鬼気迫る介入
「ハスバァ!てめぇの事は気に入らなかったんだァ!」
「私は別に何とも思ってないけどね?」
「この野郎!」
わぁ、向こうは向こうで大変そうだなぁ?単純に片方が意識していて、もう片方は意識していない……しかも戦闘技量的にもハスバさんの方が上だから余裕を持って相手の攻撃を捌いていた。やっぱり装備だけ良かったとしても技量が伴ってないと勝てないよなぁ……
「やっぱり装備は良くてもそれを使える技量が無いんじゃないか?」
「こんのぉ!」
ハスバさんが煽りながら相手とタイマンの構えで戦っているので、こっちもそれを邪魔しない様に周りの奴らをこっちの方に引き寄せる。まぁ、NPCであれば魅了は強力な能力だしなぁ……
「は~い、邪魔な人達はこっちこっち~」
「ストリさん、何か楽しそうだね?」
「そりゃあね?何処かの誰かさんには私の魅了は全く効かないのに、こうして、大量の人間相手に使ってしっかり魅了出来ていれば自信だって取り戻すわよ」
それは悪い事したかな
「まぁ、そんな事はどうでも良いのよ。ハチに使われる様になってから前よりも繊細な魅了を使える様になった気もするし」
「繊細な魅了?」
大雑把な魅了は前に護衛してきた吸血鬼の2人のエリシアちゃんとフォビオ君みたいな誰彼構わず惹き付けてしまうみたいな物だと思うけど、繊細な魅了ってどういう物かな?
「相手の感情を刺激して敵対させる……まぁある意味洗脳に近いかしら?」
確かに、相手の好きとか嫌いの感情を操って同士討ちさせるとか、普通に考えたら洗脳と言っても良いレベルではあるか。具体的な行動の指示は出来ないけど、相手の感情を刺激して近くにある物を使わせるとかは出来そうではあるか
「そりゃあ凄い。これって人間以外にも出来そうなら大規模戦闘の時とか凄い役に立ちそう……」
「そうね。私自身、他の子と違って直接戦闘面で協力出来そうな事は無いけど、この力で他の子では解決出来ない事は解決出来るわね」
確かに、モノさんやレジー、イドラなんかは今までも戦闘で直接的な協力をしてもらったけど、ストリの場合は人化してもそんなに力があるとかじゃ無かったからやっぱり他の皆に比べて劣ってるとかそういう事を考えたりしていたんだろうか?新しくラータも加わった事で、その辺もある意味コンプレックスになってしまうかと思ったけど、別の方向で成長しているみたいだ
「私は……私以外もそうだろうけど、ハチの凶具になれた事は喜んでるわよ?どうせ、こんな物は自分の為に自分の力も考えない使い方をして破滅したり、腫れ物の様に扱って何処か暗い所に封印されるのがオチだからね。道具なんだからキチンと使ってもらえるだけでも、人間にとって生きてるって感じるのと同じ様な物よ」
なるほどなぁ……なんだろう。ストリさんからこんな話を聞かせてもらえるってなんだか感慨深いなぁ……
「そうだったんだ。なんか、ストリさんにそういう事言って貰えると嬉しいなぁ」
「まぁね。だって、今の貴方。完全に淫魔とかそういう類と同じかそれ以上の事をしてるのよ?」
「は?」
ちょっと待ってくれ?なんでいきなり僕が淫魔と同等とかそんな事を言われなければならないんだ?
「あら?気が付いてなかったの?自身の肉体と魅了の力でこの場に居る男達を全員掌の上で踊らせているのよ?そんなの、淫魔とほぼ同じじゃないの」
自分の肉体?【ヴァルゴ】で女性になって胸とか使って優位にしようとした……魅了の力で男達を掌の上で踊らせる?ハスバさんともう一人をタイマンで戦わせて、周りのごろつき達は邪魔をしない様に同士討ちさせて自分はストリさんと会話してるだけ……うーん、言い逃れ出来ない
「このままだと、淫魔関連の称号とか貰えるかもねぇ?」
「よし!今すぐこの手で制圧しよう!」
淫魔関連の称号とか絶対お断りしたい。もしも称号が他の人に見られるみたいな事になっても他の称号なら別にみられても良いけど、淫魔関連の称号なんてあったらとてもではないが、絶対弄られるに決まってる。キリエさんが物凄い笑顔で僕を煽り倒してくる景色が容易に想像出来る……そんな事にならない様に、この場は僕の手で確実に終わらせなければ!
「おやおや、どうしたんだい?もう息が上がってるのかな?」
「う、うるせぇ!今から奥の手でお前を……」
「もうこっちは終わったんで、ソイツも終わりです!」
「ふえっ!?」
ハスバさん達のタイマンに水を差す様で悪いけど、この場で終わらせる為にも、戦闘に介入して即座に戦闘を終わらせる。まぁ、拘束するだけだが
「あちゃー、時間掛け過ぎちゃったかな?」
「よしっ!変なのは付いてない!これで終わりですよね!」
戦闘が終了したけど、変な称号とかはついていないので、さっきの淫魔関連の称号とか付かなくて良かった……
「まぁ、終わりだね。コイツ自体PKとかはしてないから小悪党位なんだろうけど、一応捕まってるならこのまま罪を償いにいこっか?」
「い、嫌だぁ!罰金を払うなんて嫌だぁ!」
まぁ、それに関しては自業自得だから……




