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1851/2015

メンタルケア

「死んでしまうぞ!」

「それならそれで、僕はそこまでの人間だっただけです。この子は、人に使われて、危険だと判断されて、空の果てに送られた……そんなの……可哀想じゃないですか。今のままだと僕は、君を使えないけど……必ず連れ帰って、君を使いこなして見せる」

 封印されて宇宙に飛ばされた事で凶具としての意思があるのかどうかも分からない。地下深くに封印されていたストリはまだ良い方だ。あそこは確かたまに人の出入りがあっただろうし


「それなら儂が持って……」

「触らないでください。この子はもう。僕の物です。誰にも渡しません……っ!?」

 僕に刺さった短剣を引き抜こうとしてきたので、それを止めると短剣が光りだした。光で前が見えなくなったが、僕から短剣がゆっくりと抜ける感覚が有る。これはまさか……


「……」

「おっと……」

「まさか……」

 光が収まると、そこには金色の髪の少女が現れた。見てないでキャッチしないと……


「君は……もしかして強欲の凶具。かな?」

 一応、確認しておこう


「ふ、ふふふふふ。やっと、やっと会えた!私のご主人様!」

「え?」

 何か猫みたいに頭をこすりつけて来る。なんだか凄い人懐っこいな?


「えっと……何て言ったら良いかな。寂しかった?」

「はい!それはもう……たった一人で周りは何もなく、孤独な空間から私を助けてくれたご主人様!ん?お前は……あぁぁぁぁ!思い出した!お前!お前お前お前!よくも私をあんな孤独の果てに!」

 あ、そういう記憶もしっかり残ってるのか。うわぁ、だとしたらそれは辛いな。だって多分何百年レベルで宇宙に居たって事だろう?それは本当に気が狂う可能性も高いだろう


「ぬおっ!?」

「絶対殺す!殺す殺す殺す殺す殺す……」

 マズいな。流石に刺激が強すぎるか


「一旦落ち着いて?ほら、怖くない怖くない……」

「はへぇ……」

 2人の間に入って、軽くヘッドロックみたいな状態で頭を撫でて、心音を聞かせる。これで何とか落ち着いてくれ


「ふへっ!ご主人様の心音!静かにします!」

 うーん……何だろう?想像していた強欲と少し違う気がするなぁ……宇宙空間での星流しの刑?で人格か何かに影響が出てしまったんだろうか?だとしたら相当なストレスだよなぁ……


「完全に過去の事を忘れろとは言わないけど、今は僕と話をして欲しいな。ダメ?」

「オッケーですぅ……」

 ちょっと後ろ手で離れる様に指示を出す。こればっかりは失礼でも良いからまずは会話する事が大事だ。一旦座って、膝枕の状態に持ち込もう。今の彼女は数百年ぶりの恨みとかを晴らすみたいな危険な状況だったし、まずはリラックスだ。人の姿を取っている事で弾かれていないのがせめてもの救いかな?


「大変だったよね。なんだったらこのままひと眠りしても良いよ?」

「いえっ!目がギンギンで寝れません!」

 そっか、それはかなりストレスがヤバいな……


「じゃあ、一旦このままゆっくり休もうか」

「はいぃ!」

 とりあえず膝枕で寝かせて落ち着かせよう。孤独の宇宙のストレスはしっかりと触れあって、1人ではないと寄り添う事で多少は癒せるかな?


「封印されている間も意識はあったの?」

「はい……凶具は物であり、意思もあります。だから意識が途絶える事もありません」

「それは重いな……」

 人ならそれこそ良くは無いけど、そんな状況で耐えきれないと自決する事で終わらせる事も出来るかもしれない。でも、凶具は自決する事も出来ず、宇宙を漂うしか無かった訳だ。そんなの辛いに決まってる


「そうだな……何か僕に出来る事は無いかな?」

 何か要望があるなら叶えられる範囲で叶えてあげたいな


「それなら!ぎゅっとして下さい!もう、誰かに触れて欲しくて!」

「……分かった。じゃあ行くよ?」

 ハグは何かリラックスするとか幸福感を感じるとか色々効果があるって学者の人が言ってた気がする。ストレス緩和で相手がして欲しいって言うのなら恥ずかしいけどやろう


「はい、ぎゅー」

「おっほぉぉぉ!ぬくもり感じるゥ!」

「「良いなぁ……」」

 うぅむ、ビクビク痙攣している。これは一応ストレス解消していると言って良いんだろうか?あといつの間にエリシアちゃんとフォビオ君が戻って来てたんだろう?まぁ、今はこっちだ


「はへぇ……幸せぇ……」

「……とりあえず連れて帰りますね?」

「あ、あぁ……」

 大丈夫か分からないけど、大分落ち着いたみたいだし、このまま空島の方まで連れて行こう


「何という事だ……アレが凶具だと言うのか……」

「あれがハチさんの力です」

「私達もビックリするほどの魅了の使い手と言うか、魅力が凄いのよ。あの魅力はハチの強力な武器とも言える……あの辺りは私達も見習うべき部分かも……」

 強欲の凶具を連れて行こうとしたら何か色々聞こえて来たけど、まぁ、そこは吸血鬼として何か考える事とかあるのかな?




「ここがウチなんだけど……そろそろ降ろしても良いかな?」

「もう少しこのままでお願いします!」

 うーん、どうかなぁ?満足したら性格変わるとかありそうだけど……ま、成る様になるか



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― 新着の感想 ―
強欲ちゃんが満足するんですかねぇ
普通に連れ帰るとハチくんにべったりのおほー少女という…また誑し込んできたんだねえ~で済む問題だw
こう…アレか…刺して装備したのか…
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