元の持ち主
「よし、とりあえずこれでこの辺もオッケーっと。あ、あそこは人魚さん達が主にライブとかをするライブドームですね。一応、他の人でも参加は出来る様にしておいたはずなので、演奏とかしたい人はあそこに行くと良いかもです。とりあえずこの2か所の情報をチェルシーさんに拡散して欲しいので呼びました」
「か、拡散……」
常日頃僕から情報を得て広めてるみたいだし、これもその一環だと思うんだけど、ダメかな?
「まぁ、チェルシーさんがやらないのなら2人に任せて……」
「いえ!私が!私がやります!」
何だろう。血涙を流しそうな位泣いてるんだが……そんなにプレゼントを貰えないのが悔しかったのか
「いや、でもチェルシーさんに感謝する様な事あったっけ……」
「例えそれが事実だとしてもォ!今回だけは目を瞑って頂きたいィ!」
「えぇ?じゃあ、いつも情報提供ありがとう。はい、隕石の欠片」
「そうそう……って違ーう!物が欲しいんじゃなくて、あの門の前で感謝……いや、今なんて言いました?」
「え?いつも情報提供ありがとうって……」
「いや、そうじゃなくて!隕石の欠片ァ?またなんかとんでもない物見つけて来てるゥ!」
今日はチェルシーさん随分とテンション高いなぁ?
「それじゃあ僕はまだやる事が残ってるので、これにて失礼させてもらいます。3人共ありがとうございました!」
「「おう」」
「えぇ……」
3人をその場に残し、城に戻る。いやぁ、ここまで後回しになってしまっていたけど、早速始めようじゃないか
「さぁ、この封印を1つずつ解除していこうじゃないか!」
一気に壊すのではなく、外側の鍵を1つずつ解除していこう
「鍵自体は南京錠みたいな物が何個もあって鎖でグルグルに巻かれているのかな。だからこの球体の表面にある南京錠を1つずつ解除していけば徐々に鎖の球体も小さくなって中にある物を解放出来ると思うんだよなぁ」
一応、パワーある人に頼んで鎖を破壊出来るかとかも試してみても良いかもしれないけど、中に入っている物が、傷つくとかは避けたい。だからこれは攻撃によって解除はしない様に1つずつ丁寧に解除していくのが良いだろうな。まぁ、どうしても解除出来なかったらパラドキネシスの消滅で鍵部分を消すのはアリかもしれない
「久しぶりの解錠だな……出来るかな?」
線深淵で鍵を開けるとかはした事あるけど、オーラで鍵を開けるとかはまだしてないと思う。これを機に鍵開けがスキルとして取れたりしないかなぁ?
「よし、根気勝負だな」
錠を探して解錠。鎖が1つ落ちて新しい錠が解放。それを解錠してまた鎖が落ちて新しい錠が解放と同じ事の繰り返しになるだろうけど、これは鍵開けを連続で出来るからスキルとか生えるかもしれない。いやぁ、楽しみになって来たぞぉ!
「これ……普通に激ムズでは?」
そもそも鍵開け自体そんな簡単な物ではないのを何回解けば良いのかも分からないけど、普通に見た感じで鍵の形状も1つではないし、これを開けていくって言うのは中々に骨が折れそうだ
「ピンの高さが……こんな物かな?よし!1つ開いた!」
「何この巨大な鎖の球は……」
「あれ?ハチさん。何してるんですか?」
「おっ、エリシアちゃんとフォビオ君。いやぁ、今この封印を解いていてね?鍵を1つずつ開けてる最中なんだ」
城に常駐と言っても良いエリシアちゃんとフォビオ君がやって来た。お勉強とかも進んでいるかな
「封印って……そんな物解いちゃって良いんですか?」
「うーん、どうだろうね。実際かなり危険な可能性はあるから、ある程度解除が出来たら場所は移るつもりだよ。普通にこの封印の鎖とかも少し欲しいなって思って一旦ここで少し解錠作業をしてたんだ」
宇宙空間にあった封印された鎖の球体。つまりこの鎖は宇宙空間まで吹き飛ばされたとしてもその形状を保つ何かしら凄い鉱石とかで作られてる可能性はあるんだ。そうなったら、この鎖も研究はした方が良いだろう。何時ぞや間違えて僕を拘束しそうになった封印する鎖とかももしかしたら似たような物かもしれないし、これは研究用のサンプルにしたい
「それって一体何処で取って来たの?」
「宇宙。うーん……空の更に上?」
正直伝わるかどうかは知らない。ただ入手した場所は宇宙空間だから……
「え?」
「ん?」
何だ?もしかして宇宙を知ってるのかな?
「確か、おじい様が空の上の話をしていた事があったと思うんですが……」
「おじい様……なるほど。そういうパターンもあったか」
吸血鬼だったら物凄い長い時間を生きていてもおかしくない。宇宙の存在を知っているかもしれないし、もしかして封印したのがそのお爺さんだったりして?
「これは少し聞いてみるか。どうかな?今からお爺さんをここに呼ぶ事って出来る?」
「呼んだか?」
急に出て来たけど、早いって……
「はい……呼びましたが、これって見かけた事ってあります?」
「ふぅぅむ……はぁっ!?こ、これは……!?」
思い出すのに時間が掛かったみたいだけど、思い出せたみたいだ
「これは……儂が空の彼方に飛ばした奴では……」
「あれま。ゴミを捨てるみたいな事はしちゃだめですよ?」
「いや、そういう事ではない!」
そういう事じゃないんだ
「これは儂にはどうしようもなかったから空の果てに飛ばすしか無かった物だ……それを……」
「おっ、じゃあこれはもう僕の物ですね」
空に飛ばして権利を手放したって事ならこれはもう正式に僕の物と言って良いよね?
 




