幽霊図書館
『しっかりと禁書らしい情報が入って来ました!死者蘇生の禁術……あぁ、これは確かに禁術認定される様な代物ですね。しかも復活させてもこれじゃあゾンビ状態でしょうから多分著者が求めていた物とは違うでしょうね……』
となると、あれかな?失敗した情報とかを書き記した日記みたいなのが後の世で禁書認定されたみたいな……
「とりあえずここでの残ってる本の情報は回収出来たと思うから一旦戻るよ」
『了解です!』
一応、朽ちた図書館での情報収集は出来たな。多分隠しダンジョンと言っても、ボスが居なくて、特定の敵しか出てこないタイプのダンジョンなのかもしれない。これ以上下手に探ってここを狩場としてる人の邪魔をしない方が良いだろう
「こっちは要件終わりました」
「あ、分かりました。それでは戻りましょうか」
朽ちた図書館を後にして、セカンドラの店に戻る事にする
「にしても……途中で全く姿が見えなくなったんで少し焦りましたよ……」
「あぁ、すみません。一応イカに見つからない様にと思ってマントを被ってたんで……」
まぁ、コッソリ被ったのは砂場仕様のマントじゃなくて、バニシングクロークだけどね?禁書探しを見られると良くないと思ったから途中で被ったけど、バレて無さそうだな
「なるほど!あのマントですね。ハチさんが展示してた」
「そうですね」
適当に流しつつ、ホフマンさんのお店に戻ってきた
「「戻りましたー」」
「おっ!戻って来たか。どうだった?」
「いやぁ、凄かったですね。あんな風にイカを集めるとは……あ、場所は教えませんよ?」
「心配しなくても、そんな事はしねぇって。というか現状あのイカを卸してもらえんのはコイツ以外に居ねぇと思うしよ」
あぁ、もしかして場所の事は伏せて、クリティカル攻撃とかその辺の事情だけ話して自分だけにしか取れないって感じに言ってるのかな?それは確かにそうだな
「そもそも、俺だってただのプレイヤーだ。対等な相手と対等な取引をして、美味い物を作る。それで充分さ」
「そうですね。ホフマンさんは自分と取引をしてくれる相手ですからお互いに損が無い様にという事でちゃんと取引させて頂いてます」
良いねぇ。ビジネス的だけど、しっかりとした信頼もある関係だ
「それなら良かったです。じゃ、僕は次の所に行くので……あ、アレは大事に使ってくださいね?」
「「勿論!」」
まぁ、多少乱暴に扱っても壊れはしないと思うけど……
「さぁ、お次は亡霊図書館っと。おぉ、雰囲気あるなぁ?」
次は亡霊図書館の方に来てみたが……もう見るからに中に幽霊が居ますよって感じだ。このちょっとボロい佇まい……外に居る段階からちょっと準備してから入るか
「さて、物理無効、属性付与も無効。魔法攻撃しか効かない相手とルクレシアさんが言ってたけど……」
「あぁ……」
「うぅ……」
「幽霊が相手となるとね?」
元聖女であるメリアさんから貰ったシスター服を纏っているこの状態であれば、ある意味対幽霊特化装備と言っても過言では無くなる。まぁ悪霊だと相性が悪いけど……
「成仏したいのであれば、僕の周りに来ると良い。冥界まで送ってあげる」
「「うぅ……」」
図書館の中を歩き、ちょっと広い所があるので、そこに座る。渦巻く様に結構な量の幽霊が僕の周りを漂っている
「死神さん」
『はいにゃー!すぐそっちに行くにゃ!』
あ、今回は黒猫死神さんか
「皆の心。安らかに」
「はーい、こっちにゃー。ここを通って冥界に行くのにゃ」
祈ってる僕の隣で、小さい冥界の門を作って誘導している黒猫死神さん。そんな駐車場の案内員じゃないんだから……
「にゃにゃ、悪霊ににゃってるのが居るにゃー?」
僕が祈って冥界に案内してあげてたらどうやら悪霊も寄って来たみたいだが……
「ついでにゃ。おみゃーらも向こうで相手してやるにゃ」
まさかのプチ冥界門を持ち上げて悪霊を吸い込み始めた黒猫死神さん。二足歩行する猫が門を持って悪霊を追いかけて吸い込んで行くシュールな光景を目にしながら、僕は祈る事しか出来ないんですが……
『な、何が起こってるんですかね……』
通信機でルクレシアさんの声が聞こえて来るけど……今は祈りに集中してるからちょっと周りまで気が行かないなー?
「よし、これで大体の危険な相手は居なくなったかな。という事で本の情報を集めて行きます」
ここは朽ちた図書館と違い、しっかりと図書館として残っている。埃は被っているけど、野ざらしにはなってないし、これは思った以上に沢山本の情報を集められるかも!
「思った以上に本が多いな……これはこの装置を作っておいて正解だったかも」
普通に本棚1つを物の数秒で記録出来ると考えるとこれも相当ヤバい物ではある。袋に入れて記録するとは訳が違う。何より本に触れずに情報を得られるという事がどれだけ嬉しいか
「この手のダンジョンは本に触れると敵が出て来るだろうから、本に触れないで進むのがベターなんだろうけど、こっちは本に触れずに情報を集められるんだ。この図書館丸ごと貰っていくつもりで行くぞ!」
何かしらのトリガー行動を踏まずに情報だけ得られる。これで何かに絡まれる時間を短縮して情報収集に集中出来るぞ!




