表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1771/2039

支配者のギャンブル

「それで、サイコロは同時に振るの?それともそっちが先に振るの?」

 絶対にこっちが先に振るのだけは良くない。最低限同時に振るに持ち込まないと……


「嬢ちゃんが選んで良いぜ?」

「なら後が良い。そっちの方が楽しそう」

「当然だが、サイコロで特定の出目を出そうとする投げ方をしたらその時点で負けだぜ?」

 多分横回転させながら投げたりするやり方の事かな?


「そんなつまらない事はしない」

 まぁ、勿論やりますけどねぇ?


「ほう?面白いじゃねぇか。そんじゃあ始めようか」

「うい」

「なんだァ?お前の方じゃねぇのかよ?」

「銃はそんなに好きじゃない。銃を持つよりサイコロの方が性に合う」

「そもそも、君達に勝ちさえすれば何も問題は無いからね」

 銃を撃つのがハスバさんの方と分かったら、なんだか想定と違うって思ってるみたいだ。そもそもサイコロの話の時点でどう考えてもこっちが席に着くじゃん……


「別に、怖いなら空砲でも良いよ。でもそれじゃあ面白くない」

 面白いとか面白くないとかでは無く、煽って実弾を使わせる事で相手もビビらせる必要がある。空砲ではなんの駆け引きも起こせない


「はっ、当然実弾で行くぜ?さぁ、準備しな!」

 準備が始まっていく。まぁこっちもちょこっと仕込ませてもらいますぜぇ?


「さぁ、サイコロだ。お前の運命をコイツに委ねるんだな?」

 なるほどなぁ?こっちのサイコロに不正の跡は無い。てっきり片重心サイコロとか使わされるのかなぁと思ってたけど……となると、向こうのダイスに何かしらが有るのか


「おぉそうだ。おい、アレ持ってこい。勿論だが、魔法を使ったイカサマなんざされたら困るからな?魔法の使用を感じたら反応する水晶を用意させてもらうぜ?」

「分かった」

 奥から持って来た水晶を試す為にとりあえず何か魔法を使って……いや待て?だとしたらこの水晶おかしいな?


「【オプティアップ AGI】確かに、反応する」

 ハスバさんに対してステータスアップの魔法を使ったら、確かに水晶は反応した。が、使用が終わったら水晶の反応は消えた。なるほどなぁ?これなら相手は確かにやりたい放題出来る訳だ。でも、それに関しては僕も1つ確認が済んだお陰でこっちもやりたい放題出来る


「よし、確認も終わった所で早速始めるぜ?命と街を賭けたデカいギャンブルだ!」

「「「「うおぉぉぉ!」」」」

 周りのごろつきっぽい人達も観客になっているから僕ら側から目に見えるイカサマをした場合は指摘して妨害して来るつもりなんだろう


「先に言っておく。私、運はかなり良い」

「あぁ、そういう奴らは何人も喰って来たぜ?」

 対戦前の軽口を言う場面だと思ったので、一応言っておく


「当然だけど、文句は無し。だよね?」

「あぁ、これは運の勝負だ。文句は無しだぜ?」

 言質は取った。だからこそ、開幕から飛ばしていこう


「じゃあ、行くぜ!」

 先行として相手が先にサイコロを振るう


「わりぃな?6だ」

「そ、じゃあこっちも投げる」

 さぁ、大事な一瞬だ


「おいおい、マジかよ?」

「アイツ、終わったぜ?」

「あの嬢ちゃん死んじまうのかぁ?勿体ねぇなぁ?」

 僕が出した出目で周りの観客がワーワー言っている


「ついてねぇなぁ嬢ちゃん?今なら嬢ちゃんの意思でギブアップするって事を認めてやってもいいぜ?」

「いや、構わない。甘んじて受ける。5回。撃て」

「了解した」

 僕が出した出目は1。相手との差分は5なので5回撃たなければならない


「では行こう」

「お、おいおい……」

「一気に行くぞ」

 その言葉が終わると同時にカチカチカチカチカチと、引き金が5回引かれたが、弾は出なかった


「さて、次の勝負」

「こ、コイツ等……」

「と、とんでもねぇ……」

 ハスバさんは何の遠慮も無しに5回引き金を引くし、僕は少しも動かないからそりゃあ、驚いているだろうな


「次、早く」

「あ、あぁ……」

 相手を急かし、サイコロを振らせる。一気にピンチになるが、そんな事は正直大した事じゃない。あと1発撃たせさえすれば、勝ちという状況を作る事で相手は油断……と言うか、勝利にしがみついてしまう


「5だ」

「分かった。じゃあこっちも振る。6。今回はこっちの勝ち」

 今回はこっちが勝つ。だが、大事なのは1発で止める事


「差分1発」

「あ、あぁ……」

「ふぅ。セーフだ」

 大体、こういうのがクエストになっている時点で弾丸が6発目に出て来るって言うのが何となく分かる。だからこそ、最大限遊んでやろうじゃないか


「次、振って」

「お、おう!よし!また5だ!」

「分かった。こっちも5。引き分け」

 さぁ、それじゃあ始めようか


「4だ!」

「こっちも4。引き分け」


「……6だ!」

「こっちも6。3回引き分けだと、そっちが1発。だったね?」

 さぁ、最初に付けた条件が火を噴くぜぇ?


「お、おい。撃て」

「あぁ……」

 あと1発。たった1回サイコロ勝負で勝てば確実に勝つ。そんな状況だからこそ、自分達がギブアップするなんて選択肢は無い。そういう風に追い込む為の開幕の1だ。真淵は魔力とは違う物だから水晶には反応しない。そして、相手が先にサイコロを振るというルールと同じ目が3つ続いたら相手が撃つというルールによって、徐々にその首が締め付けられて行っている事に気が付くのであった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この手のギャンブルは所詮裏のシノギですからねぇ…如何様があろうとも気が付かなかったヤツの負けなんですよぉ? まあ、安心しなー、負けても死にはしないよ。多分。
これはギャンブルではない、相手をじわじわと恐怖と絶望に堕とす追い込み漁だ
イカサマはバレなけりゃイカサマではないので。ただの技術ですww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ