執念
「まずは比較対象として地上のスライムゼリーと空島のスライムゼリーの違いとかも調査した方が良いかな」
多分だけど、これって凄い微妙な違いになりそうな気がするから、インベントリにスライムゼリーを入れたらダメな気がする。インベントリは便利だけど、今回の場合はインベントリにスライムゼリーを入れてしまうと取った場所によって成分の違いとかそういうのが無くなって、本当に一般的なスライムゼリーになってしまうというか……微妙な違いを探れないんじゃないかな?
「となると……」
そもそもの話だけど、ゲームにおいて素材を入手するにしても1つのアイテムは全て同じ見た目になるのは仕方ないと思う。でも、その本質ってどうなんだろうか?鬱蒼とした森から得た枝も、荒野に生えた1本の木から得た枝も同じ枝として処理される。ゲームとしてそれは容量的な問題もあるから納得は出来るが……
「仮に、成分みたいな物を調べられる要素がゲームに生まれたのなら……同じ見た目でも中身が違うは全然あり得るんじゃないか?」
見た目は一緒でも、取れた場所によって成分は違って来る。こういう事が分かる様に出来るなら、同じアイテムは全てを一緒くたにしてしまうインベントリに入れてしまっては良くないだろう。インベントリでは無く、1つずつ管理する入れ物とかを作った方が良いかもしれないな
「確か、スライムゼリーはドロップする時、容器も一緒について来てたっけ?でも、貰う時はゼリーだけだった様な……となると、一度街に戻って何とかガラスの容器とか無いか探した方が良いかも?」
ベイタの森でスライムの観察はしてるけど、いざゼリーを分けて貰うその時が来たら容器が必要になるんじゃないか?
「こんな序盤も序盤でガラスを作れる物なんかないよな……」
珪砂だったかな?砂の中に混じってる透明な粒を集めるとかいう気が遠くなる様な作業をスライム観察をしながらという訳にもいかないし、うーん、何かあったかな?
「ん?魔石……これって水晶っぽいし、これを削ればガラスの素材の代わりになったりしないかな?」
魔石を粉にして、それを加熱してガラスの容器みたいな物を作れたりしないかな……
「まてまて、ガラス作りをするならそれこそ一旦、それの勉強をしなきゃ……」
えーっと、ガラスの作り方っと……
「何々、あ、珪砂だけじゃダメなんだ。ソーダ灰と石灰……融点を下げる代わりに水に溶けちゃうからそれを抑える役割……うーん、絶対今すぐに入手出来る物は無いな。この手はあまり使いたくは無かったが……」
これはこれで帰ってから色々やってみたい事は増えたけど、今すぐに容器が必要だし、ここは救援を頼もう
『トーマ君。悪いんだけど、このメッセージを見たら、何でも良いからガラスの容器を10個か20個程送ってくれないかな?どうしても今必要で……』
心苦しいが、こういう時に頼れるのはトーマ君だ
『メッセージ見ました!近くにドクターも居たので、協力してもらったのでこちらをどうぞ!』
添付されていたプレゼントボックスを開けてみると、中には凄く小さなフラスコが大量に並ぶ掌サイズのガラスの箱が入っていた
『ハチさんが今すぐガラスの容器が必要との事でしたので、液体素材収集用の収集キットをお送りしました。こちらで何とかなるでしょうか?使い方は収集キットに説明が書かれていますので』
ドクターとトーマ君も大分仲良くなったみたいだなぁ……そうか、そこが繋がっていたからこんな良さそうな物が来た訳だな?
『液体収集キット レアリティPM 様々な液体を保管出来る。中のフラスコに番号が振られており、メモを書く事も可能。これを用いる事で様々なポーションを作る事が可能に……?』
レアリティPMこんなアイテムも作られているのか。確かにこれを使えば何か元になるポーションに色んな素材を追加する事で、どういう変化をするか確認とかも出来るかも……じゃなかった。これでスライムゼリーを1つずつ確保出来る!
『ありがとうございます!こっちで新しい物を作れたら2人に紹介しますね』
もしもピュアスライムゼリーを増殖と言うか、複製が可能になれば、これは2人に教えてあげなくては……研究成果を発表する場もあるぞぉ!
「とにかくこれで、準備は出来たな。とりあえず今追っているスライムがどういう挙動をするのか逐一確認だ」
ベイタの森という出て来る敵のレベルも低いこの場所で新しく生まれるスライム。その瞬間を確保する事が出来れば……
「これ……マジ?」
時間にしてみれば2時間くらいだろうか?ずっと1匹のスライムを監視し続けて、水場で水を飲んでいると、体を震わせていた。だから近付いて近くで確認していると、スライムの周辺が湿っていた。水を飲んでいるからと思って居たが、スライムの体から発される霧状のオーラが何かが怪しいと思ってフラスコを用いて集めてみたら……
『ピュアスライムリキッドを入手しました』
なんか想定と違う物が取れました




