着々と
「オートマトンさん。せっかくだからこれ使ってみたいんだけど、どうかな?」
「これは?」
「宇宙の鉱石。コスミウムって言うんだけど、せっかくならこの門に組み込んだり出来ないかなって。いくつかあるからこっちはサンプルにあげる」
オートマトンさんにコスミウムを渡す。宇宙から持って来た石を組み込む幸せの門とか中々ロマンチックじゃないかな?
「これは大変貴重な鉱石をありがとうございます。ヘックス様も喜ばれると思います」
「まぁ、多分今のところ僕が帰還した時に降らせた隕石だけだと思うから、各地に散らばった隕石からしか取れないんじゃないかなぁ?」
僕が一回隕石を降らせた事で、ゲーム的に条件が解放されて一定間隔でランダムな所に隕石が降って来るみたいな事はあっても不思議じゃない。だから入手の機会はかなり少ないだろうけど、もう二度と手に入らない素材では無いと思う
「なるほど。このサンプルを至急解析して、代用の物を作れるか、もしくはこれを培養可能か等可能性を探ってみます。各地にオートマトンを送り、隕石の回収等はハチ様的には好ましくない手段だと思われますので」
「流石だね。それじゃあオートマトンさん達の腕を信じてその結果はゆっくり待つよ」
「ありがたきお言葉。必ず結果を出して見せましょう」
僕が別に独占したい訳では無いという事は理解しているみたいだ。僕達の力でこの隕石を増やしたり出来るのかを考えるというのは非常に嬉しい。というか、本当にオートマトンさん達が頼もしい
「よし、それじゃあ、この天海獣石を含んだ門をオートマトンさん達に任せるね。僕はピュアミスリルの鐘を作って来るよ」
あのミスリルを打っている時の良い音が鐘になった時にも出れば良いんだけど……ある程度の形の型にミスリルを流して細かい細工とかはこっちでやって整えて行こう
「とりあえず形にはなったかな。にしても凄いなぁ?見た目より結構軽いけど、全然壊れそうな感じはしないし、これなら中々良いんじゃないかな?」
ミスリルの鐘を自分の作業場で作って来たから門の所まで戻る
「おぉ、これはまた良いねぇ?」
「おかえりなさいませ。門の方は完成しました。天海獣石を混ぜ込むとどうやら白い建材になるようで、傷もつけにくく、市販の塗料では色も乗らない様です」
「落書き対策まで出来てるのか。それは素晴らしい」
まず無いとは思うけど、そういった落書きとかされるとこっちも相手を処罰しなければならないので困るし、対策が既に出来ているのなら問題無いな
「よし、それじゃあ門に鐘を取り付けて、鳴らす用の紐を付けたら完成っと!」
「説明用の看板も既に設置してありますので、これにて完成ですね」
いやぁ、無事に終わったなぁ
「……どうやら向こうの方も終わった様ですね」
「おっ、ミニドームの方も終わった?じゃあ見に行こう!」
そっちは軽い設計位しか携わってないけど、完成したなら観に行こう!
「おぉ……本当に小さめのドームが出来てる……これなら皆楽しめそうかな?」
学校の体育館より少し大きい位だろうか?でもこれだけあれば収容人数も充分だし、音響にも拘れるだろう
「あっ!ハチさん!凄いです!」
「ドーム。凄い!」
「私達の音楽って場所が変わるとこんなに変わるんだなって!」
「これなら4日は行けちゃうかも!」
それは流石に勘弁して欲しい
「ただ音が反響するって感じじゃなくて、音のシャワー?みたいに音が降り注いできて!」
「今まで感じた事のない臨場感?実際に音楽は目の前でしてるんだけど、それがより近くに感じるって言うか!」
まぁ、設計する時に出来れば音はマイクで拾ってそのまま大きくして出すというよりはサラウンド的な観客が全方位から音を聞ける様な感じでやろうとオートマトンさん達と相談したので、詳しい計算はオートマトンさん達がやってくれたのだろう。結果として凄く良いライブのドームが出来たみたいだ
「作って良かったよ。あ、それと、物は相談なんだけど、人魚以外でも、ここを使いたい人が居たら出来れば使わせて欲しい。勿論、お互いに納得する形で話合いはして欲しいけど……色んな音楽を聞けたら色んな発想が生まれるかもしれないでしょ?お互いの為にもなると思うんだ」
音楽の刺激を与えあって成長する。そんな形になって欲しいし、どうせ作ったのならもっと色んな人にも使って欲しい。それなら完全解放とまでは行かなくても「使用出来る」くらいなら許してくれれば色んな刺激を与えあって音楽も更に成熟するんじゃないだろうか?
「私達が更に成長する為に……って事ですか!?」
「そんな事まで考えて……」
「凄い!これはもう愛だよ愛!」
「器がデカい!」
うぐぐ……なんだか少し照れ臭くなってきた。マダムは何処だ?
「ぷふふっ……」
ぐわーっ!あれは完全に仕返ししてやったりって顔だ!物陰からコッソリ見てたなぁ?
「そうだ!マダムにも感謝を言ってあげて下さい!あの人も多分ここに来たら皆成長するって思って皆さんを僕に紹介したと思うので!」
「「「「そうなんですね!」」」」
よし、行けぇい!褒め殺し部隊!




