい事が有ってね?」
プラクティスゾーンでオーブさんに聞いてみよう。正直割とシステム的な事で聞きたい事があるからこれが聞ければ強欲の凶具を何とか出来るかもしれない
「聞きたい事ですか?」
「うん、装備に関する事なんだけど……」
「装備のヘルプメニューでしたらこの様な案内がありますが」
ずらーっと色々な装備の解説みたいな物とかが有るっぽいな。でも多分この中には無いんじゃないだろうか?
「短剣と採取用ナイフについてのヘルプメニューはある?」
「それならこちらですね」
候補はかなり減って、数個の項目になったけど……特に見出しには僕が気になった事が書いてそうな説明は無い
「短剣と採取用ナイフって何が違うのか。もしくは、その変更みたいな事って出来るのかなって思ったんだけど……」
「なるほど……確かにそれに関するヘルプメニューはありませんね。違いらしい違いは確かに戦闘に用いるか、採取に用いるかの違いであって、ほぼ同じ物でも問題はないですね」
やっぱりそれはほぼ同じでも問題無いって判断なんだ
「僕が知りたいのは装備したい短剣があるんですけど、それを僕は武器として装備出来ないから採取用ナイフとして利用出来ないかなと思ったんですが……」
「なるほど……確かにシステム上、短剣を装備した時には装備の数値が加算されてダメージが出せますが、採取用ナイフですとそもそも攻撃力の設定が無い為攻撃になりません。なので、そこを流用するようにしてしまうと、色々と数値の問題が出てしまう事があるので現時点では出来ない様にしていましたが、そうですね……2日程時間を頂ければその辺は調整出来ると思われます」
おっ、これは所謂ユーザーの声が運営に届いた瞬間って奴なのでは?
「そうなんですね。所で、短剣から採取用ナイフに変えるだけなら今でも一方通行で出来たりします?」
「そうですね。我々も現時点ですぐに出来る事として、短剣から攻撃力を無くして採取用ナイフに変える事を可能にはしました。もし、採取用ナイフを武器として使える様にするのであれば、調整が2日程掛かってしまうのですが……」
あれ?待てよ?よく考えたらそれってヤバくないか?
「あの、その採取用ナイフが武器に転用可能になってしまったら、最悪僕は採取用ナイフを装備出来なくなるのでは?」
「あっ」
採取用ナイフが武器判定によって僕はもう採取不可になってしまうのでは……
「オーブさんから貰ったオーブナイフが……」
「……今回のプチドレスアップアップデートは好きな短剣を採取用ナイフに変える事が出来るのみにしましょう。オシャレですオシャレ。皆さん好きでしょう?」
そういう方向性にするんだ……でも、これでオーブナイフも手放さなくて済むし、あの短剣も装備出来る可能性が出たぞ!
「それ、良いんですかね?」
「……こうした方が我々としても、逆をしなくて済むので楽になりますので……」
「あぁ……」
新要素を追加するのは大変そうだろうし、要素を減らせるならその方が良いよな……そもそも現時点でも採取用ナイフを武器にするのも大変そうだったし、採取用ナイフに一方通行ならまぁ問題無いか
「えっと、それじゃあ何かその採取用ナイフにするやり方とかって教えて貰えたりします?」
「それでしたら、短剣を叩き直せば採取用ナイフにする事が出来る様にします」
叩き直す。うーん……
「分かりました。叩き直してみます」
とりあえずやるだけやってみるか
「行ってらっしゃいませ。うーん、なんだか勘違いをしている様な気がしないでも無いですが……」
「え?だって叩き直すでしょ?」
「はい。叩き直すですよ?」
「ん?まぁ、何とかなるでしょう」
叩き直すのはちょっと心苦しいけど、そうしないとあの子をちゃんと保護する事が出来ないし、まぁやるしかないか
「さて、それじゃあやるか。おーい」
「はいはいはいはい!なんでしょう!」
いやぁ、本当に犬みたいな感じで走って来たなぁ……名前は、まだ付けてないけど……それはちゃんと仲間になってからかな
「僕は、君を仲間にしたい」
「私も!仲間になりたい!」
お互いに仲間になりたいという意思はハッキリしてる。なら提案しよう
「ここで残念な話だけど、今のままだと君を仲間に出来ない」
「えっ……何で?」
「君は短剣が素体だよね?」
「そうだよ!どんな奴でも殺してあげる!」
やる気は充分なんだけど、残念ながらそこが僕と合致してないんだよね
「残念ながら僕は武器を持つ事が出来ないんだ。ただ、君を採取用ナイフにする事が出来れば僕達は仲間になれる」
「採取……用?どういう事?それじゃあ敵を殺せないよ?私……役に立てないよ?」
おっ?ちょっと自我らしい自我が出て来たか?
「君が役に立つとかとか立たないとかそんな事関係無く、君が欲しいんだ。その為に僕の力を見せた方が良いのなら。やってみようか」
「ほっひゅ……わ、分かった。力を見せて!」
よし、叩き直すって別にこういうのでも良いんだよね?
 




