村に帰るまでが探索
「悲しんだら良いのか喜んだら良いのか……」
凄い複雑な気持ちになったけどまた新しいスキルが入手出来たから喜んでおこう
「とりあえず色々手に入ったし、ギリーマントの修理をしよう。この辺りの蔦は中々細くて切れにくいから作り直すには丁度良いかも」
何度となく役に立ってくれたギリーマントを修理しない訳にもいかない。この辺で手に入った素材も使ってギリーマントを更に改善しよう
「えーっと、これを一旦外して……細蔦で無くなった部分を作り直して……あっ、水含草を全体的に付けたら燃え難くなったりするかな?」
そんな感じでちょっとした工夫も入れつつギリーマントを改良した結果
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改良型ギリーマント
レアリティ PM
DEF +4
MIND +3
AGI +3
耐久値 130%
特殊効果 草木がある場所での隠蔽率超上昇。色んな魔物に発見されない
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水含草を付けたお陰か火属性弱点化が消えた。これで火だるまになる事はもう無いかな?
【擬態】があるとしてもやっぱり最初に自分が作った物だし、これからも使っていきたい
「色々回収出来たし、一旦戻ろう。あっ、折角だし村の皆をビックリさせよう!」
修理したギリーマントを被り、森から戻れば皆をビックリさせることが出来るだろうと考えて村に向かって進もうとする
「……で、どっちだっけ?」
調子に乗って花とか葉っぱとか集めてたらどっちが村か分からなくなった。多分川に突っ込んだのが決め手だなぁ。山菜取りで遭難するってこういう事なのかな……
「あっ!あの木に登れば村の場所が分かるかも!」
一際高く、太い大木が目に入ったのでそっちの方に向かう事にする
ギリーマントも被ってしっかり魔物対策もしながら大木に向かって行く
「ブモォォォ」
「おぉ……」
目の前通り過ぎていく猪みたいな魔物を目で追いながらギリーマントの効果を実感する。ギリーマントだと多少動いても隠密効果が消えないので移動して止まる。移動して止まる。を繰り返して大木に向かって行っても敵と遭遇して戦闘になるという事がかなり少なかった。かなりと言うのはギリーマントを着ていても流石にバレてしまう敵がいた
「シャァァァ!」
「うっ、蛇だ」
蛇は現実と一緒でピット器官があるのかギリーマントを着ていても正確に僕の居場所が分かるみたいだ
暗い緑色の1mくらいの体をバネの様に伸縮させ、大きく口を広げてこちらに跳んで来るのは正直中々凄い光景だが、こっちに向かってくる物はスローモーションに見えてしまう為、あっけなく見切る事が出来てしまい、蛇の噛みつきを避け、そのまま首を押さえる
「隠れてたのに向かってきたそっちが悪いんだぞ」
蛇の頭をその辺にあった石で叩き潰す。すると蛇は動かなくなり、腕に巻き付いて抵抗していた胴体が地面にだらんと落ちる。一撃で倒せたようだ
「蛇は貴重なタンパク源!ってサバイバルの動画とかで見るし、倒したからには食べてみたいなぁ」
何と言うかゲームとはいえ、これが剣や魔法を使って倒していたら素材を取ってはい次……とかになっていたかもしれないけど素手で倒して自分の手の中で命を取ったと実感するとやはり供養というか自分の糧にしないと失礼な気分になった。ナイフを握り、蛇の死体に突き刺す。出来れば肉が出て欲しい……
『スプリングボアの皮×2 スプリングボアの特上肉×1 を入手』
「オーブさん。ありがとう」
手元のナイフに感謝しながらアイテム欄の特上肉の説明を見る
『スプリングボアの特上肉 スプリングボアの特性上その身はとても弾力があり、しなやかで脂身も少なく、食べやすい。その中でも特上肉はスプリングボア10匹に1匹程度の割合でしか取れず、その肉は貴族などが金貨を積んででも食べたいとされる貴重な肉』
「これは村に帰れたら皆に食べさせてあげたいなぁ……」
最初の一口は僕だけど
「早く村に帰らないと!」
とびっきりのお土産を入手出来て嬉しい反面、遭難している状態から抜け出す為、大木に走って向かう。途中でサルみたいな魔物やクマみたいな魔物に出会ったけど……
「フラッシュ!」
手を前に出して、その魔法を宣言すると掌から一瞬ビカッと激しい光が起こり、そのまま発動を頭の中で意識していると連続で光が発光する。突然の強い光の点滅でこっちを見ていた魔物の目を見えなくする
フラッシュを使って目くらましをした後に【擬態】とギリーマントを使って隠れると、敵はこっちを見失って何処に行ったか分からない状況のまま探しに行ったり、閃光で逃げ出す魔物も居た
『称号 【戦場に潜むもの】 を入手』
大木までもう少しという所で何度かフラッシュを用いた強行軍を行ったせいか称号を貰った
『【戦場に潜むもの】 敵が戦闘中に自分を見失っても追撃や逃走をせず、隠れていた場合に入手 潜むぜぇ?超潜むぜぇ? 基礎隠蔽率アップ。ヘイト上昇率を抑制』
うん、パーティプレイだと地雷プレイしてたら入手出来そうな称号だ……普通なら喜びにくいけど今の状況だととても嬉しい称号だ
「もう少しで大木だ」
森を駆け、大木のある場所にあと僅かという時に目の前に広がる光景はこれからとても厳しい状況になりそうだという予想が出来る
「大木周りのあれは……」
緑色をした皮膚の小人の様なものが、鎧の様な物を纏っている。それは、村でドナークさんが言っていたであろうゴブリンだと、もはや条件反射で理解した