仮開店
「となると、早速やってみますか」
ホフマンさんと別れて、魔石皿計画を手始めに進めてみよう。僕らだってあの島に負けない位の事は出来ると思う
「さ、ハトウさんとトーマ君。早速やってみたいと思うんだけど、魔石って基本はサイズしか違わないよね?」
「そうですね。基本的には魔物からのレアドロップ的な物になっているハズです」
レアドロップと来ると大変だけど、魔石自体は前に集めたりした事もあるから、多少は用意出来る
「まぁ、こういうのは小さい魔石で試すのが一番だろうし、トーマ君。これを頼むよ」
「はい!」
トーマ君に魔石を渡すと魔石はあっという間に粉々になり、粉末と化した
「それじゃあこれを、ハトウさんのガラスに練り込んで、形にしてもらうと……僕の方は一応用意しておいたただの粘土と、神楽舞をした多分良い粘土に魔石粉末を練り込んでお皿にしてみよう」
ガラスでなければダメなのか、それとも粘土と混ぜても大丈夫なのか、その辺を調査してみよう
「さて、これでガラスと粘土。混ぜ込める物でのお試しと。それじゃあこっちの皿は僕の作業場で焼いて来るからそっちのガラス皿の方は任せたよ」
「「はい」」
オートマトン島の作業場でササッと魔石粉入り粘土皿を焼き上げて後でガラス皿と比較してみよう
「ふぅむ、そうなっちゃうか……」
魔石粉を含んだ粘土皿だったが、キチンと皿として完成はした。だが……
「魔石を含んだけど、その分が抜け出てるみたいだな……効果が特に無いただの粘土で作った皿だ」
残念ながら粘土の皿ではダメなようだ。まぁこれはこれで大事な結果だ。城に残した2人の所に持って行こう
「おーい。そっちはどう?こっちの粘土皿の方はダメだったよ」
「「ハチさん!」」
「おっ、おっと。どうしたの?」
失敗を報告しながら2人の所に戻ったら、急に2人が押し寄せて来た
「出来たんですよ!」
「これ!見てください!」
『魔石皿 レアリティPM 特殊能力 保温 テイストブースト肉(肉料理等の味や効果が良くなる)』
ほう?これはちょっと面白い効果が出てるな?
「粘土はダメだったけど、ガラスなら魔石の効果を保持出来るのかな?それに、ブーストに肉……って事はこれ、使う魔石によってブーストする料理が変わるのか。となると、陸の魔物、海の魔物、空の魔物とか魔石が取れる相手次第でまた色々変わりそうですね」
人によってはこっちの方が良いまであるな。使う魔石とブースト効果がランダムでは無く、紐付いていたなら狙った物をブースト出来る皿になるだろうし、それに多分これは……
「この感じなら混ぜ込む粉末を複数入れる事によって対応する料理も増やせるんじゃないかな?」
さっきは1つの魔石を粉にして入れたけど、他の魔石も粉にして入れればブースト対象だって増やせるんじゃないだろうか
「凄い……ここまで来たら流石に分かります。ガラス細工はただの趣味でしたが、これは確実に仕事にする事すら出来ます。こんな事が……」
「一人だと分からないんですけど、ハチさんに掛かれば、可能性が沢山見つかるんです!」
「僕に掛かればじゃなくて、単純に他との協力かな。勿論、一人で出来ればそれに越した事はないけど、協力する事でより形にしやすくなるってだけで、誰と協力するかはその人次第なだけだよ」
勿論、その協力者によってどんな結果になるかはやってみるまで分からないんだけどね?
「という訳で、ハトウさんとトーマ君にこの技術をどうするかの権利は託したから、その権利でお金儲けするなり好きにして。僕としてはバーの為の道具とか皿を作ってもらえればそれで満足だから」
お金は使える人の所にあった方が良い。僕がこの技術を独占した所でね?
「分かりました!ハトウさん、一緒にお皿とかも作りましょう!」
「あぁ!勿論だ!」
というか、やっぱり錬金術師って滅茶苦茶凄いよなぁ……普通にお金儲けしようと思ったらかなり有利な職だと思うけど……まぁ、その分色々素材を使ったりしてその機材とか集める事を考えるとトントンなのかな?お金が扱えないからその辺の悩みとか一切分からないや
「よし、ある程度揃ったら村の方で一度こんな感じってやってみるか」
お酒の出し方は分かった。一旦出せるメニューも少し纏めてみた。後はちょっとしたおつまみ的な物も……一応は作れるか。となれば、街でこんな感じでやるよ!と皆に見せてみるのもアリだな
「それではこのまま生産して後で送りますので、もう少しこの場をお借りしますね」
「はいどうぞ。僕もその方が助かります」
これなら今日の夜にお披露目は出来るかも
「よし!準備は整ったし、早速やってみるか!」
多分もうアトラさんとミオンさんは村に戻ってるだろう。仮店舗は僕の家として使わせてもらってる所で良いだろう
「ん?こいつぁ、何だ?バーハチ?よく分かんねぇけど、ハチが何かやってんだな?」
「ドナークさん。いらっしゃいませ」
「おー……これはなんだ?」
「今度街の方でやってみようと思ってるお酒が飲めるお店の練習です」
「ほう?という事は……」
「お席へどうぞ」
さ、とりあえずやってみようか!




