新たな繋がり
「ダイキリ、ギムレット、ソルティドッグ、アンバサダーです」
「「「「では……」」」」
まぁ、今はガラスのカクテルグラスは無いから城にあったワイングラスを使ってるけど……バーを開くならこの辺の用意も進めないとなぁ……
「「「「ほう……」」」」
とりあえず、これは違うって事ではなさそうだな
「「「「……」」」」
何だろう……4人とも黙ってワイングラスに入ったカクテルを一口飲んでからの余韻を楽しんでいるんだろうか?なら雰囲気を出すか……
「プァプァ~プァ~ン」
「「「「ぶほっ!?」」」」
「あれ?」
シンフォニアをサックスにして吹いてみたけど……違ったかな?
「ちょ、ちょいハチ君!いきなりなんでサックスなんだい?」
「いや、何となく大人のバーでお酒を飲むシーンとかテレビに出てたらサックスの音するじゃないですか。だから、何となく」
「おまっ!バーテンが急にサックス取り出して演奏したら噴き出すに決まってんだろ!」
「裏で聞こえるから良いのであって目の前で急にではねぇな……」
「アレはあくまで演出ですし、演奏する人の為の所や、音楽を店に流しているからゆったりした雰囲気が出るのであって、いきなり目の前でする物ではありませんよ」
「そっかぁ……店の雰囲気を重視するなら裏か……ありがとうございます!」
サプライズ的な演奏はしない方が良さそうだな。もしするなら、一度カウンターから出てからか
「で、味の方はどうでしょう?僕は味見とか出来ないんで、キチンと出来ているかは分からないんですが……」
「これが不思議なまでに普通に美味しいから、アドバイスが出せないんだよ」
「普通はもうちょい濃いとか薄いとかあると思うんだが……」
「ヒャッハー!そこはやっぱ、ハチのDEXが高いからじゃねぇか?」
「そうですね……単純にハチさんはメジャーカップも使用していましたし、DEXが高いでしょうから、見様見真似だとしても、これだけ美味しいカクテルを作る事は可能だと思います」
良かった。目の前サックスは不評だったけど、カクテルの方は成功したみたいだ
「これならお客さんに飲ませても問題無いでしょうか?」
「あぁ、そうだね」
「まぁ、他にも色々と用意するもんはあるだろうけど」
「その前にまずは……」
「えぇ、そうですね」
「「「「お代わり!」」」」
多分普段からお酒を嗜んでいる人達にオッケーを頂けたなら問題無いだろう
「あの!ハチさん!」
全員にお代わりを出した後、トーマ君に話しかけられた
「トーマ君。いや、急な依頼をしてごめんね?」
いやぁ、シェイカーもちゃんと機能して良かった
「いえいえ、それは問題無いです。ひょっとしてなんですけど、あのカクテルに使うグラスが無かったりしてませんか?」
「それはそうなんだけど……トーマ君ってまさかガラスも行けたりするの?」
「いえ、ガラスはあまり得意では無いので、今回のグラス作りには協力する事は出来ないんですが……」
まぁ、人が飲む物だから自信が無いなら止めておいた方が良いか
「ガラスを扱ってる人は知っているので、その人を紹介しようかと思いまして……」
「あっ、もしかして、ハトウ君かい?」
おや、ドクターも知っている人なのかな?
「はい!前にハチさんに送った試験セットありましたよね?アレにも実は1枚噛んでる方でして」
ほほう?となると、フラスコとかはその人が関与しているのか
「彼が作るのは中々質が良いので、ハチさんも満足すると思いますよ」
ドクターも太鼓判を押すとなると、これは期待出来ますよ
「セカンドラで工房のお手伝いをしているハズです」
「となると、その人に一度会ってみますか」
折角ならガラスで何か作る所とか見てみたいな
「でしたら、一緒に行きます。ハトウさん結構人見知りなので……」
ふむふむ、確かに顔繋ぎしてくれるなら大いに助かる
「じゃあ、お願いするよ。早速行こう!」
出来るなら早い方が良い。早速そのハトウさんの所に行ってみよう!
「すみませーん」
トーマ君と一緒に来てみたけど、なんか表に鎧とか置いてるし、鍛冶屋っぽい所だなぁ
「ん?おや、トーマ君か。いらっしゃ……いらっしゃいませぇ……」
うーん、お客さんがトーマ君だけじゃないとなった瞬間にカウンターから隠れてしまった。これは中々に重症だなぁ……
「ちょっとハトウさん!そんなんじゃ困りますよ!ほら、とっととお客さんに対応してください!」
何処からか女性の店員さんみたいな人が出て来てハトウさんをまたカウンターに立たせる。ふむ、これは尻に敷かれてますな
「あ、あのあのあの……ど、どういったご用件で……」
「えーと、実はグラスを作って欲しいんですけど……」
「お客さん?ウチは防具屋ですよ?そういった物は……」
「あ、そうなんですか……」
ふぅむ……防具屋だからと断られてしまった。でも、トーマ君が連れて来たって事は多分作れるとは思うんだけど……
「ハトウさん。この人は趣味の方のお客さんですよ」
「な、なるほど!」
趣味の方……なるほど。何となく見えて来たぞ?
 




