1つずつ解決
「闘気を合わせて導いてもらうのが一番か……」
いや、でも闘気は気持ちの高まりで出力が増えるみたいな感じだったっけ……気を高めつつ、流される……ん?それってつまり気分が良くなって周りに流されていく……酔っている状態に近いのでは?
「酔拳は闘気の本質に気が付く為の一歩なのか?」
「おいおい……何だこの面白生物は!学ぼうとしたらたったの一打でここまで理解するのか!?」
ゆらりとした動きから繰り出される破壊の一打を受けつつもその回転の本質を理解しようとしてみるけど……
「あの軽い踏み込みでこの威力……普通ならもっと強い踏み込みが必要なハズ……回転……」
「もう少しで見えて来るんじゃないかぁ?」
回転?そういえばなんで回転させる必要があるんだ?シュウさんの拳であればこのまま闘気をストレートに僕にぶつけるやり方でも威力は出ると思う……もしかして!
「シュウさん」
「なんじゃ?」
「闘気って、体の中を巡っている時間が長い方が発する時に高威力になるのでは?」
「ほっほー!これは教え甲斐があるなぁ!そう……じゃ!」
「ごはっ!?」
先程よりも長い構えから放たれた一撃はVSDを持ってしてもカウンターする前に僕を回転させながら後方に吹き飛ばす程の威力を持っていた。それに、今の感覚……さっきよりも更に回転力というか、回転数が上がっている気がする
「げほっげほっ……ただ闘気を相手にぶつけるってより、闘気を体内で練る事で威力を上げる……そんなイメージでしょうか」
「素晴らしい!その目で見て観察し、その体で受けて体験し、その頭で思考する。これがしっかり出来る者との闘いは面白い!」
「うーん……でも、何か違う気がするんだよなぁ……」
でもなんか少し引っ掛かるんだよなぁ……闘気を溜めて放つっていうよりは発射までが長いのかもしれない。気持ち的にはチャージショットという感覚では無く、銃身が物凄く長くて加速する時間も長く強力な一撃になるって感じかな?
「闘気を練る……本当に練っているのか?」
正直闘気を練るってどういう事なんだろう?闘気を出したり入れたりする事で練る事が出来るのか?それとも何か特別なやり方が有るんだろうか?それとも闘気を練るというのは何か別の事の言い換えなんだろうか……
「出来ると思えば出来る!それが闘気だ」
「出来ると思えば出来る……やっぱり色々面白そうな事がまだまだありそうだな」
その気になれば出来ると言いたげなシュウさん。やっぱり僕が知らない何かあるのかもしれない
「くぅ~。今の僕じゃまだ制御出来ないかぁ……」
「惜しい所までは来ていたなぁ?また今度手合わせしよう」
「はい!」
「ん?力を物に出来ずにしょげるかと思ったんだがなぁ?」
「いえいえ、そんな事でしょげてたって仕方ないじゃないですか」
いやぁ、闘気の強化は出来なかったけど、今回の授業(戦闘)は中々に興味深い物だった。やっぱり自分が持っている力をキチンと引き出せていないって理解出来るのは嬉しいな。まだまだ伸びしろが有るって事だし、キチンと扱えればあれだけの力が出せるって事だ。自分の能力がどのくらいの力を有しているのか理解する事が出来れば、力の応用だって可能になるだろう
「そうかそうか。良い!実に良い!これからもここにはちょくちょく来させてもらうとしよう。もしかすると変な奴が付いてくるかもしれないが……その時は許せ」
「まぁ、他の人に危害を加えようとしたり、建物を壊すみたいな事をしない限りは大丈夫ですかね?そういう事があった場合は……連帯責任でシュウさんだとバーの出禁とかになりますかね?」
「ぬおっ!?それは困る!もし誰か連れて来るという時になったら礼儀正しくするように徹底しよう!」
「助かります」
正直シュウさんはウカタマ経由で知り合ったり、友達の友達みたいな距離感だから、他の皆と比べると少し警戒ではないけど、誰か連れて来るみたいな事は少し慎重になってしまう。友達の友達の友達みたいに、確か6回だったかな?その位辿ればどんな有名人とも知り合えるみたいな話があった気がするし、余りにも離れ過ぎるとそれはそれで扱いに困る人とかと知り合ってしまう可能性もある。正直王族みたいな人と知り合ってもそれはそれで困るし……
「では、またな」
「はい。ご指導ありがとうございました!」
まぁ、今回の件でシュウさんは僕の闘気の師匠みたいな感じになったかな?
「さて、色々と立て込んでるし、次はあの装置が出来たかを先に確認した方が良いか」
やりたい事とか舞い込んで来た事とかで色々と予定が詰まっているけど、まずは当初の予定を1つ確認しよう
「ヘックスさん」
「あれならもう解析は済んでいるし、キチンとハチ好みに大改造した物も作ってあるぞ」
「さっすがー!それで、どんな感じになったの?」
「聞いて驚け!島中央の泉の部分に設置すれば島ほぼ全体を範囲にする事も可能だ!」
とんでもない改造だなぁ?
「水が無くても魚が泳ぐ事が出来る。これでハチが呼び込みたかった者達も呼び込めるだろう?」
「これで海底都市の人達も気軽にこっちにも来てもらう事が出来るね」
どうせクタルファ様はこっちの手の内だ。なら向こうに縛られる事も無く、こっちに人魚の人達も呼び込めるぞ!




