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1811/2015

ショック療法

「うぉぉぉ!?おかしくないか!?なんか儂だけおかしくないか!」

「お覚悟を」

 いやぁ、すみませんねぇ?こちとら体のサイズが小さいものでして……元々見つかり難いんですよぉ。それに裏でオートマトンさん達とも繋がってるしねぇ?


『ハチ様。少々早いですが、そちらの方へアラク様が行きました。対処をお願いします』

「はいはーい。それじゃあ多分見えてるし、聞こえてると思うから、来るタイミングはそっちに任せるよ」

『了解しました』

 アラクさんが逃げて自然とこっちの方に来たとするならちょっとお話するのも良いかもしれない。一旦アトラさん抜きで会話もしてみたかったし


「はぁ、はぁ、はぁ……」

「あっ、アラクさん!こっちこっち!」

「へっ!?」

 勿論森の中だし、隠れやすい様に森羅の巫覡装で森に溶け込んでたから、アラクさんにとってはいきなり何か視界の中で動いたと思うだろう


「これ被って!」

「は、はい!」

 まぁ、本来ならオートマトンさん達の目は誤魔化せないだろうけど、ギリーマントをアラクさんに被せて、僕と一緒に居るという事で、見逃してもらう。流石にバニシングクロークを使うのはね?


「一応はぐれない様について来てください。良い所が有るんです」

 体格が一緒なら手を繋いでとか出来たかもしれないけど、そんな事をした所でアラクさんが動きにくくなるだけだ。逃走という事を考えるならアラクさんがキチンと走れる状態じゃないきゃダメだ


「あの……」

「伏せて!」

「はいぃ!」

 僕らの近くをオートマトンさんが走り抜ける。こっちを見たけど、一瞬で視線を切ってそのまま何処かに行ってくれた。ナイスゥ!


「これなら、大丈夫でしょ?」

「はい!実は、鬼ごっことかあまりやった事無くて……」

「なるほどね。それじゃあ鬼ごっことは何かを教えようじゃないか!」

 小さな事で良いから会話をする事で、意識を糸から逸らす。忘れてもらっちゃ困るなぁ?僕はアラクさんの糸が出せる様にする為には体だって張るぞ?




「鬼ごっこって隠れても良いんですね……」

「鬼ごっこで大事なのは逃げる事じゃなくて如何に鬼の標的にならないかだからね。逃げる相手が目の前に2人。それが左右に分かれたらどっちを鬼が追うか。鬼の気持ち次第だし、そもそもその鬼の前に現れなければ追われる事も無い。隠れて体力を温存して、鬼に追われたら全力で逃走。そしてまた隠れて体力を回復。これなら捕まる事は無い。でも、逃げる時が半端だと、鬼もずっと追いかけて来るから……あ、ほら。あんな風に」

「何という執念じゃ……儂の糸がこんなに切られたり躱されるとは……」

「クオン様より、データは頂いておりますので、多少でしたら我々もハチ様の身のこなしの再現は可能にございます」

 わぁ……て事はオートマトンさん達って実は皆僕みたいな身のこなしで動ける様にチューンされてるのか?島民全員パルクール出来るって事?


「あんな感じで、逃げるのが中途半端なのが一番苦労する奴」

「うわぁ……」

 話をしながら崖の様な所まで来たので、上から見下ろしているが、アトラさんも大変そうだなぁ……


「安心して、アラクさんと僕が一緒に居るなら、鬼が来たら僕が引き付けるからその間にアラクさんは逃げて」

「えっ、そんな事……」

「良いから良いから。それよりも……っ!?」

 おっ、マジか。オートマトンさん達的にはこのタイミングなのか


「くっ……!」

「ハチさんっ!」

 地震の様な揺れが起こり、割と崖の端の方に居た僕たちの足場が崩れた。その瞬間アラクさんを押して、アラクさんは何とか無事な状況だけど、僕だけ崖から落ちる状態になってしまった


「……出ろ!」

 アラクさんが僕に向かって手を伸ばしてももう遅いタイミング。でも、チャンスはまだあるとアラクさんが絞り出す様に声を出したら、その伸ばした掌から白い糸が僕に向かって伸びて来た


「ぐふっ、良かった……助かったぁ……」

「い、今引き揚げます!」

 アラクさんが糸を手繰り寄せて僕を引き上げてくれた。出たねぇ?


「アラクさん。糸が!」

「だ、出せました……」

「やりましたね!痛くは無かったですか?」

「はい!ハチさんを助けようと思って……痛くもなんともない……あ、糸が出せる様になった!」

 焦りで自分が糸を出した事を理解してなかったのか


「わぁ!わぁ!糸が出せる!ちゃんと出せる!」

 4か所全てから糸が出せる様になったアラクさん。本当に嬉しそうだ。いやぁ、トラウマに対抗するにはもうショック療法しかないと思って今回の事を提案してみたけど、上手く行ったみたいで良かった


「ハチ様。お覚悟を」

「おっと、来ちゃったか……残り時間も結構少ないけど……」

「ハチさん。ここは任せて下さい」

 おっと、アラクさんがなんだか凄く自信アリだ


「ウチらは捕まりません。さぁハチさん行きますよ!」

「ちょ、えぇ!?」

 急に抱きかかえられてそのまま崖から飛び降りるアラクさん。おいおいマジか!?


「糸が出せるー!」

 アラクさんが糸を発射して、一瞬で蜘蛛の巣っぽい物を作り、トランポリンの様にして無傷で着地……というか、そのまま跳ねた勢いのまま周りの木とかに糸を飛ばしてスイングし、オートマトンさん達から逃走した。ちょっとショック療法効き過ぎたか?



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― 新着の感想 ―
これってアトラさんの弱点特攻ってハチ君じゃん? 如何なる状況でも対応してくる辺り魔王してるよねハチ君 アラクちゃんも糸出せてヒャッハーしちゃったか
動けるのがハチの6割とかでも集団で統一された情報で動くとかなり脅威なのよw
ハチ君と似た挙動ができる集団なんて悪夢じゃん
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