表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1808/2022

出せぬ神

「ミオンさん!あの子にも術を掛けてあげて!」

「はい!」

 ミオンさんの術の射程が如何程かは分からないけど、落ちて来た巨大な蜘蛛は受け止められないけど、人だったらまだ受け止められる


「よいしょっと!」

 空中で人の姿に変わった蜘蛛を空中でキャッチして【ダブルジャンプ】で落下速度を抑える。よし、無事に無傷で着地出来たな


「えっと、アラクさんでよろしかったですかね?アトラさんと一緒に色々と教えられる事は教えていくつもりなので、よろしくお願いしますね」

「よ、よろしく……」

 拒絶はされてないみたいだからこれなら何か教えるって事になっても大丈夫そうだな


「アラクか。儂がアトラだ。一応は兄……という事になるのか?正直儂としても今回の事は初めてでな……」

「えっと、アラクです……何か糸の神?とかになりました……」

 糸の神。となるとそのままアラクネーかな?この人を鍛えればメロにゃんさんもビックリな布素材とかも作れるかもしれないな


「そうだな……とりあえず今ここで【魔糸生成】を見せてくれ」

「えっ……【魔糸生成】とか使えないんだけど……」

 おっと……これはまさかの糸の神様が自分で糸を出せない的な奴か。これは中々骨の折れそうなクエストな気がしてきたぞ?


「アラクさんはその【魔糸生成】以外にその蜘蛛的な特性として糸を出す事も出来ないですかね?」

「糸を出せない落ちこぼれだったはずのウチがいきなり糸の神になった……んだけど、ど、どうしたら良いの……」

 落ちこぼれと来ましたか。だけど、落ちこぼれの人が実は凄い才能を持っていたなんて話はそれこそ星の数程ある。単に自分に合う適性を見つけられなかったり、最初に失敗した時の事がトラウマになって上手く行かなかったりで才能が開花しない事はあるかもだけど……つまり今回のクエストってこのアラクさんが【魔糸生成】を使いこなせる様に教えるって言うのが僕のやるべき事なのかもしれない


「いきなり酒……はマズイよな。そうですね。一旦城の方に案内しますから、そちらでお茶でも飲んで一度落ち着きましょう」

 今出来たばかりのバーでこの人の事を他の人に聞かせるのはマズイ気がしてならない。一旦、城の方で冷静になった方が良いだろう


「ミオンさんとアトラさんも一旦城までついて来てもらっても良いですかね?」

「はい!」

「あぁ、そうしよう」

 ちょっと今は緊急事態だ。バーの方は後は各自で楽しんでくれ




「すっごいお城……」

「一応、そこに居るハチの持ち物にはなっているが、畏まる必要は無い……よな?」

「ええ、勿論そうですよ。そんなの話辛くて仕方ないだけですから。よし、これで一旦は話を人に聞かれる事は無いと思います。で、アラクさんは糸が出せない糸の神。僕達はその糸の神がキチンと糸を扱えるようにする為に頑張る。で合ってますか?」

「うむ、そうだな。糸が扱えれば糸の神としての能力がキチンと発揮すると思うのだが……」

 色々といきなりの話で僕もアトラさんもふんわりとして分かってない


「そうだ、ミオンさん。ここまで来たからもう術は解いて大丈夫です」

「わ、分かりました」

 ミオンさんが術を解いた事でアトラさんとアラクさんの姿が元の姿に戻る。アトラさんは普通の蜘蛛だけど、アラクさんは、やっぱりアラクネと言えるだろう蜘蛛の体に女性の体がくっ付いた様な姿になった。アラクさんの方が体は小さいけど、普通に蜘蛛の足のお陰もあるだろうから僕の倍くらいの身長はあるんじゃないだろうか?


「改めまして、ハチです。くっ……」

「えっと、アラク=ナトです……」

 まぁ、そうなるよね。大分腕を上にあげて握手をしたけど、つま先立ちをしてようやく届くって所でアラクさんがしゃがんでくれて握手出来た


「よし、それじゃあまず聞きたいんですけど、アラクさんのさっきの話ぶりを聞くに、神になる前から糸が使えないって事みたいですけど、それは使えなかったのか、使わなかったのか。それとも使えなくなったのか。どれでしょう?」

 生まれた時から使えないのか、力はあっても使わずに生きて来たから使い方を忘れたみたいな感じなのか、それとも何らかの原因で元々は使えてた能力が使えなくなったのか。その辺をハッキリさせたい。こういう場合は大体この3択の内1つが正解だろう


「それで言うと、使えなくなったが当て嵌まるかな……」

 となると、その原因を解決出来ればまた糸は扱える可能性があるって事だ。これは僕でも何とか出来る可能性がある。最初と2つ目のは正直ほぼ同族なアトラさんの力だけしか解決する手段が無かった気がする。こういう何らかの原因だったら僕もその解決を手伝える可能性はある


「何か心当たりが有ったりするかな。過去に起きた何かしらの事象の後、糸が使えなくなったみたいな……あ、もし僕らには言えない様な事だったりするなら無理に言わなくて良いからね」

 アラクさんもかなりの美形だし、もしかすると過去に何かしらあって、そのショックで……みたいな可能性だって0じゃない。聞き出す際は慎重に行こう


「1つ、思い当たる事がある」

 さぁ、僕らは何とかする事は出来るかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
指導員がハチ君なら大丈夫よね その内人外枠に入る事になるから 落ちこぼれから鬼教官にランクアップする様なものね
落ちこぼれなのに、急に説明なしで糸の神になったら困惑するよね……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ