情報開示
「技術力か……それで言うと、フォーシアスは下水道が完備された中世って感じだったね」
まぁ色んな読み物とかに出て来るタイプの一番分かりやすい街だったのは覚えている。まぁ、ゲームの中で窓からお排泄物とかを投げ捨てたりしたらねぇ?
「何処も根底には魔法が関わっているが、良くて産業革命ちょっと手前って位じゃないだろうか?」
「戦闘面で言えば、比較は難しいですけど、宮廷魔術師みたいな人達とかはかなりの手練れだと思いますよ」
確かに普通の技術であれば、動力があるかどうか、またその動力源は何かによってある程度の技術力が分かると言っても良い。だけど、戦闘面で言えば、銃を持った一般人と鍛え抜かれた何処かの狩猟民族みたいなのが居た場合。正面切っての戦闘では一般人の方が勝てる可能性は高いけど、森の中とかだと狩猟民族の方が強いなど、外的要因による戦力バランスの変化が多すぎて一概に強いとは言えないのが難しい所だ
「そうだな……大規模魔法で対集団戦が得意な人も居れば、威力は小さいけど、瞬間的で連発可能な魔法等で対人戦闘が得意なタイプも居るから何とも言えない所だ」
ほうほう……それは中々面白……参考になるな
「というかこのアルターの中で技術力の差がちょっと分かりにくいんですよね。1つ例を挙げるとするなら、銃の存在です」
そういえばそうだ。キリエさんとか普通に使ってるけど、リボルバータイプの銃があるなら技術力としては産業革命後なんじゃないか?
「我々の認識的には技術力的には産業革命後程度の技術力が有ってもおかしくないはずなのに、蒸気機関とかはあまり見ませんよね?それはやっぱり魔法が原因でしょうね」
「あぁ、純粋な科学力だけじゃなく、魔法という存在が介入しているから動力としての魔法があってそれに付随する形で科学があると」
基本的に起きた事象は科学的に考えるけど、魔法によって歪められた事象なんかもある訳だから、ただ科学的な事だけじゃ分からない事もあると……まぁ、確かに魔法が無ければ今のオートマトン島の発展スピードも理解出来ない事だろうし、この辺はどうにか美味い具合に理解して行けると良いな……
「さ、どうだろうハチ君?今の説明で国の大体の技術力なんかは分かったりするかな?」
そういう面で言うと、フォーシアスやシクサームなんかは中々他の国より技術力がありそうではある。フォーシアスは飛行船。シクサームは街全体を温める超大型の蒸気機関モドキとか……セカンドラの鍛冶師とかとはまた別の技術力だろうな。ただ、この世界は普通に僕が知らない国とかの方が技術力を持っている可能性は高い。キリエさんが前に借りてたんだったか、四獣ウェポンしかり、ウカタマによる神力を用いた農業とか……あと厳密には違うかもしれないけど、ネストのパワードスーツだったり……技術力の差があったとしても、人の数や魔物等の外的要因なんかによって、何処か1つの国が最強って事にはなってないイメージだ
「まぁ、何となく分かりました。じゃあさっきのアイリスさんとの取引の結果は見せても良いですが、依頼は受け付けません。今の僕に欲しい物が無いので」
先にお願いされても困るという事を宣言しておく。こうしないと、キリエさん辺りが作るまで帰らないみたいな駄々をこねられても困るし
「じゃあ、アイリスさん。出してあげてください」
「わ、分かりました。イクエちゃん。出て来て」
「はい。です!」
アイリスさんの刀が光り、イクエちゃんに姿を変える
「「「えっ!?」」」
「こちら、妙刀カサネガサネ改め、当意即妙刀幾重となったイクエちゃんです」
「イクエです!よろしくお願いします。です!」
「ちょ、ハチ君?まさか、この子……」
「いやぁ、アイリスさんに刀の強化をして欲しいって言われたんでやってみたら何か人化なんて能力が付いちゃってこんな事になりましたね」
これは本当自分でもびっくりだったねぇ……
「なるほどねぇ……これは先に言っておかないとハチが面倒になるって言った理由が分かったわ」
「あ、チェルシーさん。勿論これ情報提供って形になってるんで、アイリスさんにお支払いよろしくお願いしますね。勿論、僕の事は話す事は禁止で。破ったら運営に報告ですかねぇ?」
今回の事はアイリスさんに報酬を流す事で僕に関する情報を出す事を禁じた。こうする事で、僕が直接チェルシーさんと報酬とかのやり取りをしない様にして、情報が漏れた場合に僕からチェルシーさんに損害賠償的な事をする事も可能になるだろう
「ふぐぅ……またとんでもない情報の爆弾がぁ!」
「イクエちゃんはアイリスさんの武器として頑張るでしょうから、僕から使用制限とかする事は出来ませんが、聞かれても僕の事を教えるのは無しって事で。それをさっき僕がチェルシーさんから報酬を辞退した事でその分増えた報酬が契約金的な感じで受け取ってください」
「鮮やかな手際だなぁ……」
ハスバさんは何か言うつもりとかは無いんだろう。壁際で腕組みをしながら待機していた




