実は先だった?
アトラさんの背に乗って村に帰る
「あとちょっとだったんだけどな……」
「済まぬ、流石に人間に見つかってしまうと大騒ぎになってしまうからな」
「そういえば人間ってどっちです?この世界の人ですか?それとも旅人?」
アトラさんの言う人間ってどっちだろうか?
「あぁ、こっちの人間だ」
「じゃあまだ大丈夫そうだ」
アトラさんを見つけた人経由でデカい蜘蛛の魔物が居るという情報が出るかもしれない。だが、まずその人を発見する必要もあるし、その人から聞き出す為には友好度を溜める必要もあるだろう。もし、アトラさんが見つかっていたとしても情報が広まるまで相当の時間が掛かるはずだ
「ところであそこはどういう所だったんですか?」
もしかするともう一度あの場所に行くかもしれないし、情報が欲しい
「あそこは魔蟲の森って地域の東側にある崖だ」
「魔蟲の森?もしかしてサーディライの先にある場所ですか?」
ダイコーンさんがGが居て厄介だけど匂い袋を入手出来てありがたいって言っていた地域かな?
「そうだ。ハチはサーディライまで進んだのか?」
「はい、それなら後で魔蟲の森の東に行って橋の修理の続きをしますね?」
「それは助かる。板も渡しておこう」
『踏板 を入手』
アトラさんに板を貰う。これを持って行って取り付ければ橋が完成してあの祠へのアクセスも良くなるはずだ
「そういえばアトラさん?あそこにあった祠ってなんです?」
「あぁ、ちゃんと見つけていたか。あの祠に何があるかは自分で確認してみると良い。全部教えたら面白くないだろう?」
おぉ、そう来たか……魔蟲の森も探索しなきゃなぁ……
「それじゃあコンパスも早く作らないとなぁ……」
魔蟲の森とか特に迷いそうだ。出てくる生物だって強くなってくる頃だろうし、戦ったら戦い終わった後に方向が分からなくなるのなんて特に起きそうだ
「ほう?コンパスか?」
「実は磁石を入手したんで針なんかあれば水に浮かべて方向を調べられるなって」
「随分と原始的だな?」
コンパスって原始的なんだろうか?
「まぁ針を磁石で撫でて水に浮かべるだけだから原始的と言えば原始的かも?」
「針ならドナーク辺りが持っているんじゃないか?」
「確かにドナークさんなら持ってそうだな……ちょっと頼みに行こうかな?」
コンパスを作る為にもドナークさんの所に行ってみよう
「それじゃあドナークさんの所に行ってみます!」
「あぁ、手伝ってもらって悪かったな?」
「いえ、終わってないのでまだ手伝っている最中ですよ。これから仕上げに行くけどその為に迷わない道具を作るっていう若干の遠回りが必要ですけど」
実際は必要ないと言われたり、迷ったら死んで教会に戻る通称デスルーラは絶対にやりたくない。だからこそコンパスが欲しいんだ
「それなら少し話を通しておこう。ちょっと時間を空けてから尋ねると良いぞ?準備する時間もあるだろうしな?」
そっか、いきなり訪ねて針頂戴って言ったら迷惑か、アトラさんが先に話を通してくれたらドナークさんも針を用意してくれる可能性も高くなるかな?
「じゃあお願いします。僕も他の皆に声を掛ける前にアトラさんと一緒に出掛けたんで一応皆にも挨拶しておかないとなって思っていたところだったので」
他の皆と軽く会話していればアトラさんがドナークさんに話を通してくれるかな?
「あぁ、そうしてくれ。では儂は行く」
「はい」
先にアトラさんが村の中に入って行く。僕は……そうだなぁ、ミミックさんの家にでも行ってみようか
「おっ?兄さん帰って来とったんですね?いやぁベッドがとても寝やすいですわぁ」
「やぁ、ただいま。それは良かったよ。良い睡眠は良い生活に欠かせないからね」
寝る子は育つじゃ無いけど睡眠は重要だ
「ミミックさん?他の皆が何処に居るか知ってる?」
「あぁそれならヘックスさんの家の前で女子会?ってのをやってまっせ?」
「女子会かぁ……それじゃあ僕が邪魔するのも悪いなぁ」
挨拶しようと思ったけど女子会をやってるなら止めておこう。ワリアさんは女子では無いし女子会には参加してないだろう
「ワリアさんは家かな?」
「あぁ、料理を作るので駆り出されてますわ……」
「あぁ……」
女子会の料理担当かぁ……
じゃあ後はホーライ君くらいしか残ってないんじゃないかな?
「ホーライ君は?」
「今頃狩りにでも行ってる時間やなぁ……大体このくらいの時間に狩りに行って技術を磨いてるで?」
「それも一種の自分磨きって奴か」
狩りで自分の持ってる技術を磨いて戦いに活かせる様にするのは野生の世界ならある意味当然の行いか。となると今はミミックさんだけが僕の話相手だなぁ
「ミミックさん。この村での生活は楽しい?他の所に行きたいとか思ってる?」
「何を言いますやら、こんな楽しい村、他に見つける方が難しいでっせ!?他に行きたいなんて考えた事無かったで……」
村に不満は無いみたいで良かった。ミミックさんは結構他の所を巡ってたみたいだし、いつか村を出ていっちゃうんじゃないかと心配だったけどそんな事も無いみたいだ
「良かった。じゃあちょっとお話しようよ?」
「おっ!ええですやん!」
僕がやった事や、ミミックさんがどんな所に冒険していたか等の話をしてアトラさんが僕を探しに来るまでお話に熱中していた