増える魔石
「こうなると、やっぱり……」
道に迷ったその時は……
「やっぱこれだね」
困った時の木の棒~。僕が道に迷った時はやっぱりコレだよねぇ。道の見た目で選ぶんじゃなくて、運で選ぶ事にして僕はここまで来たんだ。例え見た目が険しかろうと関係ない。今までのやり方を変えずにやるだけだ
「ふむふむ。今回はこっちか。さぁ左の道へレッツゴー!」
今回の棒を投げた結果左の道が選択された。さて、では何が待ってるかなぁ?
「増える魔石……は居なさそうだな。となるとこっちの行き止まりは当たりかな」
ダンジョンで行き止まりを見つけられるとちょっと安心する。どうせなら全部見たいもんね
「ここには何が居るんだろう?」
ダンジョンの行き止まりには何かしら居たりあったりするのがもはや常識みたいな物だけど、ここには何が有るかな?
「ふむふむ……あれはトラップかな?」
オーラで見る限り、何かしらのトラップが設置されている
「となると、これはトラップも調べないとね!」
前にトラップから得た毒で弛緩剤みたいな物を作ってたドクターに取ってトラップに塗ってある毒とかがあればそれは採取対象だ
「このトラップは落とし穴っぽいし、まずは一旦見てみないとね」
落とし穴のトラップの部分に毒が塗ってある殺意マシマシトラップとかならその毒の採取とか出来るかも
「よいしょ……うーんノーマルな落とし穴かぁ……毒無しのただの木の槍付きなら得られる物は無いなぁ……むむ?」
待て待て。ただの落とし穴かと思ったけど、この木の槍……なんか違くないか?
「おぉ?これはもしかして、ただの木じゃないな?見た感じ黒っぽいし……普通の木材じゃないのかも!」
じゃあ集めておこーっと!
「ふむふむ……結構な硬さがありそうだな。削り出せば中々良い木刀とか取れそうだな」
カーボンウッドとは違うけど、これは中々良い硬さの木だ。普通に色々と使い道はありそうだな
『ブラックウッド を入手しました』
よしよし。何かゲット出来た。新しい木材か
「あの宝箱は……中身は宝石か。クラリさんが居るからこれも別になぁ……」
落とし穴の先に宝箱があったけど、先に落とし穴の方が気になって調べてたけど……やっぱり宝箱の中は基本的には僕に必要のない物だなぁ……
「まぁ、あれは良いや。とりあえず欲しい物は取れたから戻って右側の道に行こうっと!」
行き止まりに敵らしい敵は出てこなかったから分かれ道の所まで戻って右の道を進むとしよう
「さてさて、もうそろそろ出て来てもおかしくない頃合いだよねぇ?」
ダンジョンに入ってから結構良い時間だと思う。もうそろそろ出て来たって不思議ではないと思うけど……
「もしかして、アレか?」
パッと見た感じ、中央に赤い球体がある青みがかった石の様にも見えるその物体。だが、あれは物なんかじゃない。確実に生きている存在だ
「増える魔石……絶対あれでしょ?」
多分今は石っぽい形をしているけど、あれが別の姿になったり、例えば石の姿だけど複数の石が重なった姿だったり、大きく成れば増えるって言うのも分かる。となると増える魔石って元はスライム系統の魔物か?
「スライムの何らかの変異種?」
思い付きと言われればそれまでだけど、あの姿はスライムが一番近い気がする
「とりあえず行ってみるか!」
相手が敵対したら戦うしかないけど、まずは言葉が通じるかだけ調べてみるか
「やぁやぁどうもー。言葉通じるかな?」
「……」
あ、ダメだこりゃ。話しかけたけど向こうからの返答も無ければ反応が急に攻撃してきた。一応、もう少しだけ会話が出来るか試してみるけども、ダメならこの物理攻撃も魔法攻撃も通用しない相手を何とかしなきゃならない訳だ
「話合いとかするつもり……無いみたいだね。うし、やるしかないか!」
これはダメそうだ。何とか僕の用意してきた物が効くかどうかやってみよう
「さ、戦闘って事だし、まずは本当に効かないのか試させてもらうね。よっ!」
相手のコアらしき部分に向かって掌底を一撃打ってみる。うん、ぜーんぜん効いてないっぽい。この分だと魔法攻撃も効かないって言うのは本当の事の様だ。魔法攻撃に関しては……持ってないから調べる必要は無しと、一応情報は得ていても自分自身でも試してみないとね?
「さぁ、どう動く?」
まずはこっちから掌底というアクションしてみた。となると次はソッチの番だ
「ほうほう。なるほどね。取り込んだのかな?」
さっきまで石の様な恰好だったのに、今は狼の様な姿になり、その爪で僕を抑えこもうとする。反応も中々に早い
「やるじゃん。まずはどっちにしても君がどう反応するか見てからじゃないと作戦の組み立てとかも大変だからね。一旦君の攻撃モーションとかは見させてもらうよ?」
観察だって大事な戦闘だ。情報が有ってもその情報がしっかりと活かせるかどうかは今戦ってる僕次第だし、実際問題として物理攻撃は効いていない。手ごたえ的にも打撃無効のフロッカウに攻撃した時を思い出す感触だ。さぁ、本当に無敵なのかもこれからゆっくり調べさせてもらうね?




