娯楽の一歩
「ふぅむ……こうなると、やはり酒はあった方が良いかのう?」
お酒かぁ……確かにその辺は全く手を出していないゾーンではあるか。かと言って僕は別に飲酒したい訳でも無いからなぁ……これに関して、もし始めるとするなら、誰か酒類を扱える人が居た方が良いんだけど……前のセッカさんみたいに酒浸りみたいなのはちょっとなぁ……
「となると、作るならバーみたいな所かな?」
何となく、よくある酒場的な所だと遠慮なく飲んで治安の悪化みたいな事に繋がりかねないけど、バーでカクテルみたいな物でお酒を飲む位ならそこまで悪酔いはしないんじゃないだろうか?
「酒は飲める所がある方が良いと思うぞい?」
「分かりました。少し考えてみます。ただ、沢山飲める様な所でも無ければ、ガッツリご飯が食べられる様な所でも無い物になりますね」
「そうなのか……それは少し残念じゃな」
一応、ラフで良いから店舗の雰囲気を書いてみるか
「えーと、こんな感じでカウンターに座ってゆったりお酒を飲める環境……みたいな?」
「こ、これ良いですね。落ち着いてて俺っちは好きです!」
「ほう……これは確かに。皆で集まり酒や肉を喰らうだけ以外の飲み方か……」
ほんのり薄暗いお店の中でカウンターで飲む。そしてグラスを滑らせて「隣のお客様からです」なやり取り……うん、もしやるなら一回位はバーテンダー側をやってみたいな。となると、また少し勉強が必要になりそうだ
「まずはお酒について知ってそうな人に話を聞いてみよう」
『すみません。誰かお酒、カクテルとかについて知ってる人って居ますかね?』
こういう時はメッセージで聞いてみよう。ネットでも調べられるけど、まずは人に聞いてみても良いだろう
『ヒャッハー!呼んだか?』
『呼んだか?』
『私をお呼びかな?』
『多少の事でしたらお教え出来ますが……この場合って問題無いんでしょうかね?』
えーと、返事をくれたのはダイコーンさん、ホフマンさん、ハスバさんにドクターか。とりあえず全員招集しようか
『ちょっとご相談があるので、返事をくれた方は空島に来れたら来てもらっても良いですか?』
どうせ作るなら知ってる人に意見を聞いた方が良いだろう。となれば、招集して直接アイディアを書き込んだりした方が良い
「とりあえず、これでバーを作る為の下準備は良いとして……お2人はどうします?せっかくならアトラさんはミオンさんにこの空島を案内とかしてあげて欲しいんですけど……積もる話もあるでしょうし」
「そうだな。そうさせてもらおう」
「分かりました」
アトラさんにミオンさんを任せて、僕はバーを開く為の情報収集をしなくては
「じゃ、また後で!」
「あぁ、また後で」
「お疲れ様です!」
さぁ、という訳で我が酒の賢者達の所に行きますか!
「どうもどうも。お集まりいただき感謝します」
「ハチ君、この空島でバーを開くって本当かい?」
「えぇ、島の皆や来てくれてる他の人の為にもちょっとした楽しみとして良いかなって思ったんですけど、僕はお酒については料理酒位でしか使わないので、バーを置くとなったらどんなお酒を置いた方が良いのか、後はそのお酒の作り方とか分かれば良いなと思いまして」
大事なのはお酒の造り方を知る事だ。僕自身お金は使えない。となると、お酒も自分で造って並べるしかない。でなければ、お酒を扱ってる商売とかしてる人にバーを任せるしかなくなるから、それじゃあ僕らのバーとはちょっと言えない気がする
「なるほど、確か、カクテルでしたよね?それならまずは4大スピリッツを造るべきでしょうね」
「あー、ジンにウォッカにテキーラとラムだな。確かにカクテルを作るなら元になる酒が無きゃただのジュースでしかないしな」
4大スピリッツ……それがカクテルにとって大事な物なのか
「勝手にお酒を造ったら密造酒になって大変な事になるでしょうけど、ここはゲームの中ですから、まぁ問題は無いでしょう。ジンとウォッカは大麦やライ麦、ジャガイモなどを原料とした蒸留酒ですが、ジンは蒸留する時に薬草とかのボタニカルを入れて、ウォッカは白樺の炭で蒸留した原酒をろ過します。テキーラはリュウゼツランを原料に、ラムはサトウキビの搾り汁を蒸留、熟成させたものですね」
ドクターが一通り説明してくれたけど……中々凄いなぁ。原料が同じでもその後の処理の仕方とかで変わったりするのか。その辺は取る時期とか加工によって飲める物が変わるお茶と似てるかな?
「なるほど、となると、蒸留させる機械とか必須ですね……オリジナルカクテルにはなるでしょうけど、他の混ぜる物に関してはまぁ、多分果物のジュースとかが良いんですよね?」
「そうだな。色々使ったりするが、ごちゃごちゃ言っても仕方ねぇし、基本は果実系の物があれば何とかなるだろ」
ふむふむ、これなら色々作れるかな?
「ビールとかはどうするんだい?」
「ビールですか……今の所はあんまり酒類を充実させ過ぎても良くないかなと思って作らないつもりです」
お酒を飲む為だけにバーに通い詰めされても困るからね。それに、お酒4種に果物ジュースがそれなりに用意出来れば、飲める酒類だけは嵩増し出来る




