確約
「それで、計画としてはネストを襲うって形にする為に街の外から攻めに来る事になっちゃうけど、やっちゃって良いのかな?」
「実際にはネストまでは来ないんでしょ?」
「まぁ、抵抗してくれればネストまで行かなくて済むんだけど……その為に協力体制は組めそうですかね?上層部に堅物が居て……とかそういう問題で話が進まないなんて事になると困るんですけど」
「「「「あぁー、そこね?」」」」
フェルマーさん以外が何か納得してる感じで頷く
「分かる分かる。使えない上司とか困るもんねぇ……」
「現場で働く奴の事を考えない奴は本当に困るもんねぇ?」
「デスクワークなんて誰でも出来るもんねー?」
「まぁ、それに関しては安心してくれ」
ん?何か安心出来る要素でもあるのかな?
「オクトパスは知らせてなかったけど、この会話。ネストの最高権力者が聞いてる」
「ファ!?」
こんな大事な会話を最高権力者が聞いてるって……実質テロ予告みたいな物なんだけど……
「ウチの最高権力者は実力主義。仕事出来る人は評価する」
「その点、オクトパス……だっけ?君は1日でレジスタンスを纏めるなんて事をしたんだから、評価が高いなんてもんじゃないと思うよ?」
まぁ、実力主義で認めてくれるのであれば、街を守る為に戦うレジスタンスとかも評価されて、ネストの一員として生きやすくなるんじゃないかな?
『ネストを纏めるという難しい仕事をこなしてくれているんだ。こんな人物を評価するなという方が無理がある。少し、話をさせてもらうよ?』
おっと、インカムから聞きなれない声が聞こえて来た。まぁそうよなぁ?
「あなたが最高権力者ですか。そちらの協力がここに居る方だけか、そうでないかで私のプランは変わるのですが、その辺りの確認をしたい」
『素晴らしい。正に仕事人だな?それで、君は無報酬でこんな事をしている訳じゃ無いんだろう?フェルマーとどの様な密約を交わしたんだ?心配しなくても、今の通信は他の者には伝わっていない』
成程ね。そっちもある程度は知ってるという訳か
「こっちが知りたいのは情報さ。密約はネストを纏める代わりにネストに蓄積された書籍やデータ。それらを閲覧。写す許可だ。新技術を生み出す為には多角的な視点からの情報なんかも必要になる。その為にこっちからも情報提供はした。そっちもこちら側に行きやすくなるような情報をね?」
『ふむ、これは君と事を構えると間違いなく負けるな?』
とりあえずこの最高権力者とはある程度話が出来そうだな
「別に事を構えても良いさ。それならこっちはネストから人材を引き抜くだけだからな」
フェルマーさん以外にも話をすればここの人達も引き抜く事は出来る気がする。だからこそ、この最高権力者は僕と事を構える事は出来ないだろう。その気になれば、僕はレジスタンスを丸々引き抜く事だって出来ると相手は思ってるだろうから、ここでそんな事をされたらどうなるかは最高権力者が一番良く分かってるだろう
『流石にそれは困るな。そんな事をされたら私も君に引き抜いてもらわなくては。はっはっは!』
中々面白い冗談を言ってくれる
「まぁ、こっちとしては情報を公式に貰えると確約してもらえれば、私の為に動いてくれた誰かさんを機密情報漏洩して国から追われる事になっても保護するなんて事はしなくて済む。と言えば良いか?」
『分かった。事が終われば君にはそれだけの報酬を受け取る権利がある。是非とも成功させてくれ』
一応、これで情報は公式に貰えると考えて良いかな?
「あぁ。単なる口約束にはなってしまうが、そちらがキチンと守ればこちらもやる事はやろう。但し、情報を出し渋ったりしたら、ネストは内部から静かに喰らい尽くす」
『脅しは止めてくれ……君ならそれが出来るというのはもう伝わっているさ』
なら脅しはしない方が良いか
「じゃ、これから仲良く暗躍しましょうか。最高権力者さん」
『了解した。全く、恐ろしいな君は……』
うし、それじゃあ、フェルマーさんを使ってレジスタンスと合流させるか
「お話終わりました。フェルマーさん。この後でレジスタンスの人と会話してフェルマーさんにレジスタンスとのパイプ役になって欲しいんですけど、大丈夫ですか?」
「あぁ、君の昔の友達という事で良いんだったか?」
その辺の会話も聞いてたのね
「はい。それで良いです。そうですね……3日後にネストを襲いに来るので、それまでに協力出来る様にしてください。別に肩を組んで仲良しこよしじゃなく、同じ敵を一緒に攻撃出来る程度で良いので」
さて、また1日で色々準備しないと
「じゃあ、またアレで行きましょう」
「あぁ、アレか」
「「「「アレ?」」」」
知らないなら見せてあげましょう!
「き、消えた!?」
「反応が無い!?」
「どうなってるのー?」
「な、何が……」
いやぁ、良い反応ですねぇ?
「ちゃんと居る」
「これで、フェルマーさんをレジスタンスの所まで連れて行くので、皆様も3日後の決戦の日に備えて準備しておいてくださいね?」
さ、ここもクライマックスまで駆け抜けていくぞー!




