計画始動
「で、集まってもらった皆にはこのお酒造りの計画に参加してもらいたいんだけど、どうかな?」
「ふむ、我々が研究中のバイオテクノロジーでより品質の良い酒を造るという事か。面白そうだ」
「アルコール単体を生成する事でも利用価値は高まります。これは現在の研究ラインに含んでも問題ないのではないでしょうか」
「おいおい、なんだかすげぇ事になってんな?」
「ほっほっほ!美味い酒が造れるなら色々試すのもアリだろ。それに、試飲する者も必要だよなぁ?」
とりあえずヘックスさんとピュアルさん、ワリアさん、ウカタマを呼んでお酒造り計画を発表してみた結果。中々の好印象だ
「まぁ、そうだね。醸造した物を熟成とかもしないといけないけど……」
流石に森羅の巫覡装で舞いを踊ったとしても熟成は無理だよなぁ……
「時間を操る……ワリアさんのあの砂時計は無理ですかね?」
「流石に、この計画を進めるなら造る量もそれなりに造りたいからあの砂時計じゃちょっと厳しいな……」
「うぅむ……」
「ねぇねぇ?ハチ君や?ここに頼れる師匠が居るのを忘れてないかい?」
「いやぁ、この問題の解決は難しいぞ。折角バーを開くって皆に言ったのに時間が……」
「おいおーい。ハチ君聞こえてるんでしょ~?ワザと無視は良くないと思うよ~」
くっ……この手は使いたくなかったが、頼らざるを得ないか……
「まぁ、正直醸造って時間が掛かるだろうし、師匠の事はすぐに頭を過ぎりましたよ?でもこれ以上モルガ師匠をダメ人間にする訳には……」
「ちょちょちょーい!それはいったいどういうこったい!?」
「え……島で温泉を楽しんで、自炊もしないで僕が料理を作ったら駆けつけて食べていく。その上酒に頼る様になるモルガ師匠の姿なんて、うぅ……これ以上は」
ちょっと演技っぽく言うけど、割と外れてはいないと思う。否定出来るか?
「うっ……」
「今回の件に協力してもらったりしたら、『それじゃそれじゃ、私にもお酒頂戴!』なんて堕落していくモルガ師匠の姿がこれでもか!と頭の中に簡単に描けてしまって……」
「ぐっ……否定できない……」
だよなぁ……
「だからこの計画にモルガ師匠を参加させる事は……僕にはっ、出来ないっ!」
「そんなーっ!」
なんかノリノリだなぁ……
「モルガ師匠の立派な姿が見れたなら……お酒くらい振る舞っても良いかと思うかもしれませんが……」
「乗った乗った!仕事があるならキチンとやるよ!時間魔法位ポンポンやっちゃうもんね!」
ふっ、チョロいぜ
「じゃあ、モルガ師匠にも頑張って貰いますかね」
「やったやった!頑張るもんねー!」
「それじゃあ、麹を造るのにも時間が掛かるだろうし、一旦モルガ師匠はそっちで頑張って貰いましょうか。モルガ師匠が頑張ってたかどうかの判断はヘックスさんにしてもらいましょう」
「む、了解した。時間魔法か……これはまた良い研究対象だ」
あえて一旦拒否する事で自分から協力したいと言わせる事で途中抜けや、やる気を確保する。こうする事でモルガ師匠は凄まじい戦力と化すだろう。ついでにヘックスさんが時間魔法とやらの解析が出来れば、今後の醸造する時に便利な物とか作れたりしないかな?と期待も込めている
「それじゃあこっちはこっちで栽培しますか!」
「よし来た!ハチとワシのコンビで一気に行くぞぉ!」
という事はウカタマと協力してお酒の材料になる物を成長させれば良いんだな
「じゃあ、一旦スライム達とも協力してワリアさんに収穫してもらいますか」
「了解だ。にしてもこんな面白そうな酒造りは初めてだな!」
まぁ、色々な人が色んな技術を使ってやるからなぁ……
「因みに、聞きたいんですけど、ワリアさん。もし、この計画がドナークさんに知られたらどうなりますかね?」
「まぁ、間違いなく試飲は任せろ!だろうな」
「ドナークさんにも何か良い仕事があれば良かったんですけど……流石に試飲だけだとね……」
それこそソムリエでもない限り試飲だけという訳には行かないだろう。あと、普通にドナークさんなら「酒は美味いもんだ!」とあんまり味の感想が貰えなさそうな気がして、試飲役としては少しなぁ……
「そうだな……となると、何かしらの運搬関連かな」
「なるほど……確かに僕がやるのが一番簡単ですけど、そこを任せる事で仕事を生み出せますね」
「あいつ等も仲間外れにしちゃ可哀想だからな」
「となると、他の皆にも一緒に協力してもらいましょうか!」
「そうだな。せっかくならそっちの方が良いかもな」
スライム達に協力してもらうのと、ついでに村の皆にも協力してもらおう。これで村の皆にもお酒を振る舞う理由を作れたな
「ふっ、ハチもチョロいな?」
「うっ、別に良いんだよ!皆が喜べるんだから!」
皆が楽しめる。喜べる環境を作りたいだけなんだから、別に僕はチョロくは無い……と思いたい。僕だって成長してるんだから!
「さぁ、やるよ!空島にお酒も造って大人も楽しめる娯楽も造ろう!」
「「「「「おー!」」」」」




