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カブト武士

「おぉ、アレかな?」

「アレね」

 西に向かい歩いていくとさっきの祠の大きい版があったけど、その周りが岩だらけだ


「まずは岩を退けないとな……」

 邪魔な岩を退けないと祠の中に入る事も出来ない。でもSTRが無いからただ退かすというのは僕には無理そうだ


「そりゃそりゃそりゃ!」

「何してるの?」

 岩に対して両手で削る様に腕を振るったが、岩には傷一つ入らない。これは確実に壊せる物じゃないな……


「岩を壊して祠に入れるようにしようと思ったけど……うーん、力で退かすしか無いのかなぁ……」

 ここでまさかの力で解決しなければいけない問題が来るとは……


「岩を退かせば良いの?」

「え?妖精さんこの岩を退かせるの?」

 ここでまさかの妖精さんがパワータイプの可能性が……


「何か変な事考えてない?」

 妖精さんの瞳と蝶の様な翅が青く光る。青い鱗粉がさっき僕が破壊出来なかった岩にかかると岩が浮き上がり、祠が露わになった。凄い……妖精さんにこんな力があったのか……


「あと、私は妖精さんじゃなくてエアラよ」

 おっ?妖精……もといエアラさんは名前持ちだったんだ。まぁ名前を持っていてくれると呼べるしありがたい


「エアラさん……で良いかな?」

「それで良いよ。それより先に祠の方に行った方が良いんじゃない?」

 おっと、そういえばそうだ。せっかく岩を退けてもらったんだし祠の中を見てみないと。一旦仮面は首輪状態にしてしっかり見よう


「祠の中は……うおっ!?めっちゃカッコイイ!」

 祠の中には片膝をついたカブトムシをモチーフにしたような鎧……というか外骨格?の石像がそこにあった


「おぉ……とりあえず先に綺麗にして最後に樹液をお供えしよう」

 エアラさんと同じ感じで石化が解除されるなら先に石像を綺麗にしよう。このカッコ良さで動く姿を想像したら汚れている状態で復活するのは勿体無い。ちょっと時間が掛かるけど綺麗にしてから復活してもらおう


「もうしばらく待っててください。綺麗にしてから復活しましょう」

 聞こえていないだろうけど石像に話しかける。復活を焦らすつもりは無いけど後少しだけ待っていてくれ




「よし!ピカピカだ。お待たせしました!どうぞ!お納めください」

 プレートに注いだ樹液を石像の前に置く。これで外に出れば良いんだよね?


「へー!私こんな風に復活したんだ」

「そういえばエアラさんの時は見逃してたな……」

 銀のカブトムシ風の鎧(とりあえず暫定的に)を纏った者が祠の中から出てきた。別に光ったりはしないみたいだね


「復活させていただきありがたき幸せ」

 わおっ!武士語だ!カブトムシじゃ無くてカブト武士?


「これはお主が?」

 カブト武士の手にはさっきお供えした木のプレートと樹液……の僅かな残りが。どうやら樹液は既に飲んだみたいだ


「はい、おかわり要りますか?」

「頼めるか?」

 プレートを差し出しておかわりを要求するカブト武士。カッコいいけど案外可愛いかもしれない




「ふぅ……美味しいです」

「あれ?口調が?」

「失礼、お腹が減ってしまうとあのような口調になってしまうのです」

 お腹減ってた方がカッコイイじゃないか……ちょっと残念な気分になったぞ?


「一応話はこのエアラさんから少しは聞いてるんですけど……精神修行で封印されてたって本当ですか?」

「ええ、そこに居るエアラがあまりにもやんちゃでアトラ様にも迷惑を掛けていたので封印される事になったのです。そして私は御守りとして役目を果たせなかった事もあって今一度鍛え直す必要があると思い、一緒に封印されていたのです」

「ちょっと!?御守りって何よ!?」

「お前一人では厄介事を起こし過ぎる。私が色々後始末をしていた事、知らないとは言わせないぞ?」

「そ、それは……」

 思い当たる節があるみたいだ。あからさまに目を逸らしている


「はい、ストップ。そこまで」

 これ以上ヒートアップする前に止めないと喧嘩しそうだったから中断させたけど、これからどうしよう?


「とりあえず、エアラさんはやんちゃが原因で封印されたけどもう反省したんだよね?」

「私はやんちゃじゃ……」

「したんだよね?」

「うっ……はい。反省しました」

 よしよし、それで良い


「で……その、お名前とかはあるんでしょうか?」

 カブト武士さんのお名前は何て言うんだろう?


「拙者はソイルと申す。よろしく頼む」

「あ?またお腹減っちゃった?」

 流石に木のプレートだと一回で飲める樹液の量も多くない。またおかわりを出そう


「ご迷惑をかけてしまい申し訳ないです」

「いやいや、復活したてでお腹も減ってるでしょ?遠慮しないで」

 ソイルと名乗ったカブト武士はとても礼儀正しい。ちょっと食いしん坊気質があるけど


「忠義を尽くしたくなるお方だ……いやいや、私が尽くす相手はアトラ様ただ一人……」

「アトラさんなら友達だよ?」

「なんとぉ!?」

 驚くソイルさん。ちょっとコミカルだ


「という事は今でもアトラ様はご息災でいらっしゃるのですね!」

「うん、元気だよ。村で他の皆と一緒に暮らしてるよ」

「「村!?」」

 2人が驚いている。そうか、村については2人とも知らないのか


「色々とお聞かせください!」

 復活したてでソイルさんはアトラさん情報に飢えているみたいだな……エアラさんも交えて現状を話しておくか



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― 新着の感想 ―
[一言] 何回見てもハチの虫耐性羨ましい、自分画面越しならなんとかだからアトラ様達と仲良くルート辿り着かない( ;∀;)
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