6発目
「絶対に何かしているハズなのに……分からねぇ……」
「あと1発……あと1発で終わりなんだ……」
銃を撃つ側はサイコロを転がす側に比べたら気楽な物だ。だからこそ、イカサマを見抜く役割としても重要になって来るが、見えない物はどうしようもないよなぁ?
「4。また同じだね?これで3回目だ」
3回目の引き金を引き、一応の確率的には半分の確率になっているだろうけど、どうせ最後の1発になっているだろうから、ここはもう少し攻めますか
「今のでそっちは残り3回。こっち1回。これでまたこっちが勝つか、3回ずつ当てるってなると面倒だし、もういっその事サイコロ3つを投げて合計数値勝負でも良いよ?そっちが勝てばこっちが1発撃つ。そっちが負けたら1発。但し、お互いに投げたサイコロの数字が被ったら、お互いにその被ったサイコロの数分撃つ。そして、今回は同時にサイコロを投げる。これでどう?まさか、こんな有利な条件で断るなんてギャンブラー、居る訳無いよねぇ?あ、それとももっと自分が勝てるルールにしてくれないと勝負しないとか?」
さぁ、頭の体操をしようか。もし仮に相手がサイコロの出目を自由に操れるとするなら、最初の文言だけで6を3つ並べるだけで勝てる事になる。サイコロ3つで18以上の数値は出せないし……だからここはノータイムで6を3つ揃えるって所だが、僕はお互いのサイコロが被ったらその個数分撃つというルールを提示した。これによって、6を3つ揃えたらどうなるか……僕も3発撃つ事になるが、相手も3発撃つ事になる。そうなれば、確実に発砲は避けられない
「う、うるせぇ!今考えてんだ……」
「流石にこれで逃げる程度の低いギャンブラーとはこれ以上やってもつまんないや」
「はっ!ケヘヘ、良いぜ!乗ってやるよ!おい、サイコロあと4つ持ってこい」
「う、うす……」
もう今まで出ている面で相手のサイコロに4と5と6しかないのはほぼ確定だから実質的な勝負は6のゾロ目を出すか、そうでないか。6ゾロなら両者死。665とかなら負けるけど2発ならまだ大丈夫。そんな所か……もしくはアレに気が付いたかな?
「はっ、ケヘヘヘヘ!さぁ勝負と行こうか、嬢ちゃん!」
「良いよ」
さぁ、何を思いついたのかな?
「嬢ちゃん。お前馬鹿だなぁ?今回俺は別に勝たなくて良い。たった1つ。お前の出す数値と同じ目を出せさえすれば俺の勝ちなんだよォ!」
確かにそうだ。別にこっちが負けない様に6のゾロ目を出した所で、相手が例えば456とか出した場合、相手も1発撃つ必要はあるけど、こっちも1発撃つ必要がある。つまり、普通にやれば絶対にこっちが勝てない勝負なんだ
「ハッ!1が2つに6が1つだ!これでお前の負け……」
「1が2つに6が1つ。あらら、3つ被りだねぇ?」
新しく持って来たサイコロ。最初に用意したサイコロよりも上等な物だろうから、多分アレは今までの奴とは違う。片重心のその片寄りを動かせるタイプなんだろう。だからこそ、この場面で6が1つあっても、他に4や5はあり得ないと思った。そして、相手の裏を掻いてしてやった感を出すなら1を出す……正直そこは賭けだったけど、そうじゃなきゃギャンブルなんてやってられないよなぁ?
「ば、バカな!?」
「さて、という訳でお互いに3発撃つって事だけど、じゃあ、よろしく」
「撃って良いんだな?」
「うん。自分の運を信じてるから」
そう言って、ハスバさんに6発目の引き金を引かせる
「「おいバカ止め……」」
「カチン」
確かに6発目の引き金は引かれた。だが、弾は発射されなかった
「カチンカチン」
静寂の中を残り2回分引き金を引くハスバさん
「不発だった様だね?」
「だから言った。運は良いって。じゃあそっちの番。そっちの不発の運に賭けてみる?」
「そんなバカなッ!?」
「弾が出なければ続行。初めにそう言ったのはそっち。不発の弾だって2回目なら出るかもしれない。でもその前にまずはそっちの3回を撃ってから」
その為にルールを確認したんだから。さぁ、撃ってもらうぜ?
「カチン……カチン……」
2発分の引き金を引いたけど、最後の1発。その引き金を引けないまま立ち尽くすギャンブラー
「ギブアップする……俺に、不発を引ける運はねェ……」
「了解。じゃあ今日からここは返してもらう」
よしよし。いやぁごめんねぇ?本来なら緻密な頭脳バトルとかをするべきなんだろうけど、使える物は何でも使わないとね?
「こ、こんなの認められるか!」
「そ、そうだやっちまえ!」
「この場所は渡さねぇぞ!」
おぉ、来た来た。周りの人達が反発して戦闘の流れになりそうだ!
「止めろお前達。俺達が負けたんだ」
「あぁ、これ以上は……」
「うるせぇ!お前らとはここで終わりだ!」
「そうだやっちまえェ!」
おやまぁ、ここで分裂しちゃうのか。まぁそれならこの2人は一旦放置で周りの奴らを無力かするか
「こっちの方がずっと楽だね!」
「そうですよ。頭脳勝負よりずっとシンプルで簡単です!」
そうして、ごろつきのお掃除大作戦が始まった
 




