新テクノロジーへの1歩
「あぁ、ヴァイオレットだ。こちらこそ」
おっ、握手に応じてくれたぞ
「基本的に姿を見せないのは他の人になめられない様にとか、安全の為とかそんな所でしょうか?」
「そうだね。どうしても女性である限り、一定数の男性には下に見られがちだ。だからこそ姿を隠している」
リリウムさんとはまた違ったタイプのお悩みですなぁ……
「まぁ、そうですね……いつでもという事にはなりませんが、通信手段をしっかり確保出来たら愚痴位は聞きますよ」
多分出来ない事ではないと思うんだよなぁ……
「あまり気にしなくても良いという事か?」
「僕の場合は相手の性別とかどうでも良いんですが、拘る人は拘るでしょうね。大事なのは能力なのに」
相手の性別も性格も特に気にしない。仕事をこなせる能力があるのならそこを評価するべきだと思う。まぁ、今の僕の立場とかになってきたら、その相手が働きやすい様に適切な場所を考えて与えるとかそういう話になって来そうだけど……
「素晴らしい。君という人材を凄く欲しくなった」
「残念ですが、これでも僕も1集団を率いてる身なんでね」
「そうか……残念だ。通信手段が確立出来たらすぐに送ってくれ。愚痴は沢山あるからね?」
「へへへ、お手柔らかにお願いしますね。あ、これはお返ししておきます。それでは!さようなら」
ふぅ……情報を抜き取った話をうやむやに出来た。やはり挨拶は大事だな。インカムを返して島に帰ろう
「おっと、待ってくれ」
「はい、何でしょう?」
やべっ、誤魔化し切れてなかったか?
「君にとっては情報が報酬になるんだったな?それならば、このパワードスーツ系列の情報をやろう。今までのパワードスーツの開発資料でもある。この情報は私しか持っていない。しかも紙に書かれたこれのみだ」
ほう?紙に書かれたデータか。これは確かにタワーから吸い出せないデータでもありそうだ
「ありがとうございます。なら……はい。これでオッケーです」
「今君が使った物にも非常に興味があるねぇ?」
「ふふふ、企業秘密です」
腹の探り合いとまでは行かないけど、ちょっとした軽口が言えるくらいにはなったかな
『特殊クエスト サイレントウォー をクリアしました』
「ただいまー!」
いやぁ、中々良い情報を集められたんじゃないか?
「とりあえず、このデータもヘックスさんに持っていかないと……」
「あ、俺が収集したデータは本体から既に島の方に送ってあるし、リーディングスキャナー?だったか。それで取ったデータならもう送られているハズだ。急がなくても既に行ってるぞ?」
ん?待てよ?それってつまりもう情報のやり取りは可能って事だよな?じゃあもう通信手段が確保出来てるって事では?
「ほうほう……まぁ、様子を見に行くだけ行ってみますか」
とりあえずヘックスさんがどのくらい喜んでいるか知りたいね
「ハチィ!凄いぞ!技術革新が止まらない!様々な情報が集まっているから色んな方向性が生まれて来る!」
バッと巨大なスクリーンを見せてくれるヘックスさん。そのスクリーンを見てみると、1つの技術からドンドン枝分かれしていく技術ツリーみたいな物が有るけど、その技術ツリーの新しい枝が増えたり、そもそもの始点が増えていたり……なるほどなぁ……こうしてみると、小さな技術の進歩は枝分かれ、大きな技術革新は新しい始点とかそんな所かな?
「ふむふむ、こういう進化をしていたんですね」
「あぁ、最後に来たネストからの情報。あそこには生体兵器とかの情報もあるにはあった。そこでハチ……というか、ハチの仲間に少し相談なんだが……」
僕の仲間に相談?誰だろう
「あのポン君と言ったか?彼の能力をもう少し知りたい。生体兵器という考え方とポン君の能力。そうだな。後はマイ君にも協力してもらいたい。その辺りをもう少し考えると、新しい技術が生まれそうな気がするんだ」
ポン君、マイ君、そして生体兵器か。となると、何となく思い当たる技術となると、バイオテクノロジーとかそんな所か?機械だけじゃなく生物の方面にも手を出すか。これはまた凄い事になりそうだな?
「人体実験みたいなのはダメだよ?」
「それは勿論だ。生命への冒涜などは考えていない。むしろ、この辺が伸びれば治療技術が伸びて来るだろう」
「まぁ、そうだろうね」
でも僕も知ってるバイオなハザードはそういう治療技術からの派生というか、そういうのだった様な……
「そうだな……例えこの島にハチが居なくてもこの島に居る者達が自己治癒能力を向上させる事によって防衛力の上昇にも繋がる。自己修復する砲台とかあったら凄いと思わないか?」
「ほう!?それは確かに……ん?という事は、自己増殖とかする事で弾丸を作り出したり出来るかも……とか?」
「あぁ!これまで以上に使える資源が増えるかもしれん!」
「そういう事ならニクリウスさんも招集してみましょう!」
自己増殖と言えばこのお方だろう。ふむふむバイオテクノロジー方面もやってみる価値はかなりありそうだ!




