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祠にて

「さて……ここからが大変だな」

 目印の大きな岩までやってきたけどここからは道なんて無い本当の森の中に入って行かなければならない。コンパスよ、僕に道を示してくれ!


「大体は真っ直ぐ進めそうだな?」

 東側だから岩の右方向に進めば良いのは分かる。とりあえず倒木とか岩とか虫は見当たらないから真っ直ぐ進めそうだ。まぁ生垣っぽい物があるからそれは飛び越えるけど


「さて、ここからは完全に危険地帯だ」

 生垣っぽい物があったから多少の虫はやってこないだろうけどそれを越えてしまったからどれだけの大群がやってくるか分からない。本当に慎重に進もう


「うひゃー……頭痛くなってきた……」

 ゆっくり進んで行くと虫の大群が居た。樹液でも吸っているんだろうか?色んな種類の虫が居る。何百匹と居る虫をしっかりと見てしまったら頭痛が……


「迂回しよう」

 食事中ならお邪魔しない様にしよう。食事中に邪魔されたら誰だってキレる


「ゆっくりそのまま食べててくださいよー……」

 ここで食事をしているのならその間に進むべきだろう。今見える範囲の虫は少なくともここに居る。森に分散してない今の内に進むのが得策だろう


 食事の隙を突いて更に森の奥へ進む。そういえばこんな所に人が居るって相当凄い人なんじゃないか?


「よーし、何とか大群は突破出来た」

 虫の食事場を回避して東に進み続ける。まだ崖や作りかけの橋は見えない


「にしてもこんな所に本当に人が居るのかな?」

 僕の主目的は橋の修理だけど一応発見出来るならアトラさんが見つかったのか見つかりそうになったのか分からないけど、その人物を探して仮に見つかっていたのなら口止めをしたい所だ。話の通じる人なら良いけど……


 見つかるかも分からない相手も探しつつ、東に向かう事は止めない。でも虫を避ける事は結構楽になって来た。慣れかな?


「おっ?あれは……」

 1時間位だろうか?ずっと東に向かってコンパスも確認しつつ、進むと見覚えがある場所が見えてきた。糸だけで作られた作りかけの橋……間違いない。アトラさんに連れて来てもらったあの場所だ


「やった!遂に到着だ!」

 多分だけどここはあの祠があるお陰か虫が居ない……気がする。早速踏板を取り付けて行こう


「なんだかちょっと楽しくなってきたぞ?」

 板を魔糸で取り付けるのが結構楽しい。なんだろう?溶接とかしてる人ってこんな気分でやってるのかな?


 一枚一枚丁寧に踏板を取り付けて橋が完成していく。これで祠にも簡単に行ける様になったぞ?


「よーし!出来た!とりあえず祠を見てみよう」

 作った橋を歩いて確認したけど落ちるとかは無かった。これなら問題無いな?気になっていたあの祠を見てみよう


「とりあえず埃は払って……この像はなんだろう?」

 汚れていた祠を掃除して中にあった像を確認する。流石に動かすのは罰当たりかなと思ったので像は見るだけだ。見るとその像は人型で背中に大きな蝶の羽根の様な物が付いている。石の像だけど凄い技術だな……


「何かお供え物をした方が良いかな?」

 祠の掃除をしつつ、何かお供えするべきかなぁと考える。見た感じ蝶っぽいし、お花でも供えるのが一番かと思ったけど持ってない。代わりになりそうな物あったかな?


「あっ、花の蜜じゃないけど樹液はどうかな?」

 トレントを倒して木材を集めた時に樹液も結構集まっていたハズだ。木のプレートに樹液を入れてお供えしておこう


「良かったらどうぞ」

 木のプレートを一枚使ってしまうけどこういうのは大事にしたい。木のプレートはまた作れば良いやと思い、祠を後にする


「花の蜜じゃ無いみたいですが……まぁ良いでしょう。ありがたく頂きましょう」

 なんだ?急に生意気な感じの声が何処からともなく聞こえてきたぞ?


「ん?もしかしてこの像から?」

 聞こえてくる声は像から聞こえてきた気がする。像をしっかり見てみよう


「そうです。本当は花の蜜が良いですが……こんな森では良質な蜜は中々頂けないんですよ。おまけにこんな所に閉じ込められて……ってあれ!?道が出来てる!」

 僕が作った橋を見て驚く像……いや、もう像じゃない。石像だと思っていたソレは石では無くなっていた。空色の服を着た小さな人型に綺麗な蝶の羽根。妖精とでも言うべき存在が居た


「なんで!?なんで道が出来てるの!?」

「ん?まぁ頼まれたから?」

「え?君が作ったの!?」

 アトラさんに頼まれて作ったけど……なんだろう?閉じ込められてた?


「うん、まぁアトラさんに頼まれたから作っただけなんだけど……」

「アトラ様!?やっと許してくれたんですね……」

 ん?アトラさんを知ってるのかな?


「アトラさんと知り合い?」

「知り合いと言うか、アトラ様に迷惑をかけてここでずっと反省してました」

 アトラさん……お仕置きでこんな所に石にして祠っぽい所に放置していたのか……


「ところでアトラさんに何したの?」

「殴ったり、お腹蹴っ飛ばしたりして遊んでるつもりだったんだけど、最後に老いぼれって言ったらブチギレられてここに封印されました」

 アトラさん、僕と同じで言ってはいけないNGワードがあるのかな?


「まぁ言っちゃいけない言葉はあるよね。でもアトラさんがこの橋を作れって言ったから許してくれたんじゃないかな?」

 そろそろ許しても良いかという気持ちの変化があったから僕をここに連れて来たんだろうな……どうしよう?僕の一存ではどうするべきかは決められないけどまずは石化から解除されたお祝いとして樹液でも飲んで一息ついて欲しいかな?自己紹介とかはその後で良いだろう



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